上京失敗日記



冬の寒い日の水は、冷たいと凍れるのにいつもよりも冷たい。夏の暑い日の水は、冷たい水が欲しいのに、少しぬるい。


美味しい店に行って、ゆっくり過ごしたいのに、やっぱり美味しいから店は混んでる。並びたくないのに。環境を変えれば自分も必然的に強くなれる思っていたのに、結局私は弱くなっていった。東京は、なんでもある街と聞いていたのに、何にもなれなかった。幸せなんだよ私って唱えてれば幸せになれると思っていたのに、笑ってたら良いことがあるよって聞いてたのに、結局昔の自分が一番恋しい。

こうやって私は、いつもないものねだりで、大きな矛盾の中で生きてる。

気づいた時にはいつも遅い。

”忙しさ”を理由にして、色んなことを疎遠にしてきた。私が人に”会いたい”と思った時には、もう遅かった。相手も世界も。

”また今度”って言葉はいつ来るのだろう。当たり前に来ると思ってた”また今度”は遠い遠い”いつか”に変わっていった。


話は遡り、去年の3月に私は上京した。(て言っても神奈川だけど、ほぼ上京ってことで以下上京で。)

東京は憧れだったし、好きだった。だってなんでもあるじゃん。何したって、誰の目にも止まらない感じ。それがなんか好きだった。別に、田舎にいて「わかなさん!!!」みたいな芸能人みたいに顔バレしてるわけじゃないけどさ

それでもなんか、好きだった。

上京した次の日、すぐ東京にいる友達みんなで飲みに行ったし、北海道からも友達がきたし、「お母さん、東京は怖い街です、、、笑」とか冗談言いながら渋谷で朝方道端に嘔吐している人を見て呟いたりした。その時超笑ってたな、ドラミ。

でも、それから1ヶ月後に緊急事態宣言が発令された。

しばらく人に会えなかった。

親に頭下げて、いろんなもの置いて北海道から大きな期待を胸にやってきた東京はいつの間にか、「東京差別」という言葉が生まれるほど、「東京は怖い街です」って違う意味で使われるようになっていった。


その頃から、眠れない日々が続いた。

太陽に当たらない日も続いた。

編入先の大学も、全面オンライン。


その中でも、友達ができたり、心配してくれる人が沢山いた。それでもいつも、心は満たされなくて、気づいたら毎日泣いてた。

自炊も最初のうちは楽しかったけど、日に日に一人で食べるご飯は味がしなくなってた。

お風呂に入らないなんてありえない!って生きてきたけど、初めて3日もお風呂に入らなかった。インフル以来だな。

「実家に戻ってこい」と毎日ラインが届いた。でも頑なに帰らなかった。


私が上京してから過ごした8ヶ月間の間で、どんどん体調は悪くなって、なんのやる気も起きなくなって、人に優しくもなれなくて、苦しかった。

でも、人から電話がきたらいつも通り話した。

それでもどこかで頭では「私は幸せなんだよ、私は恵まれているんだよ、大丈夫だよ!」って私の中の松岡修造が必死に叫んでた

でも心の中では「もう疲れたよ、疲れちゃったよ、休みたいよ」って私の中の本当の前田和佳奈は叫んでた。訴えてた。

友達に「もう明日、死んでも良いんだよね」って話した時、すごく悲しい顔をされたのを覚えてる。だけどごめん。あの時は、自分のことしか考えられなくて、もう生きてても、しんどいって思ってた。


今、毎日流れてくるニュースの中で、もっともっと苦しんでいる人、大変な人がいると思う。そして、命をたってしまった多くの命も、あるだろう。

「お前はもっと苦しい人がいるのに!」なんて、どうか、どうか、言わないで。

私は今、胸を張って言える。あの頃の私は、本気で、辛かった。

辛いの指標はそれぞれで、幸せの指標もそれぞれ。誰かの「不幸」を見て「自分の方が幸せだから」なんて、誰が言えるんだ。自分の幸せも不幸も自分にしかわからないんだから。


11月のはじめに私は救急車で運ばれた。神様、助けてくれて、ありがとうございます。

前日、大好きな友達に久々に会えて本当に幸せで、楽しかった。でも帰りの電車ですごく具合が悪くなった。

次の日、激しい目眩と吐き気がして、ベットから降りようとしたら視界がぼやけた。終わったって思った。でも、なんとか携帯で救急車を呼んで、救急隊の方がきてくれた時、すごくホッとした。

そのあと入院した時のお医者さんはすごく優しかった。検査結果は異常なしで、ストレスによるものじゃないかって言われた。

「眠れてますか?」って聞かれて、すごく泣いてしまった。毎日毎日、眠れません。死にたくて、でも、でもって泣いてしまった。その時すごく優しくしてくれて「抵抗はあると思うけど、一度心療内科に行ってみたらどうかな?楽になれるかもしれないよ」って言ってくれた。

退院してから心療内科に行った。

怖かった。ああ、薬漬けになりたくない、どうしよう、これでもし何かの病気で、そのせいで私がうまく生きられなくなったら、この先の社会でうまく生きられなかったら、どうしよう、って。


