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【幽遊白書】妖狐蔵馬を作ってみた【プーリップカスタム】

プーリップをカスタムして妖狐を作ります。素体はまさかのセーラーVです。
手法を開示するというよりは、「何を考えて作っているのか」を記した意見陳述的な制作日記。
美しく強い妖狐を、とにかく綺麗に作ってあげたい!

ちなみにカスタム市場はブライスのほうが潤沢ですが、ブライスの丸い顔・丸い目で妖狐を再現することは難しいので、今回はプーリップにしました。

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【メイク】


よりによって妻の作品で作ることもなかろうと悩んだが、100体以上のプーリップを見て、セーラーVが一番妖狐に近いと思ったので、これでいきます。
まずウィッグを剥がして、開頭。各パーツをバラす。
具体的に言うと、頭のネジを外して、アイギミックを外す。

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①額の月マークとリップを薄め液で落とす
②メラミンスポンジで研磨(チークは②だけで落ちる)
③つや消しスプレーを吹く

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妖狐の口唇はうるツヤ桜色だよ♡と思う自分を簀巻きにして川に流すが何度でも蘇ってくるので強い。

薄め液で落とす=表面を溶かすので、凹ります。
範囲が狭いので、綿棒に薄め液を付けて、丁寧に、均一に。
チークはメラミンスポンジだけで落ちます。水を付けて、くるくると擦るだけ。

私が思うプーリップにおける妖狐顔のポイントは…
①全体的に色素が薄い
②輪郭
③瞳の形
④切れ長の目

詳しく説明すると…
①白肌。メイクを全部落としてのっぺら状態から自分で描くことはしたくないので、ヌーディーメイクに越したことはないです。
私は神経質野郎なので、自分で描いたガタついた線や完璧な左右対称ではない線は許せないだろうから、眉とアイメイクは触りたくなかった。
④アイメイクについて。アイラインが黒。
上は目尻より長く、下は目尻1/3が強調されているのがポイントのように思います。

ちなみにセーラーヴィーナスとセーラーVのメイクの違いですが…
①額の月マーク
②アイライン(ヴィーナスは茶、Vは黒)
③アイシャドウ(上瞼の内側が、ヴィーナスはピンク、Vは極薄茶)
④リップ(ヴィーナスは薄ピンク、Vは濃ピンク)
アイシャドウのピンクを落とすと二重の線も消えること、アイラインの黒を優先してセーラーVにしました。

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【アイ】


自作するにしろ、人様が製作したものを購入するにしろ、市販の12mmカットアイを使用すると眼球との間に0.5mmほどの隙間が生じるし、横から見たときに眼球のカーブが崩れるのが嫌なので、メーカー純正の交換用チップ(Make It Own)から一番色が近いレモンイエローを選択。
それだけだと明るいので、暗めの虹彩シートを用意して、組み合わせで妖狐の瞳を再現。

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【睫毛】


睫毛を剥がして、人間用の付け睫毛を付ける。
ナチュラルで、目尻の長いタイプです。妖狐の切れ長の目を再現するため。
男なので睫毛は要らないのでは?と思う自分もいます。
ミッキーとミニーの違いは睫毛なんですよ。つまり睫毛に色気が宿る。
となると妖狐に睫毛があってもいいのでは?と思う自分も出てきますね…。
耽美的な表現としての睫毛もアリ派です。
しかしながら原作の妖狐に睫毛はないので、落としどころとして、上はナチュラルで目尻が長い付け睫毛に変更して、描き睫毛はなし、下は少しだけ描き睫毛がある状態となりました。
素体にセーラーVを選んだのは、もちろん睫毛のプリントが少ないという理由もあります。

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【ウィッグ】


妖狐の銀髪は、実際は(実際とは?)薄紫色で表現されることもありますね。
なので、ひめかづら(まんだらけオリジナルウィッグ)のミックスホワイトを選択。
ホワイト、シルバー、薄紫色のミックスかな?
単色シルバーよりニュアンスが出ます。
買ってきた状態では癖が付いているので、まずブローに小一時間。
そしてブロッキングしながら、根気よくカット。
顔回りの束感、ふんわり立ち上がる前髪の再現度を大切に。
後ろ髪は毛量調整しながらひたすら切る、切る…。
相当削った。カットに延べ数時間を費やしたぜ…。
最終段階で更にカット。そこでもまた小一時間…。
切った毛が散らばるし、結構な重労働。

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【耳①】


耳の内側は、バケツで塗りつぶしたような単色の布を使用すると不自然なので、実際の動物のように、光に血管が透けてまだらに見えるような、むら染めの布を選択。
人間用のファーは毛足が長いので、もふもふ感を残しながらカット。可愛いね妖狐。
内側の布と外側のファーが1mmでもズレることが許せず、何度も作り直す。
内側に巻き込むように立つ耳は、試行錯誤四苦八苦の末、耳の裏側からウィッグの地肌とファーの地肌をまつり縫いすることで固定。
ここまでの作業で、耳が一番苦労しました。
しかし後日やり直す。無駄の多い人生ですが、愚者は経験からしか学ばないので、やってみてわかること、見えるものがあるんですね。

