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皐月賞 考察&予想

皐月賞 考察&予想

※枠と土曜日の天気で馬場がどう変化するかによって、評価が大きく変わる馬もいると考えます。
最終結論は土曜日の馬場と天気を確認してからですが、現時点でどのような能力を示しているか、想定する馬場に向く馬はどれかを中心に各馬の見解を記載しました。


☆想定ラップバランス:前傾持続型失速ラップ戦

土曜日は全国的に雨模様の予報で、中山競馬場も雨の影響は避けられそうにない。
暮れの中山開催から、2月の東京を一か月挟んだだけの4ヶ月に渡る開催の最終週にかなり雨が降るとなれば、当日は晴れると言っても内側の馬場悪化はさすがに避けられず、やや時計もかかる想定。
過去10年で稍重開催時は(2018年・2020年・2021年)、走破タイムは2.00.6~2.00.8と2分台になるレースで、ラップバランス傾向は良馬場時よりも前傾にシフトし、好位から持続的に速い脚を維持できる馬が馬券になっている。
馬場も悪く、且つより前傾にシフトする厳しい流れになる皐月賞で、穴を開けている馬に多いポイントは、【前傾ラップ、またはフラットラップを先行し好走した経験がある馬】。
今年の有力馬は後傾の瞬発型加速ラップ戦で好走してきた馬が多く、前傾よりのラップで先行競馬で結果を出している馬には、より注目してみたい今年の皐月賞。


☆上位評価馬


・タスティエーラ
今年の前哨戦としては、相当なハイレベル戦と思われる共同通信杯の4着馬。
近2年の共同通信杯組の次走は、下位まで軒並み次走で1勝クラス・重賞問わず馬券や勝ち負けになっているが、今年も現在まで5頭出走し、全馬馬券になっていて内2頭は本馬含め重賞勝利馬。
中だるみの中盤ラップではあるが、前半3Fと後半3Fのラップはやや時計を要する馬場を考えると速く、前半の追走力+後半の加速力が一定以上求められるレースだったなかで、好位から上がり2位、0.2秒差は高評価の内容。
また、2歳時の東京芝1800mを過去10年、前半5F を62.0以下、且つ後半4を45.9以下で走破した馬は(コントレイル・イクイノックス・サリエラ・タスティエーラ)の4頭。
この名前だけ見ても、タスティエーラの能力がG1でも勝ち負けできるだけの裏付けになっている。
前走で松山騎手が、『少し勝負どころでズブさを見せるイメージを持っていました。自分から動かしていきました』とコメントしているように、早めに動かして持続力で勝負したほうが持ち味を活かせる馬で、特徴をしっかりと把握している松山騎手が連続騎乗できることはプラス。再度好位から早めに前を捕まえにいく流れになればチャンス。


・タッチウッド
前走のハイレベルな共同通信杯を、スタートで約3馬身分の立ち遅れから、前半3F地点までにハナに立つ負荷が大きい走り。
前半3Fの入りが、レースラップ35.3だったことを考えると、タッチウッドは34.9程度で前半3Fを入る形になり、道中息が入るペースに持ち込んだとはいえ、H→S→Hと緩急をつく形で走ることは、ワンペースで走るより乳酸が溜まりやすく圧倒的に負荷が大きい。
直線半ばで勝ち馬に飲み込まれそうになったが、L1Fで手前を変えると、再度踏ん張り3着以下を抑え込んだ走りは、前半の負荷を考えると最も強い競馬ともいえる内容。
前向きすぎる気性でもあり、今回の距離延長+グラニット他の先行勢との兼ね合いで折り合いは不安だが、新馬・共同通信杯とラストまでの失速幅が小さく持続力が高そうで、秘めたる能力は一級品、スムーズに流れに乗れれば一発の魅力はある。


・ファントムシーフ
高評価している共同通信杯の勝ち馬。
4戦全てが全てが後傾瞬発型加速ラップ戦で、前傾ラップになった際のラップ適性は未知数も、共同通信杯で逃げたタッチウッドを自ら捕まえに行って、後続の差しを抑えきった走りは完勝と言える内容。
ホープフルSを見ても器用な脚を使うタイプでないだけに、東京や阪神外回りのような大箱コース向きなだけに、この皐月賞は外枠からスムーズに走らせたいところ。
内が荒れてきて、昨年のような外伸び馬場になれば外目を先行することで大崩れなく走ってくる可能性は高そうな一頭。


