テイルズオブベルセリアが神EDだった話

アライズショックを経て、今更ベルセリアをクリアしました。だいたいエンディングの話+α。名言忘備録とも。
解釈考察っぽいようでただ思ったことを綴っているだけです。感動で支離滅裂気味。




鳥はただ、自分が飛びたいから空を飛ぶんだ!

テイルズオブベルセリア

ちなみにこれは本編でなく、ベルセリア購入前にレイズで決戦魔鏡を引いた時にバチっと惹き付けられた台詞です。というかレイズでこれを聞いたからこそ買いました。レイズ、マザーシップタイトルの購入にしっかり貢献している。

…と、さっそく脱線から始まりましたが、本編で聞いた時には改めて感動しましたね。3年前には餌を捕まえられないからと答えていたベルベットがこの結論に至ったのがよかった。喰魔になってからもずっとアルトリウスの問いを(まあ事ある毎に言われてたとはいえ)考えて答えを出したんだなぁって。最後対峙する時までずっとこの問いが意味を持っていたのもいい演出だと思いました。人によってはくどかったかもしれませんけど。最後までアルトリウスの望む答えを出さなかった、ベルベットとアルトリウスの交錯しない道がとても彼女たちらしい。そしてそれがかなしくて、良い。


あの日からのアーサーは嘘なんだよ

テイルズオブベルセリア

だいたいオタクはこの手の台詞に弱い(台無し)

嫁とお腹の子を業魔に殺され、その後颯爽と現れた(どう考えてもこいつのせいな)メルキオルから村人に二人が売られた話を聞き、人間に絶望して再び"アルトリウス"として生きることを決めた。

まずメルキオルのタイミングが良すぎる。おまえ絶対アーサーを唆すタイミング見計らってたろ。というか業魔に襲わせること自体コイツが仕組んでた説。

もしアーサーがたどり着いたのがカノヌシの封印に近いアバルでなければ。村人が差し出したのがセリカでなければ。あるいはメルキオルから村人たちの真実を知ることがなければ。アーサーはアルトリウスに戻ることなく、アーサーのままベルベットとラフィと生きていけたのかもしれない。

それから絶望したアルトリウスは理の世界を創ろうとしますが、それには"セリカたちを犠牲にした人間の感情・人間そのものへの復讐"といった側面もあったのではないかと思いました。ベルベットはアルトリウスという個へ、アルトリウスは絶望した人類そのものへの復讐。という構図にも見えました。

アルトリウスが10年前に即義姉弟を犠牲にすることを選べたのは、ふたりへの感情がどういうことだったんだろう?とネガティブ方面に考えていたんですが、いろんな方の考察と引用を拝見して、おそらくは10年前のあの日に「絶望を抑え込む」誓約を「愛する義妹と義弟を犠牲にする」ことを対価に行っていたと知ってマジでよかったぁ…と思いました。あのシーンのメルキオルに唆されて決めるまでの早さを見て、ふたりのことそこまで大事に思ってなかった説が自分の中で浮上しまして。いやすみません、アルトリウスのカノヌシの餌になれるほどの絶望の考察普通に忘れてた(ポンコツ)


俺は、ずっと思っていたんだ
死んだのがセリカたちでなく……『お前たちだったらよかったのに』……と

テイルズオブベルセリア

理だの個より全だの言い続けてきた男がずっと押さえつけてきた感情は、あまりにも人間だった。

この台詞があったからこそベルセリアのEDはより深くなったと思います。本当なら言わないはずだった、墓場まで持って行くはずだった個の感情を、最期にベルベットに吐き出した。

……あたしもそう思う
もしそうだったら、きっと義兄さんはあたしたちのために世界を救ってくれたもの

テイルズオブベルセリア

義妹の返事はあまりに優しかった。傷つく素振りもなく肯定した。そして「きっとあたしたちのために世界を救ってくれた」と、アーサーの愛情を今も信じていた。ふたりが救いようがなくすれ違っていて苦しい。でもこの苦しさこそベルセリアの素晴らしさだと思うのです。

