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天より降臨せし万能なる魔王【天魔王ゴッド・ゼクス】

 バトルスピリッツ 烈火魂がYouTubeで配信開始されましたね。
つい忍風を応援しちゃうくノ一ジョロウです。

 此度は、烈火伝及び烈火魂でのラスボススピリット「天魔王ゴッド・ゼクス」のことをメモしていきます。

◆天魔王ゴッド・ゼクスのモチーフ

 モチーフは仏教の「第六天魔王」です。
ゴッドは英語で神、ゼクスはドイツ語で6。
系統も「天魔王」です。
また、それを名乗ったとされている織田信長も背景世界設定等に織り込まれています。

 にしても、天魔王ってなんなんですかね。何となく聞いたことはあるけど。
天って光属性な感じだし神様らしい。なのに魔王です。不思議。
あと第六って何。どこから数えるのよ。どんくらいエラいヤツなのよ。現環境ではたしかにどエラいヤツだけども。

と疑問がワラワラしてきたのでググりました。

◆第六天魔王とは

 仏教では、解脱げだつ(悟りを開くこと)をしない限り輪廻転生りんねてんしょう(生まれ変わること)をし続けます。
その転生先が、悟れてる順に天・人・修羅・餓鬼・畜生・地獄の6層あり(これらを六道りくどうという)、前世までの行いによって次生まれる場所が決まります。
地獄~人までは欲界よくかい(欲に縛られた者の世界)であり、天は基本的には欲を離れているとされていますが、その天を細分化した中で下の方の人界に近い6層分までは、まだ欲界に含まれるとされています。その中の最高位である第六天に住む者こそが第六天魔王です。

 要するに、欲界の中で最高位の王で、徳を積んで上へ上へ輪廻転生して、欲を離れようとしたときに立ちはだかる難敵です。
この神様は、人へ与えた快楽を自分の快楽にできます。やさしいせかい。だから他化自在天たけじざいてんって呼称もあります。

 願いをバンバン叶えてくれて御利益があるので、なんと神社があります。しかも結構たくさん。元は仏教なのに。
ただ、第六天魔王そのものを祀っているかといわれれば、そういうわけではないようです。
例えば武蔵第六天神社では、神代七代かみのよななよという天地開闢てんちかいびゃく(日本神話での「世界の始まり方」)のときに生まれた7代の神様たちの中で、6代目に生まれた神様であるオモダルノカミとアヤカシコネノカミという神様を主神にお祀りしているそうですが(ちなみに7代目がイザナギとイザナミ)、その6代目2柱が第六天魔王と同一視されて信仰されていたようです。

 日本ってやっぱり神仏習合しんぶつしゅうごう(神道と仏教、各々の信仰が融合している状態)が見られて面白いですね。

 願いを叶えて人間の欲を満たしてくれる第六天魔王様ですが、仏教では悟りへの道に欲は禁物です。だから、人の欲を満たして次の欲を引き出そうとしてしまうこの神様は、人間よりは悟りに近い天の住人なのにも関わらず、魔王なんて呼ばれてしまうんですね。

◆バトスピにおける「6」と「第六天魔王」

 ここからは、前述の第六天魔王を念頭に置きながら、(ほぼ妄想に近い)ゴッド・ゼクスのモチーフ考察をしていこうと思います。

 メガデッキ【魔王襲来】にて登場し、アニメでは大六天魔王を名乗る人物(一体天魔何長なんだ…)のキースピリットとして活躍した「天魔王ゴッド・ゼクス」。
6色のスピリットであり、ゴッド・ゼクスの各形態たちは六天連鎖ろくてんラッシュを共通効果に持ちます(地ノ型は六天転醒ですが、フレーバーテキストによれは六天連鎖と転醒の合わせ技らしいのでセーフ)。
六天連鎖って特別感ありますよね。大会で高らかに宣言すると気持ちいいやつ。恥ずかしいって言わないで。

 バトスピの色の数は全部で6色ですが、仏教でも6はよく使われています。先述した六道や大六天の他にも、六神通(仏や菩薩が持つ超能力6種)に六波羅蜜ろくはらみ(悟りへ至るための6修行)など、理由はわかりませんでしたが、6は大切な数字のようです。

 6は現在でも本当によく使われますよね。
1分の60秒も1時間の60分も1日の24時間も1ヶ月の30日も1年の12ヶ月も6の倍数で、昔の日本の長さの単位は6で繰り上がって、ハニカム構造は正六角形で、正多面体には正六面体があって、超ひも理論では6つの余剰次元があるとされていて、キリスト教では神が6日で世界を作って、獣の数字は666で……

 ……頭が痛くなってきましたが、6は完全数(その数がその数以外の正の約数を足した数と同じになる数)の最初の数です。6の約数は1,2,3,6で、6以外を足し合わせると6になります。
仏教でも数学でもインドが発祥のことが色々あるので(有名なのは0の概念とか)、私には昔から関連があったように思えてなりません。

 バトスピがなぜ属性を6色に決めたのかはわかりません。でも6は完全数なので、6色のカードはなんだかどの色とでも組み合わさるように思えて全能感がありますね(実際は結構難しいこともありますが)。
 現在のゴッド・ゼクスデッキは、シンボル6色をサポートカードで盤面に確保して、天ノ型と終ノ型の六天連鎖で6点アンブロどかーんとするのが主流のようです。
そのシンボル確保にゴッド・ゼクスたち本体はあまり使わないようですが(白・紫・赤が主体のため)、一応伍ノ型が、他色を補うために緑/黄/青になり(RVのほう)、