・フリームファクシ
きさらぎ賞は、(61.2-58.5)の後傾ラップを先行押し切り勝ち。
前半は緩めのラップだったが、後半58.5でまとめ2分を切るタイムで走ったのは能力の証明。
前進気勢が強すぎて、川田騎手をして抑え込むのに苦労していることから、操縦性にはやや不安もあるが、『身体的には良くなっていて、その分進んでしまう』とのことから、前向きすぎる気性をコントロールできれば、今より更にパフォーマンスを上げて来られる余地は十分。
ペースが流れ折り合い面が楽になるのは良さそうで、更にこの手の前向きすぎる気性をコントロールするのは、レーン騎手の得意とするところでもありそうで、この乘り替わりはプラス。
新馬戦は勝ち馬に対しトップスピード勝負のキレ負けだったが、ゴールまで脚はしっかり使って長く脚を使えていた内容から持続力タイプも明らかとなればチャンスは十分。


・ベラジオオペラ
瞬発型加速ラップ戦の新馬戦・セントポーリア賞、持続型失速ラップ戦のスプリングSと様々なラップバランスで快勝。
さらに馬場も不問となれば、この皐月賞でも主役を張れるだけの馬であることは間違いない。
調教師が再三、『緩さが残る』・『本格化はまだ先』と話している中で、前哨戦のなかでは最も前傾ラップ(59.4-61.6)で、道中も息が入らない流れのスプリングSを中団追走から、外を回し差し切った内容は展開利がややあったにせよ文句なし。
上村調教師は今やトップトレーナーの一人で、2022年以降の芝1600m以上のレースを108走し、その成績が(18-14-13-63)単勝回収率127% 複勝回収率107%と超優秀。
※単勝50倍以下に絞ると、単勝回収率148% 複勝回収率110%と更に上昇。
乘り替わりがどうかだが、癖も無さそうで乗り役も選ばないと思われここは期待大。


・ホウオウビスケッツ
逃げ・先行馬に厳しい前傾ラップを2番手で進み、直線もしっかり脚を使い2着は、持続力ラップに適性を示した強い内容。
2走前のフリージア賞も7番人気と人気薄でマークが薄かったとはいえ、過去10年の2歳・3歳限定戦の東京2000mで後半57.7以下で勝ち切った馬は本馬しかおらず、本馬が持つ後半力は本物。
前走は距離短縮が功を奏したところはあったと思うが、有力どころが前傾ラップの持続力勝負を経験している馬が少ないなか、フリージア賞・スプリングSと持続型失速ラップ戦を連続好走したホウオウビスケッツの後半力を活かせる展開になればチャンスはある。



☆上位人気馬、他気になる馬


・グラニット
前傾持続型失速ラップ戦の(スプリングS・サウジアラビアRC)を逃げていずれも0.4秒差以内の僅差で走った内容は評価したい。
前走は重馬場で全体時計がかかることも幸いしていた感があり、また最内は唯一ラチ沿いだけは馬場が良さそうな状態での好走であったことから、距離延長+更なる相手強化のここは逃げられたとして上積み疑問。
本番も土曜日の雨の影響が残って重馬場になるようであれば、ラップバランスも合いそうで一定の見せ場はあるだろうが、G1メンバー+距離延長で上積み疑問ななかで逃げ残るにはややハードルが高そう。(オッズが単勝万馬券クラスならおさえて良い)


・グリューネグリーン
未勝利戦・京都2歳Sと持続型失速ラップ戦の2戦を快勝。
近2走は瞬発型加速ラップ戦を中団〜後方に構えて、上がりのキレ負けと自分の能力を出し切っていない走りで、持続型失速ラップ戦に替わって、再度の先行競馬であれば上積みはある。
京都2歳Sは全体的にメンバーが軽く、トップナイフに不利があっての勝利とはいえ、前後半(60.4-60.1)と前後半のラップ差が小さいフラットレースを自身で演出し逃げ切った走りは、馬券内ならワンチャンスあってもと思わせる。
それでも、グラニット他同型多数のG1で、内が荒れた馬場になると楽には逃げられなさそうでどこまで展開が向くかがポイント。


