58歳ニート、シャンプーは週1回
九歳です。
暇すぎてベットの上をのたうち回っていた。梅雨で外には出たくないし、スプラも飽きてしまった。多少の暇つぶしにはなると思って、配信サイトで枠を取った。平日の真昼間でも、少なからず配信者・リスナーはいるらしい。リスナーの中には、ニートはもちろん、コロナ禍で外に出られないOLもいた。案外見てくれる人がいるんだな。会社で内職ROM勢だけかと思ったが、貴重な時間を使ってコメしてくれる人もいた。
ネットって素晴らしい。遠くの親戚より隣の知人。会社の同期よりフォロワー。コンセントを抜いたら終わる関係も悪くない。顔も本名も知らない関係にケチをつける老害も少なくないけど、いったん黙ってネットをしてみると良い。リアルよりも広くてしがらみのない良い世界だから。
配信してると、58歳無職男性リスナーが来た。シャンプーは週一らしく、生活保護の世話にはならないと息巻いていた。普通にみれば負け犬の遠吠えだ。だけど人生楽しんでいるように見えた。少なくとも社用車で昼寝している先輩の100倍生きていた。
平日昼間、社会人になった僕には他人が見えてなかった。ニートの存在も、平日に休みを取っている人の存在も、早く帰宅した学生も。自分の見えない存在は、いない者として扱ってた。得意先の医者と看護師しか眼中になかった。他の種類の人間は透明な存在。
風邪をひいて学校を休んだ時、親の車に揺られながら病院に向かった。小学校の横を通り過ぎるとき、自分のクラスが体育をしている様子が見えた。高等遊民になれた気がした。皆が一生懸命体育している間に、優雅に車に乗って学校外にいることに優越感を感じた。
今まさに人生の夏休み第二弾に突入している。働かなきゃいけない年なのに、働けない。無気力を極めて数ヶ月たった。もちろん高等遊民ではない。実家は極めて細い。
そんな中、配信サイトはどこも疎開先に見えた。リアルでうまくいかない・学校に居場所がない・職場すらない、そんな人の行きつく先。全部諦めた人は案外強いようだ。害悪リスナー・アンチが沸く。コメする人がいなくても話し続けないといけない。一方的な会話はしんどい。youtuberもライバーもキラキラした世界に見えるが、案外簡単じゃなかった。人が必死にやってるものには価値があって、だから金を払う人がいるんだろうな。
無課金勢だったけどコンテンツには楽しんだ分の金を払おうと思う。そのためには、まず、稼がなきゃ。
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