オワリノ世界転醒後の焉ノ型は青シンボルを持っています。

何ならロロノ型は6色あります。

※良い画像が無くてごめんなさい。ストラク産のカードとか大会プロモとかは、なかなかネットの海に無くて困っちゃいます。

一応ゴッド・ゼクスたちだけで全色あることになり、6色確保することは可能です(現実の運用は難しくてなかなか見ませんけど)。
6色のシンボルを操ることで真の力を発揮するというのは、やるのはちょっと難しいけどかっこいいです。

 モチーフの話に戻りますが、基本形である天魔王ゴッド・ゼクスには、背中に輪のような飾りがあります。

 アニメでは六天連鎖時に、ここから光の鎖を放って烈火幸村のスピリットを回復できないよう縛りました。
 背中の輪は、第六天魔王(信仰するときは第六天王や第六尊天とも)の光背こうはい(仏像の背中にある丸だったり炎だったりする飾りで、光っているのを表現しているやつ)なのではないかと思われます。

焔ノ型にも見られますね。

神ノ型ではわかりやすく、完全に輪になってます(そういえば神皇の十二支も6の倍数……!)

 ラスボスって、なんかおどろおどろしい紫色してたり攻撃方法がどす黒かったりするイメージなのに、ゴッド・ゼクスは光背からの光の鎖という。ちょっと美しいんですよね。シンボルも白いし。
やっていることは行動阻害ですが、まるで第六天魔王が天界の神でありながら欲界に修行者を縛ってしまうような、そんな神性を感じます。

 また、アニメでの使い手である天魔信長は、海外のハイレベルなプレイヤーのことも知らずに争い放題している日本のバトスピ界を憂いて、自ら悪役となり、日本のバトラーのレベルを上げようとしました。
そのとき名乗ったのが「大六天魔王」です。

※天魔信長の元ネタである織田信長が、自らを「第六天魔王」と名乗ったことに由来していますが、これはまた次の記事で。

 さて、第六天魔王の解説にて、「徳を積んで上へ上へ輪廻転生して、欲を離れようとしたときに立ちはだかる難敵です」と述べました。

そうです。
仏道修行者が、烈火幸村含む日本のバトラーが、上を目指す過程で乗り越えるべき相手という共通点があるのです。

 だから、第六天魔王や信長を烈火魂のラスボスに置いているのではないでしょうか。

 天魔王ゴッド・ゼクスには「相手のスピリット/マジックの効果を受けない」という耐性がありますが、その耐性は完璧ではありません。アニメでもBP比べで破壊されていますし、現代バトスピでは「相手の効果で防げない」除去効果も強力なネクサスもあります。なんだか「隙をついてみろ」といわんばかりです。
 またゴッド・ゼクスには、手札からチェンジのように出てこられたり、天魔王降臨でノーコス召喚できたり、バーストでシンボル一つが破壊されたり、天魔王対象の効果を身代わりor跳ね返しできたり……
突破口をつついたらなんか他のゴッド・ゼクスが出てきちゃうことが珍しくありません。

ほんとに壁ですね。特に影ノ型。許さんぞ。

戦うと本当に手強いです。でも自分で回すと難しいんですよね。

 そういえば、コア3個トラッシュへシュートする上に自スピリットへアンブロ付与、とかいうつよつよムーブしてくる天ノ型の全体イラストの隅には、くずし字で「ゴッド・ゼクス」と書かれています。

「ご」は変体仮名の「こ」である「古」に濁点
「つ」は「川」
「ど」は「止」に濁点
「ぜ」は「世」に濁点
「く」は「久」
「す」は変体仮名の「す」である「須」

やっててよかった変体仮名の解読!
昔は仮名も色んなのがあって、発音によって使い分けていたみたいです。
テキストに隠れちゃうどころか全体絵にしかない超小ネタですが、私が読めて嬉しかったので書いておきます(`・ω・´)=3フンス
こういうのって、イラストレーターさんは調べて描くのかな。大変すぎる。

ちゃんと端でいいから載せて(懇願)

全体絵。高坂さんのメカ絵は、いいぞ。
金色の雲が屏風絵風なのにしっかりメカメカしててかっこいいです。

信長にも仕えたとされる絵師、狩野永徳の『洛中洛外図』が雰囲気近そうです。

◆まとめ

 圧倒的な火力で相手のライフを消し飛ばすゴッド・ゼクス。モチーフである第六天魔王は、その力で人々の欲を満たして欲界から抜け出せなくしてしまう、天にいるのに魔王で仏敵。光属性のラスボス。
「第六天」とバトスピの「6色」の相性も良く、出るべくして出た素晴らしいデザインだと思います。人気なのもうなずけますね。なんかリメイクですごい強くなったし。

 強いデッキは高みを目指す原動力になりますが、同時に飽くなき勝利への渇望も呼びます。天魔王と共に歩む方が、欲に縛られて苦しみませんように。


 最後までお読みくださり、ありがとうございました。


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