脳の光トポグラフィーという検査と、カウンセラーによるカウンセリングと、お医者さんと話をした。

お医者さんは女の人で、なんで上京したの?とか、何を学んでるの?とか、めっちゃ質問責めで、嫌だなあ何も話したくないなって、思ってたんだけど

今自分が何が辛くて、何が頑張れなくて、何を頑張りすぎてて、とか気づいたら全部話してた。


「本当に頑張ったね、よく頑張ったよ」って言われて泣いてしまった。


そして、脳の思考力が低下していることと”適応障害”であることが診断された。


「あんまり眠れてないのも、脳と身体が休めていないからだよ。もっと休みなよ」って言われたけど、休み方なんてわからなかった。

「どうすれば治りますか?」って聞いたら「休むことだよ。それだけ。」って言われて、でも休み方なんかわからないし、私だって眠りたいし休みたいよ


「あなたは何のためにここにきたの?本当はもっとやりたいことがあって、願いがあってここにきたんじゃないの?でも今のままなら、できないよ。」って言われて


「でも、自分が社会に出れなくなるのも、頑張れないのも、いやです。負けたくない」って言ったら


「何がいけないの?頑張ってきたじゃん。本当によくここまで頑張ったよ。何が負けなの?たくさんの人見てきたけど、誰も負けてなんてない。」って話してくれて


すごく泣いたし、すごい量の鼻水噛んだの覚えてる(笑)


品川の病院だったけど、行きは品川駅があんなに綺麗で大きいことに気づかなかったのに、帰りはすごく大きくてキラキラしてて、「かっこいい!!」って思いながら家に帰った。すごく楽になった。


そして、診断書をもらい、しばらく北海道に戻ることを決めた。


そこから2ヶ月が経ちます。私は、結果的にいうとすごく元気になりました。


でもたまに今でも、気持ちが落ち込んだり、理解されないことも多くあったり、パンクして家飛び出したりしてしまうけど、そんなのは私にとっては可愛いもんです。辛かったことを笑い話に出来つつあることも、家族と食べるご飯が美味しいことも、友達や恋人と会って他愛のない話をして、馬鹿みたいに笑うことも、幸せです。


適応障害の診断をもらってから1番の薬は「休むこと」と言われ、私は薬物治療は行っていません。「休めば治る」なんて、そんな簡単に治るんかいって思うかもしれないけど、私の場合は自分の中にあるストレスを取り除くことで、元気になれました。適応障害は鬱病の手前と言われています。ストレスがはっきりしているので、眠れたり休めたりストレス原因を取り除くと治るとも言われています。(個人差もあるので、そこははっきりとは述べられませんが)


上京してからしばらくは一人の時は寝落ちも気持ちの良い睡眠も1人の時は全然出来なかったけれど、今では寝落ち芸人並みに寝落ちしてます。


元気になればなるほど、辛かった時に助けてくれた友達の言葉や、優しい表情も悲しい表情も浮かびます。この一年、本当に人に優しくなれなかったな。いや、もしかしたら今までもずっと、優しくなんてなかったのかもしれない。


綺麗事を吐くことは、悪いことではないと思うんだ。私はよく、綺麗事を言った後、後悔するけど。


辛かった時期に今ちょっとだけ辛くて、、みたいなことを言ったら「必ず乗り越えて。そしたらさ、もっと優しくなれるから。大丈夫だからさ。」って言ってくれた人がいました。


正直、綺麗事に聞こえた。


でもね、今その言葉のおかげで、優しくなれました。前よりちょっぴり。優しさは強さだもんって、昔誰かにカッコつけて言った綺麗事も、ほんとゴトになった。綺麗事をほんとゴトに変えれちゃったよ。



この記事は、誰かに対して向けたメッセージではないけれど、もし読んでくれたあなたが今自分の「辛い」と思う感情に苦しみを覚えているのならば、誰かの不幸とも幸せとも比べる必要なんてないと思う。って言いつつ、比べちゃうよね。私は比べちゃうわ。ごめん、すーぐ綺麗事いうのやめる。やめないけど。



以上が私の上京失敗日記です。



これが失敗となるのか、成功となるのかは、今の自分には判断しかねるので、いつかの自分が「成功だった、、、、!」というまでは失敗と捉えることにします。


私は、ちょっとだけ、自分の山を乗り越えました。悩み大き地球民なので、これからもめっちゃ悩んで、泣いて、笑って、暴飲暴食して、なんだかんだで生きていくと思います。でも、さっきも言ったけど、私ちょっと優しくなりました。多分。(笑)


今、取り戻したい時間がありすぎて、後悔もありすぎて、いまだにお風呂で泣いたりするけど。迷惑かけるのが友達だよ!って言ってくれた人がいて、「いやそんなん綺麗事やん」って、まーた思ってたけど、実際自分は友達に迷惑かけられるくらいが愛おしかったりする。ので、こんな私で良ければただ話聞いてほしいーとかあれば連絡ください。相談乗ります。


ラインのI Dは@bandmania.wakya です。悪用しないでください。あと、I Dバンドマニアワキャ?wwwwwって思ったひとはその感情殺してください。


こんな長い文章誰が読んでくれてんのかな、でもありがとう読んでくれて。今日もゆるりと生きようね。




そしてさ

お互い、あったかい飲み物でも飲んで身体には気をつけよね。











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