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ホープフルS 無料考察 ~昨年の大波乱の要因を考える~


●昨年の結果から考える

ホープフルSは、とにかくノーザンファーム生産馬が強い。
G2に昇格した2014年以降、2017年を除く全ての年でノーザンファーム生産馬は2頭以上馬券になり、2020年には1〜3着独占。
2020年から3年連続で、勝ち馬はノーザンファーム生産馬と無双状態。

近年の競馬はノーザンファーム生産馬を中心に回っていると言っても過言ではない状況が続くなかで、ファンにも認知されオッズにもしっかり織り込まれるようになった昨今。
人気上位決着が多かったホープフルSですが、ノーザンファーム生産馬が1-3着にも関わらず昨年は大波乱の結果。

1着:ドゥラエレーデ(14番人気)NF生産馬 父ドゥラメンテ 
2着:トップナイフ(7番人気)杵臼牧場 父デクラレーションオブウォー
3着:キングズレイン(6番人気)NF生産馬 父ルーラーシップ

上位2頭がノーザンファーム生産馬にも関わらず、なぜここまで荒れたのか?
結果だけをみれば、前残りの展開を前に行った2頭が残しただけのレースと片付けられてしまうかもしれませんし、1・2着馬に展開が向いたのは確かですが、自分はそれ以外に大きく二つの要因があったと考えます。

① ディープインパクト産駒不在の影響がオッズに反映
② 単純に能力の過小評価

近年、ノーザンファーム生産馬の中距離路線の柱といえば、ディープインパクト産駒。
競馬を詳しく知らない人でも、ディープインパクトは知っているという人がいるほど、その名前は知れ渡っていますが、種牡馬としても超優秀なディープインパクト。
NF生産馬×ディープインパクト産駒の上位人気馬はしっかりと結果を出してくる馬が多く、ホープフルSもディープインパクト産駒の上位馬を買っていれば、深く考えずとも結果として当たってしまう近年でした。

ただ、ディープインパクト逝去によって産駒数が6頭だった昨年は出走馬なしと、ホープフルSで毎年のように馬券になっていたディープインパクト産駒が不在のなか、上位人気は以下の生産馬であり血統構成でした。

・1番人気 ミッキーカプチーノ 千代田牧場 父エピファネイア 母父ネオユニヴァース

・2番人気 ファントムシーフ 谷川牧場 父ハービンジャー 母父Medaglia d'Oro

・3番人気 セブンマジシャン ノーザンファーム 父ジャスタウェイ 母父メイショウサムソン

・4番人気 ガストリック 栄進牧場 父ジャスタウェイ 母父Curlin

・5番人気 ハーツコンチェルト ハシモトファーム 父ハーツクライ 母父Unbridled's Song

客観的に生産牧場と血統背景だけみれば、近年のトレンドにあっているとは感じづらいラインナップにも関わらず、これだけ人気を集めた背景は、ディープインパクト産駒という拠り所が無くなった競馬ファンが、安直に前走の着順や着差、タイムで判断し過剰人気にしていたのではないかと考えます。

ミッキーカプチーノ:前走ホープフルSと同舞台の中山2000mを、1.59.1の好タイムで3馬身半差の圧勝。ただし差し追い込み有利の展開利はあった。

ファントムシーフ:2走連続で33秒台の上がり最速、福永騎手騎乗、前走少頭数でもまれる経験なしの最内枠。

セブンマジシャン:前走重馬場の黄菊賞を大外ぶん回しで強い印象も、外しか伸びない馬場の外回しでバイアス強い勝利、新馬戦は前有利レースを先行競馬。Cデムーロ騎手騎乗で明らかに過剰人気。

ガストリック・ハーツコンチェルト:差し追い込み有利の東スポ杯で展開利大きい。

結果が分かってから振り返えると、東スポ杯で圧倒的に展開不利のなか、唯一前で踏ん張ったドゥラエレーデ、京都2歳Sで致命的な不利から差して2着まできたトップナイフが如何に過小評価されていたのかが良く分かる結果であり、ディープインパクト産駒不在で安直に前走の着順や内容がそのままオッズに反映された最近では珍しいレースだったことが分かります。


●それじゃ今年のNF生産馬はどう考える?

今年の3歳世代(ディープインパクト産駒不在)のノーザンファーム生産馬、中距離路線(芝1800〜2400m)を引っ張っている種牡馬は以下の馬たち。

※2023年1月~芝1800~2400mを40レース以上走って、勝利10%以上かつ複勝率30%以上の種牡馬(3歳世代のみ)

・ドゥラメンテ(11-11-10-36)勝率16.2% 複勝率47.1%
・モーリス(10-9-6-37)勝率16.1% 複勝率40.3%
・リアルスティール(8-5-9-26)勝率16.7% 複勝率45.8%
・サトノダイヤモンド(6-3-5-32)勝率13.0% 複勝率30.4%

ノーザンファーム生産馬以外の産駒数も含め4歳世代の180頭→118頭へ頭数を減らしたドゥラメンテ産駒だが、ドゥラメンテ産駒の特徴を掴んだ育成が実を結びつつあるのか、芝中距離での勝利数はトップで複勝率も約50%と高水準。
※母父のみのデータでは、ディープインパクト産駒が15勝と圧倒。次点はダイワメジャー産駒とマンハッタンカフェ産駒のサンデー系。