ああ……救いたかっ……た……

テイルズオブベルセリア

そして、ベルベットはアーサーの言葉を聞いて涙を落とします。これはベルベットが半ば願望のように縋った"あの日まで"のアーサーが自分たちをちゃんと愛してくれていたという思いへの肯定であり、また「救いたかった」という過去形の表現から、叶うなら今自分を突き刺しているベルベットも本当は救いたかったんだ、という意味にも受け取れると思いました。最後にアーサーと言葉を交わしたベルベットは、ほんの少し救われたんじゃないかな。

くやしい……なあ……

そしてその「くやしい」という感情は、アルトリウスとして"理の世界を創れなかったこと"であると同時に、アーサーとして"最愛の義妹を救えなかったこと"でもあるんじゃないかと思いました。セリカたちを犠牲にした世界だからこそ救われなければならなかった。だけど最愛の義妹だって救いたいに決まっていた。そんな相反するふたつの感情から零れた言葉なのかなと思いました。

世界を巻き込んだ壮大な家族喧嘩。そこには本当は、形は失ってしまったけれど、愛があった。


余談ですが、上記の通り「義姉弟躊躇いなく犠牲にしようとしたけどアーサー本当にふたりのこと愛してた?」など考えていたクリア直後の僕は、本当に"ベルベットとラフィのため"に世界を救おうと思ったのかな?と疑っていました。義兄さんごめん。


とにかくEDの破壊力が凄まじすぎたのでEDだけ先にざっくり書きました。感情が膨大すぎて渋滞してなかなか文章にならず、本当に素晴らしいゲームに出会ってしまったんだと思いました。これはマイベストテイルズ更新した気がします。以下ぽつぽつ。


まず3年前の緋の夜なんですが、僕はアルトリウスがラフィに自分から生贄になると志願するように仕向けるため本を読ませ、またベルベットは最初から喰魔にすることを前提にアーサーを演じていたのだと思っています。が、とある方の考察で「もしそうだとしたら、アーサーはふたりのことをあの日から計画の駒としか見ていない、それではあまりに救われない(要約)」と書かれていたのを拝見して、それもそうだ…と思いました。(というか自分はそうだと信じてプレイしてきたので、余計に上記の「義兄さん本当にふたりのこと愛してた…?」って感情が湧きました。)


弟のために復讐を続けてきたベルベットが地脈で一度折れるシーンがやはり好きでした。

だから"あの時"を奪われたことが……あたしを選んでくれなかったことが……悔しいっ!

村娘ベルベットは夢がないと言うくらい3年前までの生活が充実していて、それが本当に宝物のような大事な時間だった。だからこそアーサーにも同じように思っていて欲しかったし、これからも3人で今までと同じようにアバルで生きて行きたかった。個より全、ベルベットたちとの生活よりも世界を選んだことがどうしても許せなかった。アルトリウスに対しても、ラフィに対しても。

何よりここで、「弟のための復讐」から「ベルベット自身のための復讐」へと目的が変わったのがとてもよかったです。このあたりから吹っ切れたような、素のベルベットが顔を出し始めたりして。余計にベルベットというキャラを好きになりました。

何気にこのシーンのフィーの手を掴んで「そのうぬぼれ屋に言ってやれ」的なことを言ったアイゼンがめちゃくちゃツボでした。さすがだCV森川…ッ!


あとマギ姉さんの過去が壮絶すぎてやっぱりメルキオルすべての黒幕説…と思いました。道化ほど闇が深いとはいってもこれは深すぎでは。ある意味ベルベットより深いかもしれない。「人は苦痛には耐えられるが、幸福には逆らえん」という台詞があれほど深いとは思っていませんでした。グリモ姐さんからメイルシオの聖堂で話聞けたのすごく好きだった。


他にも好きなシーンめちゃくちゃあるんだけど、ちょっと脳みそが整理しきれてないのでこれで。特に書いておきたかった大きいシーンはだいたい書いたので。
あそうだ、最後にひとつだけ。EDのベルベットの夢、本当にどうしてこうならなかった。(だってそうじゃないとベルセリア始まらないとか言わない。)