・シャザーン
究極のトップスピード勝負になった新馬戦を、逃げる形になってしまったが(12.2-10.8-10.3-11.4)と上がり4Fの中盤区間で相当速い脚を使ってのハナ差負け。
前走は前有利の瞬発型加速ラップ戦を6頭立ての最後方から、(11.9-11.3-11.1-11.4)を後方から余裕たっぷりの差し切り勝ちと奥が深い走り。
距離短縮で前半のペースが上がりそうな今回は、自然と位置取りが後方になりそうで、差し脚のトップスピードは世代でも上位ではあるが、過去3走の前後半があまりにも後傾すぎるレースばかりで、未勝利戦(64.0-59.8)の4.2秒後傾がもっとも前後半差が小さいくらいなので、一気に中盤のペースが上がる今回は多頭数+中盤の追走ペースと二つの壁があり、外差し馬場を味方にどこまでといったところ。底知れぬ能力は認めてもここは強気に推せない。(ここを経験したダービーで買いたい)


・ソールオリエンス
新馬戦は後半4Fを(12.3-11.5-11.0-11.0)の45.8で走破。
2着馬(レーベンスティール)とのマッチレースを制した形だが、直線で一度はレーベンスティールにギアチェンジ能力の差で前に出られたが、長く持続的に速い脚を使いゴールまでで再度差し切った末脚は、本質的には持続型ラップ戦のほうが向いている可能性を示唆している。
正直言って京成杯のレースラップ自体は中盤も緩く、L2F地点で馬群が凝縮した上がり勝負のレースで、レベルが高いとはいえないが、新馬戦・京成杯ともに、ラストまで失速しない純加速ラップで差し切っている内容は底を全く見せていない。
今回へのマイナス材料は、前後半の締まったペースを経験していない点、多頭数替わりで前走で見せたようなコーナリング性能が低い点はマイナスだが、外枠から昨年のイクイノックスのように外を回して早めに抜け出す競馬なら能力でカバーする可能性はあり、外枠なら人気でも印は回す。


・ダノンタッチダウン
評価したい点は、新馬戦から3戦全てマイル戦だが、3戦とも異なるラップバランスで好走&上がり最速は、どんな展開でも差し込める脚を持っていて能力が高い。
また、自身の上がりが新馬戦から全3戦でほぼ1秒前後上回る上がりを記録して、勝ち負けに持ち込んでいるのは評価したい。
川田騎手がレース後に、『現状の身体でよくG1で2着に来てくれました、さらに良くなれば楽しみですね』とコメントしているように、2歳時は自分から動いていけるだけの体力がなく、位置取りが後方のまま直線だけで追い込むというレースで結果を出してきた本馬。
中山内回り替わり+多頭数で加速まで時間がかかる本馬にとっては、決していい舞台とは言えない。
朝日杯FSからの成長があって、動ける身体に成長していればチャンスはありそうだが、2歳から大きく変わらないと展開的にも厳しそうで軸にはしづらい。


・トップナイフ
京都2歳S(2着)→ホープフルS(2着)→弥生賞(2着)と重賞を3走連続で2着しているように、重賞で戦える能力は十分示している。
ただ、近2走は前有利の瞬発型加速ラップ戦を逃げ・先行と展開的には恵まれての好走でもあり、ここへの上積みは小さい。
相手なりにしっかりと走れるタイプではあるが、決め手に欠ける面もあるので、鞍上(典さん)がどう乘ってくるか楽しみではあるが、客観的にみるとG1で好走には展開の助けが必要になりそうで、ここは鞍上の腕でどこまで上げられるかがポイント。


・マイネルラウレア
新馬戦・若駒Sと瞬発型加速ラップ戦を最後方から差し切る形で連勝。
見た目のインパクトは強烈だが、勝負どころで反応が悪く、鞍上の言うことを聞かないのはいかにも父譲りの気性で、横山武史騎手・川田騎手が『意思疎通が取れない』とコメントしていることから、能力はあっても操縦性には現時点で課題が多そう。
鞍上がコントロールできないのは条件戦ならまだしも、G1の舞台では致命傷になりかねない。
勝ちタイムも当日の未勝利戦より遅いタイムで、レベルもやや不足していることから、将来的には面白い馬だと思うが、現時点では気性・能力ともに足りないと判断。


・メタルスピード
スプリングSでは、距離延長の前傾持続型失速ラップ戦と厳しい条件ながら、中団を追走から、馬場の悪い内目を走ってラストまでしっかり伸びての3着と好内容。
G1になるともうワンパンチほしいが、前走はスタートも決まらなかったなかで、決して得意とは言えない重馬場を克服しての好走は、能力のステージが一段上がった感。
皐月賞での好走には展開の助けなどは必要になってくると思うが、前走の内容から軽視は禁物。
オッズもおそらく甘い一頭だけに、再度の距離延長にはなるがスタートを決めて位置を取れれれば、前走の1着・2着馬との差は縮まっても。


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