高K血症の治療の誤解(2022/3記事から)
Review: 高カリウム血症の治療の誤解
ほぼコピペと感想だけ。
Arnav A Gupta, Michael Self et al. Dispelling myths and misconceptions about the treatment of acute hyperkalemia
Am J Emerg Med. 2022; 52: 85-91
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34890894/
a)ケイサキレートは安全で効果的である
b)乳酸リンゲル液は高カリウム血症には禁忌である
c)高カリウム血症の心電図変化は予期可能なものである
d)高カリウム血症の患者はみなカルシウムで治療されるべきである
a)
自分は救急外来でケイキサレートを使用したことがないです。以下を読んでもあんま使わなくていいかと思うに至りました。
ケイキサレートの効果を検証したRCTは4つしかなく、そのうち統計的に有意な結果を示したのは1つしかありません。しかも大腸壊死などの消化管合併症が指摘されており、KDIGOの最近のsummaryやAHAの2020年のupdateではケイキサレートの使用は推奨されていません。パチロマーのような新しい樹脂はより安全で、より効果的である可能性がありますが、緊急処置を要する患者での使用についてはまだ検討されていません。
b)
結局リンゲルでええんかいって話か。
乳酸リンゲル液のようなbalanced crystalloidはカリウムを含有するため高カリウム血症の際にはしばしば避けられ、カリウムを含有しない生理食塩水が好まれます。しかし2018年のNEJMからの2つのRCT(SMART studyとSALT-ED study)では2群間で数日後のカリウムの値に差がなかった事が示されました。生理食塩水による高クロール性アシドーシスが1個の要因と言われています。
c)
これは予測できると今まで一度も思ったことがないです。人によってだいぶ違う印象。
心電図変化からカリウム値を予測する事はできないというのは有名ですよね。また更に大事な事として心電図が正常だからと言って、高カリウム血症は否定できません。しかし心電図変化がない場合には重篤な副作用が起こる可能性は低下します。
d)
カルチコールは使ってた。でもやっぱ心電図異常が出た時に使うようにしよ。
カルシウム製剤(カルチコールなど)は血管外に漏れると軟部組織の傷害を来たす可能性があり、またジゴキシン毒性を悪化させる可能性があります。そのため高カリウム血症による心臓合併症の高リスク患者への使用に限定されるべきで、AHAやERCのガイドラインではカリウム値が6.0~6.5mEq/Lで、心電図異常がない場合にカルシウムは投与されるべきではないとされています。
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