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注意! その天国、ホンモノですか?(作:ぱやちの)

 みなさん、こんにちは、こんばんは、はじめましての人ははじめまして。突然ですが、みなさんは天国をご存じですか? かなり有名なので、聞いたことがあるという方がほとんどかもしれません。では、実際に天国を持っているという方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。こうなると、かなり少なくなってくるはずです。今、「私は持っている」と思ったあなた。その天国は、果たしてホンモノの天国なのでしょうか? 一度でも確かめてみたことは、ありますか? 実のところ、現在世間に存在している天国のほとんどはニセモノなのです。これは由々しき事態です。にもかかわらず、そのことに気が付いている人はほとんどいないという状況です。みなさんには是非、危機感を持っていただきたい。そして、ホンモノの天国を手に入れましょう。天国を使用する時になって初めてその真贋を理解するような嘆かわしい事態を少しでも無くせることを願ってこれを書いています。まだ天国を手に入れていないという方も、ご心配には及びません。あなたはこれから、人生を通して、ホンモノの天国を手にすることができるからです。この記事では、ホンモノの天国を見分けるための条件をお話しします。どなたでも確かめることができる、たった二つの簡単な条件です。

 さて、一つ目の条件をお話ししましょう。天国を既に持っているという方。思い出していただきたい。あなたはその天国をどうやって手に入れましたか? まさかとは思いますが、人から譲り受けたりなんてしていませんよね? 残念ながら、人から譲り受けてしまった天国は、その全てがニセモノです。天国は、その所有者を変更することが一切できないものであるということを、覚えておいてください。天国は、誰にも与えることができません。一つの天国につき、所有者は必ずひとりであります。また同じように、ひとりの所有者につき、天国も必ず一つです。これは、人に限った話ではありません。花や鳥や、魚や、砂粒に至るまで、この世に存在するものそれぞれに対し、きっかり一つ。それ以上所有することは不可能です。もしも、いくつもの天国を持ち歩いている人に出会ったとしても、騙されないでください。そのいくつもの天国のうち、ホンモノはたった一つだけです。その他の全ては、ニセモノです。気を付けてください、あなたを欺こうとしている人は、存外沢山潜んでいます。ホンモノである一つ目の条件は、「自分自身で手に入れた天国である」ということです。手に入れる方法は一つではありません。見つける、つくる、気づく、思い出す……など、様々な方法が考えられます。

 二つ目の条件です。その天国は、誰かの天国と全く同じだったりしませんか? まさか、まさかとは思いますが、誰かの天国を複製したものを所持しているというようなことはないですよね? もしそうであるなら、残念ながら、その天国もニセモノです。この世には、全く同じ天国というものは一つとして存在することができないからです。それは、天国が天国であるために、必ず必要な条件です。忘れないでください。あなたと全く同じ人間はこの世に存在しません。そうであるならば、同じ天国がいくつも存在することはできないはずです。もちろん、限りなく似通った天国はいくつも存在しているでしょう。しかし、そのどれもが、必ず少しずつ違っているということを、よく覚えておいてください。あなたがもし、天国をより簡単に手に入れることだけを考えて、誰かの天国を複製しようとしているのなら、今すぐにその考えを改めたほうがよいでしょう。もっとも、ニセモノの天国が欲しいのであれば、話は別ですが。ホンモノである二つ目の条件は、「無二の天国である」ということです。

 ホンモノの天国であるための条件は、分かっていただけたでしょうか。既に天国を手にしている方は、ご自身の天国が「自分自身で手に入れた天国」であり、且つ「無二の天国」であるかどうかを、是非一度ご確認ください。これから手にする予定の方は、この条件をきっと、お確かめください。

 最後に、ささやかなアドバイスです。ニセモノの天国が溢れかえるようになった理由について、考えてみましょう。ニセモノの天国を押しつけようとする人は、なぜそのような無意味な非道を行うのでしょうか。昔から、ニセモノの天国を掲げて人を集め、誰彼構わず押しつける人は後を絶ちませんよね。ホンモノの天国について理解したみなさんにとっては、さぞかし無意味な行動に思えるでしょう。しかし、騙されてしまう人もいます。天国を手に入れたい気持ちばかりが焦れば、何にでも手を伸ばしてしまうのです。騙されてくれる人さえいれば、ニセモノの天国を押しつける人は得をできる場合があります。誰かにニセモノの天国を無事に押し付けることができ、誰かがそれをホンモノだと信じ、有難がるとしましょう。そうすることで、その極悪人の天国が、より良い天国へと進歩を遂げる場合があります。(それぞれの持つ天国の性質によって、どのような進歩を遂げるかはまちまちです。)また、極悪人はこの行為が悪だとされるだなんて、微塵も思っていないのです。むしろ、良い行いとさえ思っています。極悪人が極悪人たる所以はそこにあります。気を付けてください。この世界の悪人が、いつでも悪人面をしているとは限りません。とても優しく、あたたかく、ずっと傍にいたくなるような……そんな何かに出会った時こそ、用心深く接するようにしてください。何度も繰り返しますが、天国を人に分け与えることは決してできないのですから。そして、みなさんも注意しておいてください。誰もが、この極悪人になる可能性を秘めています。自らの天国の進歩のために、誰かの天国を奪うことは、絶対にあってはならないことです。誰の天国も剥奪することなく、自身の天国の進歩を目指してください。どのみち、所持できる天国は一つだけなのですから。

 天国を手に入れることは、簡単ではありません。しかし、焦らないでください。焦って手にできるものは、ニセモノだけです。必ず、あなただけの天国を手にする時が来ます。ニセモノの天国をホンモノだと勘違いしていたばかりに、ホンモノを見逃してしまうようなことのないよう、十分お気をつけください。誰も、あなたの天国を所持することはできないのです。どうか、お忘れなく。みなさんが、みなさん自身を大切に過ごしていれば、大丈夫です。大丈夫です。必ず、ホンモノの天国を手にすることができます。

 天国を手にした方は、せっかくなので、それを使って遊んでみてもいいでしょう。天国を使った遊びは、生きているうちにしかできません。生きているうちは、いくらでも天国を使って遊ぶことができます。天国には誰も招待することができませんが、それを見せ合うことはできます。生きているうちだけ、できます。どんなやり方でもできます。その天国のかたちに合った方法で。もしかすると、無意識のうちにそうして遊んでいたという方もいらっしゃるかもしれません。誰かの天国を奪わなくても、そのようにして、少しずつ天国は進歩しています。焦らず、奪わず、遊ぶように、そして何より、一つより多くを望まないようにしてください。いつか私の天国を、みなさんにお見せできる時を楽しみにしています。

作:ぱやちの
作詞、楽曲制作、イラスト制作等、インターネットを中心に楽しく活動中。丸いかたちが好き。お仕事のご依頼お待ちしております。

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