新しい公式

 小学生の頃“新しい円の面積の公式”を導出したことがある。それはノートいっぱいに汚い字で綴られていて、しかし確かに正しいように思われた。けれど僕がそのノートを自信満々に先生へと渡すと、すぐに先生は全てを否定するかの如くたくさんの斜線を書き込んでいき、最後に「=πr^2」と書き足した。つまり、確かに“円の面積の公式”ではあったものの“新しくはなかった“のだ。訳もわからず突きつけられたその悲壮な現実に、僕は「πr^2よりもシンプルな円の面積の公式を発見したら100万円を払ってもらう」という(先生側にはなんのメリットもない)約束を取り付けたのだった。先生、俺は諦めてないからな。


という話です。

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