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道徳~何を変える? vol.1 「板書を変えよう!」

1.薄っぺらい部分に触れただけの道徳

 前回の記事(「板書と発問で作る道徳https://note.com/983016dai/n/n4afa1d3a6816」)でも触れましたが、ぼくが今のようにちょっとだけ道徳を話せるようになるまでには、それはもうたくさんの失敗授業が死屍累々と折り重なっています。
 「最新鋭の教育」と言われていた自治体にも何度も足を運ばせてもらいましたが、どう追試してもうまくいかない授業ばかり・・・。
 下の写真も、とある自治体でいただいた”型”を追試したときの板書です。

図5

(”字が汚い”という点を除いて)
 これをご覧になった方はこの板書の問題点に気付かれるでしょうか。今回の記事はこの辺りを中心にお伝えしていきたいと思います。

2.問題点”しか”ない板書

 さてこの板書は「徳永兼一郎~最後のコンサート(D生命尊重 5年生)」で実践したときのものです。正直なところ、今見返しても背中がゾワゾワしますし、大衆の目に触れさせるのも恥ずかしいくらい不出来な授業でした。
 この板書の”絶対的にダメなところ”は3つ。一つずつ追ってお伝えしていきます。

① 子どもたちの”どういうこと?考えたい”が1mmもない 
 最近のぼくは道徳の導入でよくこんな聞き方をします。生命尊重なら
T「【命】この言葉に何か付け足して?」
C「『大切な』命」「『一つしかない』命」
T「そうだよね、命って大切だよね。でも”なんで大切”なの?」

 どうでしょうか。こう聞かれたら一度「?う~ん・・・」と立ち止まりませんか?「大切なのは分かるけど『どうして?』なんて聞かれると困る」と子どもならなおさら思うでしょう。なぜならこれまで生きてきて「そんなことは考えたこともないから」です。この「考えたこともなかった・・・」をきっかけにすることで、子どもたちは「考えてみたいな!」「じゃあ考えてみようかな・・・」と間違いなく思います。間違いなく、です。
 ですが、上の写真はこちらから「は~い、今日はこれについて考えるよ~。みんな知恵出して~」と押し付けてしまっているのです。これでは子どもたちは頭を働かせることなどしません。「何言ってんだ? ”精一杯生きる”とか意味わかんね」と字面を追っかけるだけでそれこそ精一杯だと思います。事実、この時はそうでした。

② 書かれてある事実の羅列だけ
 誤解のないように申し上げておきますが、縦書きの板書は否定しません。ただ、この写真で言えば教科書に載っていることを整理するためだけに黒板を使ってしまっています。子どもになったつもりで考えるならば「あ~、そんなこと書いてあるね。で?」という感じです。これでは本質の「なぜ命は大切だといえるのか」「命を大切にしようとする生き方にどんな良さが見えるのか」には永遠に到達しないでしょう。

③ 色がほぼ”白”しかない

 視覚は認知の約8割を占めるといわれています。これはUD的な視点にもつながると思っていますが、白一色(たまに黄色)では、どこに大切さがあるのか、自分たちの考えはどこにいかされたのかとても分かりにくくなっています。
 今のぼくなら白に加え、青や紫、黄色、緑、茶色(濃いピンクも)などを使って、もう少し子どもたちの思考が追える板書(=構造的な板書と呼ばせてもらっています)を作ることができるのではないかと思っています。

3.縦型を抜け出すと何が見えてくる??

図2

 これはずばり「子どもたちの思考の流れ」に尽きると思います。こういった左から右に流れていく板書に変えてからというもの、「だからここで〇〇が△したんだね!」とか「ここは多分◇◇な顔してると思うよ!」と子どもたちが勝手にしゃべりだすようになりました。
 色分けも大切で、上の写真で行けば「浅い読み取りでも見えることは黄色」「一段階深まったものは青」「さらに深い”本質に迫る発言”は緑や紫」と分けてみました。すると、自分たちがどんどん本質に迫っていってることが子どもたち自身の目で見て分かるようになっていきます。

4.板書の種類は??~道徳科の授業づくり

 もしこう聞かれたらぼくは「無数にある」とお答えします。道徳の授業を考えるステップはいくつかあるのですが、ぼくが実践してる方法を紹介したいと思います。これはベースの部分に、研修会で教わってきたものをかなり練りこんでいます。

図5

 ぼくが実践する道徳はどこまで行っても”子どもが主役”になります。ですから同じ学年でも、子どもたちが違うと同じ教材を使ったとしてもまったく同じ授業には絶対になり得ません。だから板書の引き出しもできるだけたくさんストックしておくと良いと思います。
 最近ではTwitterで白黒先生(@sirokuroteacher)という方が板書のイロハを紹介してくださいました。かなり参考になりますので、興味を持たれた方はぜひ訪ねてみてください。
 ここではそれに加える形でいくつか紹介したいと思います。子どもたちと、そしてご自分とにあったものをチョイスしてください♪ まだまだバリエーションがありますので、紹介しきれなかった分はまた別な機会に・・・。

図6

図7

図8

図9

 あくまでぼくがこれまで実践してきた板書の一部です。先ほどもお伝えした通り、子どもが違えば教材が同じでも中身は全く別物になりますから、たくさん実践を重ねて、その子たちにあった板書を作ってあげてください。そしてそれが子どもたちの「より良い生き方を考えていく意欲」を引き出すきっかけになれば最高ですね!

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