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24時間謎制作記 〜配信編〜

前置き

 これは体験型・リアル型脱出ゲームを体験できるエンターテイメント謎解き制作団体ファーニャーの南新宿店にて行われた2024年2月3日の12:00から2月4日の12:00までの24時間で謎解き公演を作る狂気の企画こと「終わらない修羅場からの脱出」の中の1企画として作られた生配信謎解きを制作に参加していた立場から勝手に振り返る記事です。

 実際の公演の様子はこの記事を書いている時点ではYouTubeにアーカイブが残っているのでぜひご覧ください。

【2/4 16:00開演の第1公演で行われたもの】

【2/4 19:00開演の最終公演で行われたもの】

 誰でも見れる状態で配信をするという都合上、2回とも出題される謎の内容は異なっています。個人的には19:00回の動画がおすすめです。ぜひ見てね。


制作時の話

 2/3の12:00から行われたキックオフミーティングの結果、全体として「節分」「学園祭」がモチーフで、多数の短編公演が集まるフェス型の公演を制作することが決定しました。
 今回公演制作の様子は24時間ずっとYouTubeで生配信されており(第1部第2部第3部)、そのまま配信を見ていた人も参加できる企画として「生配信謎」の制作が挙がりました。ただ、個別制作開始時に担当したい場所を各々が選んだ時点で配信謎の希望者はゼロ。そのままでも元々会場の生配信を担当していた阿部秀斗さんが1人で作る感じで制作は進みそうでしたが(ついでに言うと1人でも余裕で完成しそうでしたが)、誰もいないならこっち行こうと最初になんとなく選んでいた全体システムとかそういうのを決めていく部門のところから移動。
 ぶっちゃけ作る公演がフェス型に決まった時点で公演自体の開催成功はほぼ決まった感があった(大謎+短編コンテンツ詰め合わせなら制作者が多すぎることによる意見の衝突で制作が停滞したり制作物に対する認識の齟齬により要件が合わないものができて全体に影響する大幅な巻き戻しが起きる可能性がほぼなく、各部門をやりたい人もいっぱいいてみんな制作に対する熱量が高いので完成もしそう)ので、本流っぽいところにわざわざいなくてもいいやと誰もいない一番よくわからない場所を選びました。
(制作サイド78人全員で1本のストーリーがある1チーム6人のテーブル型60分公演1つを作ることになってたらすごかったでしょうねぇ……)
 配信の制作スタートです。

 2人しかいないので挨拶もほどほどにブレストを開始、途中ふんわりとブレスト参加しにきた方が現れつつ30分も経たないうちに大枠から最後のオチまで概ね出揃い、骨子は完成。あとは使うものを揃えて謎を作るだけになります。

 配信担当者が制作リーダーなので制作は常にカメラの横でやっており、様子や会話はおそらく全部配信に乗ってます。詳しくはアーカイブへ。(第一部の3時間経過したあたりからかな?)
 そんなつもりはなかったのに、カメラには映ってないものの配信の横で14,5時間くらいガヤとして喋ってました。尺が長すぎてどこかで失言が残ってそうで怖い。

 配信ブースはほぼ常に誰かしらゲストが来ていてアイデア出しに巻き込まれ、また配信にコメントをくれる方々も制作に巻き込む形でアイデアを募集し、謎は徐々に仕上がっていきます。
 一応全体が学園祭モチーフだったので「ユーチュー部」という部活の出し物という設定をつけてはいたのですが、いつの間にか配信は本筋の公演には何ひとつ絡むことがない謎の立ち位置になってました。なんなら公演のオープニング映像やパンフレットにも公演情報が出てないですし、情報出してという催促すら来てなかったような……。ブレーキをかける気が誰にもなかった制作現場から生み出された完全に異質な何か。

 まあ、会場の一角で公演の転換中も含めずっと人を拘束し続けてるわけわかんない企画だったので、それはそう。

企画の中身の話

 配信は公演中でも配信を見ている人が参加できることがコンセプトだったため、全体戦の形式を取っていました。
 謎を解いて答えが示すものを配信会場に置かれたカメラに映すことでクリアとなり、全10問解ければ成功となります。

