おおかみこどもの雨と雪。

おおかみこどもが上映されたのはたしか高校2年の夏だった。

ちょっとだけ憧れてる大学生の先輩に連れていってもらって、劇場で観た。

わたしは映画とかアニメとかの向こうのペースでがーーっとまくしたてられる感じが好きじゃなくて。
それまではずっと本ばかり読んでた。

読む本も、橋本紡とか、江國香織とか、唯川恵とか、星新一とかのそのときの年相応の、でもちょっと私違うのよ。みたいなひねくれたのを好んで読んでた。

高校になってバイトを始めたり環境が変わったりして本のなかだけの世界じゃ物足りなくなって自然と文化的なものから離れていった。

その先輩がなんでおおかみこどもを観たかったかというと宮崎あおいが好きだからで、わたしは、あんな可愛い子が好きなら敵わないよなぁと自分の顔を呪ったものだった。

映画は、待ち合わせしてなんやかんやしてたら上映始まっちゃってて二人で慌てて映画館に駆け込んで。すいませんすいませんって足を除けてもらいながら席についた。

あの映画では、花ちゃんが一生懸命授業を受けているところ(大学での憧れがあった)と、アパートで二人で焼き鳥を作って食べるシーンが特に良いと思う。

あの映画は当時の私には未知への憧れで、今は、何て言うか当時のこと、特にこの映画の絵を思い出すだけで胸がきゅっと苦しくなってしまう。

映画って本よりももっと時期的なものだから、当時の気持ちとか記憶とかと強くリンクしてるし、それを共有出来るのがいい。

あの映画の花ちゃんには幸せになってほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?