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非常階段 a.k.a 秘密基地


いつになっても秘密基地には憧れる。

小さいときはログハウスがずっと憧れだった。最寄りのログハウス(聞いたことない単語)には、小さい時よく言っていたけど、近くで殺人事件が起きてから行ってない。長らく未解決だった気がするけど、そろそろ解決しただろうか。してるといいな。

大人になってからの秘密基地は、、と思って記憶を遡ったけれども、全然思いつかない。
オアシスみたいな場所はたくさんあるんだけど、秘密基地みたいな場所はなかなか思いつかない。
秘密基地で満たしていた感情はどこに行ってしまったんだろうと思う。

この間外苑前のシーシャ屋に行ったときに、目の前がオフィスの席に座ることになった。
眼の前には、ガラス越しのエレベーターと非常階段。

そこに1人のお姉さんが来た。

てけてけ歩いて非常階段につくと、手すりを使って腕立てし始めた。20回くらい。

すごい気になる。でもなんだか覗きをしている感覚に苛まれて、見ちゃいけないような気もする。どう頑張っても視界から消えてくれないから本を取り出して読むことにした。

でも本の内容が全然入ってこない、やっぱり気になる。逆無量空処みたいになって、一周回って何も考えられない。全然最強じゃない。

しょうがないから、目合わないでくれ〜と思いながらちょっと目線を戻すと、今度は手すりを使ってバレエみたいなことをしだしていた。タコくらい体柔らかい。もう、罪悪感も興味も通り越して、関心が勝ってしまっている。

閾値を超えた関心に身を任せてチラチラ見てると、最後にびっくりするくらいでかい深呼吸をしたあと、エレベーターに戻って仕事に戻ってしまった。

きっと彼女にとって非常階段は、誰にも見られなくて自分しか知らない、素になれる場所だったんだなと思う。秘密基地みたいな。ヒラタが見てしまったけど。

不可抗力だけど断りなく覗き見してしまった一抹の罪悪感と、タイムカプセルを開けたような懐かしさと、シーシャが美味しかったというぐっちゃぐちゃの感情で次の予定に行くことになった。

で、秘密基地で満たしていた感情はどこに行ってしまったんだろうと思う。(2回目)
まだ知られてないインディーズのバンドに出会っているとか、売れきる前の漫画家に出会えたとか、オープンしたばかりのお店がめちゃめちゃ美味しかったとか、そういう感情と類似している気もする。が満たせているか、と言われると、ちょっと違う。

あんまりよくわかんないや。
自分しか知らなくて自分がニュートラルに戻れる場所を探す旅はまだまだ道半ばなんですね。


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