 謎は配信画面でしか出題されず、視聴者はその問題の答えをコメントに書き込むことができます。
 コメントは会場に投影されることはなく、ただ1人、配信のカメラの前に実際に鎖と南京錠で拘束された“校長”ことファーニャーの代表、ろこたすさんのみが見ることができます。
 そして校長は開始時は猿轡で口を封じられているため喋ることができず、何を持ってきて欲しいのかジェスチャーのみで会場の参加者に伝えます。
 最後に何を持ってくるべきか理解した参加者は会場内からアイテムを探し、カメラの前に持ってくるという流れです。

 途中で猿轡が外れて喋ることもできるようになるのですが、各回最終問題に近づくとクリアするためにはわりかし不都合なことを話さざるを得ないという仕掛けになっていました。

 というわけで謎の中身を紹介。
 配信のサムネイル画像はこちら。画像系のデザインは全部やりました。全体のデザイン班では素材なども自作していたようですが、配信では過去に何かで使って残っていた素材や検索して出てくる系の素材は普通に使い倒してます。
 そして公演開始前に会場を去ったので、本番配信は阿部秀斗さんとその他公演時間にスタッフをやっていた皆様にお任せでした。現場見たかった……!

頭に被せる麻袋がなかったのでクッションカバーを加工したもので代用しました。
教卓のパースが合ってないのは合わせるのが面倒だったからです……。

第1公演の謎

 まずはジェスチャーパート。

答え:えんぴつ
答え:たけとんぼ
答え:さいころ
答え:クリアファイル
答え:すごろく
会場内から探して持ってくるべきスゴロクを完全新規に用意するのは大変だったので、ちょうど去年の秋に出した持ち帰り謎「謎スゴロク」のデータを流用して作ったものを置いてました。
答え:さるぐつわ

 猿轡をカメラに映すには校長についているものを外すしかなく、猿轡を固定する鍵を開ける番号を導くための謎が次。

答え:3156
第3問に出てきた「よろしく」の下にある「さいころ」

 答えがわかって番号を示してもさいころを持ってきて欲しいと誤認されるような仕組み……だったのですが、ドンキで買ってきた猿轡ではサイズが合わず使えなかったため、第6問はパスに。
 ここから猿轡が取れて喋れるようになります。

答え:マイク
会場で司会などに使っているものを借りてくる必要がありました。
答え:床にあるコンセントのフタ
我こそは一番足が大きい!という人を募って、その人の靴を映せばクリア
ローマ字読みしてみてね

 最終問題はこちら。マメーというのは公演内で使われていた通貨、もとい大豆のこと。いくつ持ってきて欲しいのかは本人による自己申告でした。
 さすがにここにいくつだったか書くのは憚られるので、気になる方はアーカイブが残っているうちに配信を見てください

 そして、猿轡は外れましたが、この公演で校長を縛る鎖の鍵は開いていません。故に第1公演が終わっても拘束は解かれません。転換中もそのまま放置され、最終公演が始まります。
 公演開始時に猿轡は復活し、再びしゃべれない状態になります。

最終公演の謎

 今回もジェスチャーパートから。
 最終公演は配信の方法がちょっと変わったようで、縛られたろこたすさんが画面に映っているため見ていて楽しいです。配信アーカイブはこちら。

答え:えんぴつ
答え:カーペット
床は映せないので剥がしたカーペットを持ってくる必要がありました。
答え:すいっち
任天堂のアレです。ろこたすさんの私物が使われた模様。
答え:生首
お化け屋敷で使われていたのと同じものがもう一個用意してあるのを見ました。どっちがカメラに映ったのかは不明。
答え:すごろく
第1公演と同様
答え:さるぐつわ
答え:3156

