エンジェルブルー（作：坂口喜咲）

天国、ピンク、お母さん、ときて、4回目のテーマは結婚。

毎回なんとなく、本当はもっと傷口に触れるみたいな文章を求められてるのかなあ〜とやんわりテーマから感じ取ってはいるのだが、期待されているようなことは書けそうになくて、暇つぶしで読んでもらえたらうれしいです

私は未婚で、もうすぐ36歳になる。結婚について、全く考えないで生きてきたかと言えば嘘になるけど、正直、変なタイミングで結婚してこなくてよかった〜とは思っている。

この歳になると、友達の結婚式に呼ばれることもほとんどなくなった。いざ結婚式ラッシュの時、私は「お金をなくしてみる修行」の最中で本当にお金がなくて、大事な友達の結婚式に行けなかった。今になってもごめんね、と思うし、残念に思う。行きたかったな。行けばよかった。

「お金をなくしてみる修行」は当時、貧乏バンドマンを経験してきたおじさんたち（昔よく打ち上げにいた）に言わせると、絶対に必要なものだったらしい。君はお金に困ったことがないから、苦労したことがないから、と言われたことに腹が立ち、おおそうかい、じゃあ金なんか今すぐなくしてやるよ、とわざとなにも計算しないでバカバカ使って暮らしてみたのだった。あっという間に全財産は500円になった。

当時頼れる人がいなくて、けっこう苦しかった記憶はあるのだけど、なんかそういうことはもう大抵忘れてしまった。どうでもいい中途半端な辛かったことってすぐ忘れてしまう。とりあえず健康も害さなかったし後悔はしていないので、確かに経験しといてよかったな〜とは思う。

その時の経験で学んだことは、お金は計算して使おうねってこと、信用する人間は選んだ方がいいってこと、あと嫌なことはやらなくていいってことかなと思う。

自分の経験や価値観を若者に押し付けてはいけない。これは自戒を込めている。最近反省することが増えてきた。あのおじさんたちも、きっとさびしかったのかな〜と思う。今は昔よりそっちの気持ちもわかるようになってきてしまった。

「私がバンドを始めた頃はまだSNSがなくてね」とか「昔、事務所が厳しくてTwitter禁止されててね」とか、もう、まじでやばい化石みたいなことが口から出かかる、本当にやばい。気を付けようと思う。

エンジェルブルーのナカムラくんのTシャツが、しまむらみたいなところで2000円で売っていた。なにもかも変わり続けている。

読んでくれてありがとうございます。

明日が良い日になりますように。

作：坂口喜咲　
歌手 / シンガーソングライター
東京都出身。
2011年バンドHAPPY BIRTHDAYのVo.Gt.としてSony Music Associated Recordsよりアルバムリリース。2015年バンド解散後より、ソロで音楽活動を行う。ギター弾き語りやバンドでのライブ活動の他、楽曲提供やチェコアニメのナレーションなど、自由に活動中。
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