負けを認めるまでの315日

はじめに

 大仰なタイトルをつけた気がするが大した話ではない。私がとある俳優のビジュ解禁を見てから、紆余曲折を経て推しだと正式に認めるまでの話だ。名前を出すのは何となく憚られるので、この文章中ではAさんと呼ぶことにする。知人各位は誰のことか分かるだろうし、何度も聞いた話だろうけど、生暖かい目で見守って欲しい。

5月から10月まで

 とあるマンガを布教され、ビジュに一目惚れして推しができた約2週間後、そのマンガの2.5次元舞台化が発表され、推しのキャストが発表された。それがAさんだった。Aさんの存在自体はそれ以前から動画で知っていて、「この人の横顔綺麗だね!」などと言っていたのを覚えている。1年後その人に情緒をかき乱されるとも知らないで吞気なものだ。また、Aさんが別作品で顔だけで選ぶなら一番好きなキャラ(以下Bくん)を演じているのも知っていた。ただこの段階ではビジュが非常にいい以外の印象はなかった。

10月

 10月、前述のBくんがいる作品の舞台があるということで観に行った。当時私は別のキャラが最推しだったが、その最推しを演じる人が前日にプチ炎上していたりして、該当キャラにどういった感情で向き合えばいいのか分からなかった。いくらキャストとキャラは別物とはいうことを理解していても、舞台だと目の前にいるのはそのキャストなのだからどうしても思い浮かんでしまう。というわけで(?)その日は「ビジュだけならBくん好きだし今日はBくんのおたくとして観に行く」といって観に行った。「今日は」で済まなくなるのでフラグを立てるなと当時の私に説教したい。
 個人ブロマイドを購入し、ランダム商品もいくつか購入。自引きしたり交換したりでとりあえずBくんと当時の最推しの分を手に入れた。無事席について観劇。1幕の歌唱シーンはもちろん、ほとんど出番のない2幕もBくん、もといAさんをずっと双眼鏡で追っていた。そんなつもりはなかったのだ。そんなつもりはなかったと言いながら3日後の公演のチケットを確保して2回目を観に行った。基本的に多ステはしない主義なのに授業を切って(しかも必修の秋学期初回の授業だった)観に行った。そしてこの日は最初から最後までBくんを観ていた。終わりの始まりかもしれない。

11月

 11月半ばにAさんがBくんを演じる機会がまたあるということで性懲りもなく観に行った。このイベントには別の推し俳優のCくんもいたので、Cくんをちゃんと観たら正気を取り戻せるかもしれないという気持ちもあった。そういう気持ちはあったのに、服装持ち物その他は全てBくん関係のものだったんだから正気を取り戻す気があるんだかないんだか。
 結論から申し上げます。ダメでした。皆さんお察しの通りですが。ずっとBくんの方ばかり見ていた。そして取り返しがつかないことにイベント最終日の帰りに寄ったマクドナルドでAさんのファンクラブに入ってしまった。おしまいだ。ファンクラブに入っていなければ「Aさんが演じるBくんが好き」と言える範囲内だったのに、ファンクラブに入ってしまったらもうおしまいだと思う(個人の感想です)。
 しかしそれでも往生際の悪い私はAさんのことを好きではない、顔はかっこいいと思うけどと言い続けていた。往生際の悪さに自分でも引く。

12~2月

 この時期はあまり何もなかったように思う。バイトと学業で手一杯だったのもあるけれど。12月にAさんのパネルと写真を撮る機会があって(冒頭に書いた一目惚れキャラを演じている時のもの)、どうせ見ないでしょうとメンションをした状態でストーリーに上げたら既読がついてひっくり返ったり、ファンクラブ企画でメッセージを送り返信を頂いてジタバタしたり、日替わりゲストの一瞬の登場シーンのためにチケットを取って舞台に行ったりはしたが、それくらいだ。しかし今になると、これは完全にファンがやる行動で、当時これらのことをやりながら好きじゃない!と言い張っていたの、小学生男子でももう少し上手いこと言うぞと思う。

3月

 お待たせいたしました。ついに負けを認める日が来ます。運命の3月です。好きかどうか結論を出すのを延々と先送りにしていて、この舞台を見て決める!と言っていた舞台を観たのが3月。しかしチケットもFC先行で撮った上、グッズの仮約束をして集める気満々、極めつけにお見送り回の公演に申し込んでいるんだからほぼ負けを認めたも同然だと思う。
 負けました。観劇中に負けを悟っていたのにお見送りまでされて耐えきれるはずがなかった。見送られたあとしばらく手震えてて同行者に笑われる始末だし。
 
 ただグダグダととある俳優に陥落するまでの出来事を書いた駄文をここまで読んでくださった方がもしいたらありがとうございます。どうやってこの文章を締めたらいいか分からないので、敬意をこめてめでたく推しになったAさんの言葉を借りて終わりにします。ハイ義ーズ


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