 今回も猿轡が答えの第6問はスキップ。以降喋れるようになります。

答え:カメラをうつせ
配信で使っているカメラに配信で使っているカメラそのものを映すミッション。急に謎解きっぽい。会場内から手鏡を持ってきてカメラの前にかざすことで達成できました。
答え:納豆巻を食べさせる
本当は前日に買った恵方巻きの予定でしたが買い出しに出た頃には完売しており、一つだけ残っていた納豆巻に変更。恵方巻きだったら食べている途中で喋ろうとしたとき「喋るんじゃない」とハリセンが炸裂しているはずでした。
ここに豆の数がいくつだったかは書けないので配信をみてね
答え:ろこたす

 最後は校長本人を映せば……おっともう映っちゃってたということで一旦カメラの前からろこたすさんは隠されます。
 そして同時に出題される謎がこれ。

答え:恵方にある一番近い駅に行け

 ろこたすさんを解放するための鍵はここにありました。
 地図で調べるとファーニャーの店舗から今年の恵方である東北東側には南新宿駅。会場からは片道概ね300mの距離。
 誰かがいまチケット代を払って参加している公演を抜け出してでも鍵を取りに行かないと校長は解放されないのです。(一応配信を見ている人が現地へ行って会場まで鍵を運ぶのも可能ではありました)

 勇者は現れ、無事に鍵は開きました。
 自由になった校長が自分の足でカメラの前に現れ、この問題も成功です。
 これによって配信企画は完全クリアされ、ろこたすさんは4時間以上ぶりくらいに自由になったのでした。めでたしめでたし。

最後に反省とか

よかったところ

 ちゃんとクリアされた。
 配信で謎を解いてくれる人も、会場で協力してもなんのメリットもない配信企画に参加してくれる人もいた。
 というか公演投げ出してまで鍵を取りに行ってくれる人いるんだ……。

 謎解きではわりと珍しめの生配信企画の知見をほんの少し得た。

反省点

 配信上に出すための視聴者向けの状況説明画像を用意しておけばよかった。
 特に1公演目、配信には暗幕しか映っていなかったのでコメントで答えを送ってもそれがどうなるかわからず面白くなかったかも。コメントをしてもそれを読む人は喋るのを禁止されているので音声での反応がない、という部分に説明は必要だった気がする。

 配信企画とその他制作の関わりがほぼなかった。まあこれ自体はどっちでもよくて、単純に会場にいた制作参加者の皆さんともう少し喋りに行ったらさらに楽しかったかも。(他企画班に話してる余裕があったのかどうかは別問題)(配信は配信でカメラが回ってるのもあって意識的に喋ってるブースだったから……)

 最近の恵方巻きは値引シールが貼られるような時間になる前に買いに行かないと売り切れるらしい。節分に恵方巻きを食べ損ね大変悔いが残る。ネギトロ巻きが美味しそうだった。あまりにも悔いが残ったので昨日ネギトロ巻きを買いました。

 以上、配信企画『【楽しい】◯拐した校長先生で遊ぼう!【フィクション】』の個人的振り返り記事でした。

その他

 24時間制作企画は制作の時間には参加できず公演時のスタッフだけでもやりたいって人にはだいぶ厳しい環境かもしれない。
 作っている人たちは内容を熟知しているのでマニュアルがなくてもしっかりそのコンテンツのスタッフとして動けるのだけれど、制作とブラッシュアップに時間が取られてマニュアルなんか作っているヒマがあまりない。その場で初めて会うスタッフだけやりにきた人にどうやって動けばいいのかを正確に説明してスタッフとして動けるようにするのはなかなか難しい。その上、24時間濃厚に制作を共にしてきた制作陣の中にその経験を共有していない初対面の人が入り込むのが大変なのは想像に難くない。
 そういう意味では今回夜中に制作を始めたのに(制作リーダー自身が公演時には会場にいられないからと)朝にはしっかりスタッフマニュアルまで作りきっていた「謎すくい」制作班はとにかくすごかった。

 もしまたいつか似たような企画があってそれに興味があるのなら、自分に制作ができるビジョンがまったく見えなかったとしても、時間があるなら制作初期段階から飛び込んでみることをおすすめするよ。

 逆に「制作と運営を別で集めて、制作に参加した人は運営に一切参加できないから時間内にスタッフマニュアルまで作り切らなきゃ詰む」レギュレーションとかで開催しても地獄が生まれて面白いかも。

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