ホープフルSで強いノーザンファーム生産馬をピックアップする一つの基準として、現段階の中距離路線で好成績を挙げている種牡馬は、育成の特徴を掴んでいるのでより信頼度が上がると推察します。


今年の上記該当馬は以下

・タリフライン(父サトノダイヤモンド)
・サンライズアース(母父マンハッタンカフェ)→出走取消し
・ミスタージーティー(父ドゥラメンテ)

この2頭は注目しています。


●今年の2歳戦の過剰評価・過小評価(前走重賞馬)


京都2歳S

シンエンペラー
京都2歳Sは翌日の3歳以上1勝クラス(マイネルエンペラー)の勝ちタイム2.00.9を上回る1.59.8で走破。
マイネルエンペラーは次走の2勝クラスも連勝し、3勝クラスの馬であることを考えると京都2歳Sのタイム自体は価値がありそうだが、京都2歳Sは(59.1-60.7)の前傾ラップで全体時計が出やすいラップ構成。※翌日1勝クラス(61.7-59.2)
早めに外から動いたディスペランツァがラスト止まったように、L3Fはラップもそれほど減速していないことから、反応がやや遅く結果的にエンジンがかかるのがワンテンポ遅れたこと、コーナーロスを最小限にしたことがラストの爆発力に繋がったことはチェック。
新馬戦を純加速ラップで勝ち切っているので能力は高い、ムルザバエフ騎手なので、早めに仕掛けて脚を余すことはないだろうが、スタート後手で後方になると瞬発型加速ラップ戦になりやすいホープフルSで差し遅れの可能性はある。
それでも馬群内の競馬を経験できたことは評価できるもので、印は回すが1番人気のオッズに見合う信頼度は?

ディスペランツァ
京都2歳Sで最もコーナー負荷の大きかったのは本馬。
シンエンペラーのところでも書いたが、早めに動いてラストは止まったが(12.0-11.9-11.9-12.1)の下り坂を利用したほぼ減速しないラップを大外早仕掛けでは見直せる内容。
以下は京都2歳Sで対抗評価した際に書いた内容の抜粋、
半兄ファントムシーフ、半姉ルピナスリードは持続力ラップで上がりがかかるレースに強く、自身も前走上がり35.2が最速のレースで勝利、前走(未勝利戦)は最もラップが上がった区間で大外回しと負荷ありながらひとマクリの強い競馬。
2走連続で大外枠スタートから不利や出負け気味でスタート後もあまりリズム良く走れていないなかでの好走。新馬戦は上がりのかかった小倉のハイレベル戦を展開負けならここはねらい目。
と書いた前走。
前日で単勝60倍を越えるオッズはあまりにも過小評価、上がりがかかりだした中山の馬場合いそう。
マイナス面はスタートが良くないのでどうしても後方からの競馬になりそうなことから、馬群を割れるかがポイント、外を回すならどうしても展開の助けは必要。


サウジアラビアRC


ゴンバデカーブース
素質馬と評判高いボンドガール、次走東スポ杯勝ちのシュトラウスを最後方から差し切ったサウジアラビアRC。
勝ちタイム1.33.4は時計が出やすい馬場を考えれば水準クラス、ラスト2F目までさほどラップが上がらず、直線の残り2Fを11.2-11.3のキレ勝負で差し勝った形だが、評価が非常に悩ましい。
出世レースと名高いこのレースを勝って後のG1馬になっている馬たちのラップバランスと比較すると、L2Fだけの競馬では後半力の面でやや物足りなさを感じ、全体時計も翌日の1勝クラス1.33.2よりも遅いタイムと全体時計も特筆すべきものがない。
2着馬・3着馬が前半からかなり折り合いを欠いて、脚が溜まらないなかでの差し切り勝ちでもあり勝ちきったことは評価も過剰評価は禁物。
新馬戦は逃げて、前走は少頭数の最後方追走ともまれる競馬の経験はなし。
最内枠から馬群内で競馬になった際にどこまで力を出せるか。


東スポ杯2歳S

ショウナンラプンタ
新馬戦は京都2歳Sの3着馬を上がり最速で外からねじ伏せる強い競馬で快勝。
近5年、阪神芝2000mの2歳戦の後半5F を58秒台で勝った馬は、アートハウス・ヴァーダイトと本馬のみだが、先の2頭はいずれも前半が64.0の超スローでのものであり、ショウナンラプンタは前半62.8で1.2秒も速い前半ラップを外目で流れに乗ったものなので、価値が高い。
東スポ杯は本命に指名したが、スタートから出負け+行き脚つかずの最後方からの競馬、結果的に先行した3頭が1-3着を独占した前残りレースだったが、ラストはもたれながらも上がり最速で4着まで上がってきた内容は能力の証で、展開負けを考えれば強い競馬。
距離短縮の2走目で前半3Fが新馬戦から2.8秒も速いラップを追走するのに苦労していた内容からも、距離延長で前半がゆったり入れそうな今回はスタートからの追走に課題がある本馬にはプラス、新馬戦を見る限り右回り替わりも良い、多頭数を上手く捌けるかがポイントも新馬戦のように中団あたりで競馬ができれば能力的は十分足りる。
現在5番人気は過小評価では?

※他の注目馬見解、印などは明日の予想noteに記載します。


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