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【ボディ】


オビツの27cm(いわゆる1/6サイズ)の男性スリムボディのホワイティを用意したが、首が太すぎて入らない。削ってどうにかなる範疇ではない。
ボークスの27cmでカスタムした先人の記録を発掘するも、その商品は廃番。
じゃあもう付属ボディの胸を削るわ。なんという暴挙。
胸をニッパーとカッターで削いで、家にあった粗いネイルファイルでガシガシ削っていく。
さすがに痛々しいので作業中の写真はなし。
透けるほど削ったので、二プレスのように白シールを貼り、くっつく包帯を巻いています。
プーリップの女性ボディは華奢なので、着物の下にタオルを入れて補正するような効果。

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【服】


【上】
あの白装束はオールインワンだと思うけど、ウエストで絞るデザインのオールインワンを縫ってから着せることはできないし、背中でマジックテープを留めるのは不格好だし、原作の服はそうではないのでしたくないし。
ゆえに上下別に作って、着せてから、ベルト的な部分でドッキング。
カシュクールのようなドレープを再現するために柔らかい布を探すけど、あまり薄いと透けるし、針穴から裂けるので、程良い厚さのシーチングを選択。
縫いながらギャザーを寄せるのではなく、まず物理的にタックを寄せるように固定してから縫ったら、結構再現できたと思う。
フレンチスリーブのようになっていること、背中がパックリ開いていることは偶然ですが、好みなのでここままいきます。
重要なことなので書きますが、このあと胸元のVは極力開けました。

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【下】
絵だと曖昧なことでもフィギュア化すると決着が付くので、ARTFX Jのフィギュアを参考に作っていたのですが、どうやったら内側から外側へシワが寄るのか?
ズボンは前身頃と後身頃の2枚の型紙を簡単に起こして作っていますが、2回失敗した後に、サイドにタックを入れるように縫えばいいんじゃないか?と思いついたので試して、3度目の正直で成功。
全ては再現性との勝負です。
ひとつひとつリアリティを重ねて、共同幻想は現実世界に実在として現れるのです。
ここでは、スボンの幅に余裕があり、ドレープのようにシワが寄るのと、足首がキュッと絞ってあるのを再現したかった。
後者はギャザーを寄せることで再現。

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【垂れ布】
ズボンの前後に垂れている布は、魔界の風に靡いて翻っていると思うんですけど、私の妖力不足で魔界の風を召喚できないので、どう動きをつけるか…。
タックを入れたら不自然になったので(だから自然とは?)自然なドレープを!作りたい!
あの垂れ布は、無風で静止しているときは靡いていないはずだけど、真っ直ぐ垂れているのではなく、少し動きがあるように見えるし、そのほうが自然なのかな…。
思案の結果、ウエスト部分にギャザーを寄せて縫って、写真を撮る際にはテープで固定しています。
ちなみにパンツ(下着)は履いていません。要らない情報ですかね。

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【耳②】


耳の内側の布が透けているのが気になって、やり直し!
押し絵の手法で、厚紙に綿を置き、布で包む。
これなら裏が透けないし、少し立体的になって、より自然になった♡(だから自然とは?)

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作り直していたら、間違えたことで使用しているむら染めの布に裏表があることに気付き、じゃあ濃ピンクor薄ピンクのどちらにするのか?妖狐の耳の内側の色の正解は?
その謎をあきらかにすべく我々はアマゾン奥地へ向かうのだが、当社比として桜色or白桃色みたいな問答なので夢に帰依する。
「妖狐は全体的に色素が薄い」が信条であり、それ以上に性癖なので、薄い色のほうにした。
光の加減でわかりづらいですが、before(濃ピンク)→after(薄ピンク)になっています。

色素の薄い生き物が強く美しく残酷って最高じゃないですか?!?!
妖狐って本当に綺麗な生き物なので一点の粗もなく綺麗に作りたい。私の妖狐は綺麗な生き物。
だんだん宗教じみた話になってまいりました。

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【尻尾】


尻尾は、そりゃあ身体から生えていると思うんだけど、どこから出ているんだろう。
垂れ布を突き破って出ているように描かれているけど、現実的に考えて(現実とは?)垂れ布とズボンに穴が開いているということ?
いやーそれは不自然なのでは…。
なのでウエストのベルト的な布の下から出しています。
使用しているファーは耳と同じ。上下を円錐状に縫って形状を作っています。
尻尾はやっぱりもふもふなのが可愛いと思う。

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【完成した妖狐】


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ポーズを付けて。

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こんなのもアリでしょうか。

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ふざけているわけでも妖狐を冒涜しているわけでもないのですが、どうにもPOPな路線になるのは、私の軽率な人間性が露呈しているからです。

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【最後に】


どんどん綺麗に、妖狐になっていくので、作っていて本当に幸せな時間でした。
完成してしまうのが寂しかった。ずっと作っていたかった。
なのでリトプで幼体も作ると思う。妖狐の幼体って何だよ。
共同幻想の中に存在する思念体だよ。いるから。見たから(同人誌で)
そんな煩悩で〆ます。ご清聴ありがとうございました。

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