急性膵炎の輸液(2022.10)
de-Madaria, Enrique et al.
“Aggressive or Moderate Fluid Resuscitation in Acute Pancreatitis.”
The New England journal of medicine vol. 387,11 (2022): 989-1000. doi:10.1056/NEJMoa2202884
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36103415/
WATERFALL試験です。
対象は急性膵炎の成人患者です。
ショック、呼吸不全、急性腎不全ありの重症膵炎は除外されています。
心不全や慢性腎不全、慢性膵炎など他にも除外項目があります。
→あ、重症膵炎は入ってない話なのね。ということが注意か。
輸液のプロトコル
・乳酸リンゲルを用いる
・積極的輸液群は20mL/kgをボーラス後、3mL/kg/hrで静注開始
・中等度輸液群はhypovolemiaがある場合のみ10mL//kgをボーラス、その後1.5mL/kg/hrで静注開始
・輸液開始後12, 24, 48, 72時間で体液量評価、hypovolemiaで追加輸液可
・追加輸液も積極的輸液群の方が多い
→結果としては、ガイドラインより少なめ量の輸液を。
体液過剰が患者の予後を悪化させることは既知です。
つまり過剰輸液は絶対避けなければなりません。
そのためには、初期輸液量やボーラス投与量を抑えることも重要ですが、頻回に体液量をアセスメントするのも重要そうです。
ショックや呼吸不全を呈している急性膵炎は除外されている点、日本のガイドラインと重症膵炎の定義が異なる点、に留意が必要ですが、日常診療へのインパクト大です。
膵炎だからといって何も考えずに多量に輸液するのではなく、
- ガイドラインよりも控えめ、少なめの量を開始
- 都度体液量評価し、過剰輸液を避ける
- hypovolemiaなら最低限のボーラス
→はい!!了解しました!!
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