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NTLのリーマントリロジー

観た。めちゃくちゃ面白かった。人間の叡智と努力の結晶。骨太でどっしりしてるのに繊細で割れちゃいそう。すげーっ!って思った。

このご時世に、経営破綻とか株の暴落とかそういう話だったし今なお影響が出てるのでなんか話が面白いというのもなんというかですけど…わたしはこの手のことにぜっっっったい、(情勢と内容的に)いま見るべきって言いたくないんですけど、(上映期間的に)いま見るべき(しかない)とはおもう。けど池袋で延長したし地方でもちょこちょこやるっぽいので〜!
舞台を映画館で見る経験ってライビュしかないからそういうイメージだったけど、舞台としての側面を活かしつつ映像として魅せるためのカット割りとかそういうのがとても美しくて上手くてびっくりした。3時間だし難しい話だとついてけなくて寝ちゃうかなって思ったけど惹き込まれるし没入感凄まじい。現代的だなーというか、こういう風に映像と寄り添って行くのが舞台演劇の生きる道でもあるのかなーというとこまで考えてしまった。

国は銀行を見捨てる。いくつかの銀行が生き残ってそれを国が管理するようになれば回復に向かっているように見せられる。とか……必要だから買うではなく買いたいから買うという消費社会にしようって決断来るのが馬と絵をこよなく愛してエンタメに投資しようとしたボビーっていうのがわかりすぎるし、人が時代をつくってるみたいな話すごいわかりやすいというか、これ、現実じゃん………ってなる。現実の話だから当たり前なんだけど。見て感じとって、ここがっ、こうなってるのがっ、こんな風に表現されててっ、すごいっっ、こういう意味にもっ、こうにもとれるしっっっ、みたいに思うんだけど全然言語化出来ないよね。すげーとしか。パンフ読んだら、この文化への知識がないけどぼんやりと話の読み取れたところとか、繰り返すことへの効果とかは感じていたけど、そういう効果に想像以上の奥行と明確な意図があると知ってすげーってなった。すげーっ。

叙事詩を戯曲化しているので、情景や仕草もぜんぶセリフになってる。それをたった3人の役者で喋り狂う。英語がわからないけど、響きのテンポが良くて(韻を踏んでいるのかな)スっと入ってくる。なんでこんなこと出来るんだろうって思ってしまうくらい。
途中の特典映像で音楽の話が入っていたんだけど、観ててこうだから凄い!と興奮してた部分を、こういうことを目指して計算してこうなってますってちゃんと説明があって、その通りじゃん……、意図してしたことがストレスなく伝わるのって凄くない?しかもこんな複雑な舞台で。いやある意味シンプルなのだけど。

綿密に計算され美しく構成された上に努力と技術が畳み掛ける宝石のようなお芝居。その上3人の名優が可愛らしいのがまた、石座すら手を抜いていない。もう完全にお手上げ。

以下ネタバレ

何よりも秀逸というか、ゾクゾクしたのがラストシーンの人が沢山入ってくるところ。3人しかいない3人で成り立つ'お芝居'だと思って見てたのに、たくさん人が入ってきたことによって本当はずっとたくさんの人がいてたくさんの人に翻弄されながらたくさんの人ともにあったんだという当たり前のことを、ガツンと殴られたみたいになった。
透明のセットですべて見透せるようになってたこともそんなトリックの一旦だったことなど。本当にびっくりした。

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