とあるスポーツと心情の変遷

4年前、めっちゃ嫌いな上司が徹夜でサッカーを観戦した話をしていてアホかと思っていた。てめえそれで忙しい時間帯にまたトイレにこもりやがったらただじゃ済まさないからな……という気持ちしかなかった。

そもそもサッカーが別に好きじゃなかった。小学生の体育で、サッカーやってるやつらが無駄に張り切ってとれるわけない強いボールを蹴ってくるのも嫌だったし、いてほしいところにいないってだけで怒ってくるのも嫌だった。当時本を友としていた陰キャのわたしにサッカー大好き少年たちが求める動きなんてできるわけなくないか?それをきっかけになんとなくサッカーやってる人がうっすら苦手だった。

中学生の時、教会が渋谷にあったことから毎週日曜日には渋谷に通っていた。普段からうるさくて汚い渋谷が、ワールドカップ開催時期はいつにもましてうるさくて汚くて人が多かった。教会にわざわざ通わなければならない時点で辟易していたわたしは、声が大きい大人がわーわー騒いでいることで疲れるし怖いしで疲労困憊した。さっさと敗戦しておわってくれとばかり思っていた。

高校生の時、サッカーやってた人と一瞬付き合ってたけど、時々第三者に対して上から目線で汚い言葉を使って評価してくるところが嫌いだった。わたしにはすごく優しかったけど、いずれそんな風に扱われるのかもしれない、と思ってすぐに別れた。そもそも別にその人のことが好きじゃなかった。

一瞬サッカーで有名な街に住んでいた時、町がサッカー一色で、遅く帰るとそのチームのサポーターが住宅街で大声で騒いでいて最悪だった。すぐに引っ越したのでほとんど覚えていないけど。結果わたしは「サッカーが好きな人」=「ちょっと怖くて自己中であんまり関わりたくない人」というひどい偏見を抱えてこれまで生きてきた。

最近サッカーに詳しい人と知り合った。その人はこれまでわたしが「サッカーが好きな人」に対して抱いていた偏見を拭い去っていった。小学生から成人するまでしっかりサッカーやってきたガチガチの「サッカーが好きな人」だったが、話してみるとただのオタクじゃん!と思った。選手の名前を聞いたら所属や試合での活躍を語り出し、試合を見ていてもわからないところは丁寧に解説してくれて、まったくサッカーがわからなかったわたしが、それぞれのポジションの意味や、日本代表選手の顔と名前と得意なこと、なんとなくオフサイドとは何かがわかるようになってきた。

そしたらサッカーを観戦するのが楽しくなった。日本代表戦だけでなく、ほかの国の試合もちゃんと追っている。今回のワールドカップはジャイアントキリングが多くて、少年漫画で育ったわたしには胸熱な展開が続いている。代表選手に推しもできたから、ワールドカップが終わったら、その人が所属しているチームも追ってみようかなと思っている。

好きなことが増えるのはうれしい。これからもできるだけ自分の中の苦手や偏見と向き合って、好きなことに変えていきたい。やっぱりそれを大好きな人たちがおすすめしてくるものは面白いものが多いんだな。その分野のいわゆるオタクたちに話を聞いていくことを、今後も続けていきたいな。

日本がクロアチアに勝ちますように!!


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