かっこいい女性らしさが漂う曲

2019/12/22


 先月は、既にあるリコメンド記事を受けて、僕なりの解釈も足した内容で書いてみた。これが結構面白かったので、またやってみよう。音楽鑑賞を楽しみながら、このブログらしく第一興商のカラオケ・DAM★ともにも少し触れていく。
 当ブログの過去記事の中で、ミギヒダリアリサさんの踊る映像「Mista Swing」に触れた。これにハマったのでブログも閲覧してみたら、響く記事がいろいろある。今回はそこからピックアップして、同じお題と選曲でいこう。現在は閲覧できなくなっているが、彼女のブログ「Griot」にて紹介されていた中から3曲拾い上げる。 


倉木麻衣「Love,Day After Tomorrow」

 衝撃のデビューだったなあ。こういう曲調、それまでの日本のヒットチャートには見られなかったんだけど、この後R&Bの歌姫たちが続々と世に出てきて、音楽シーンを盛り上げたんだよね。僕はSOULHEADの音楽がこのシーンの集大成だったと思っている。他のシンガーは曲によって刺さったり刺さらなかったりがあるけど、SOULHEADだけは何一つハズレがない上に、作詞作曲も自ら手掛け、歌とラップの二刀流。まさにつけいるスキなしだった。

 倉木麻衣は1枚目・2枚目のアルバムは良かったけど、それ以降は何か変わってしまったよねという旨の、音楽性の変化を残念に思う感想もどこかで見かけた。これには同感。この「Love,Day After Tomorrow」のような、それまでの日本のヒットチャートの潮流には溶け込まないような、突飛した曲調が良かったのに、キャリアを重ねて名前が売れていくうちに、ヒットチャートに迎合するかのような曲が増えていくんだよね。だんだんカドが取れて丸くなってしまったというか。MINMIの「The Perfect Vision」が出たときもかなりの衝撃だったが、こちらはいつまでも攻めの姿勢を貫いているように感じる。

 全部、後付けの結論になってしまうが、やはり後発のR&Bシンガーが続々登場したことを踏まえると、あの時代に一旦R&Bというジャンルから距離を置いたのは、商業的には正しい選択だったのだろう。ひとつのジャンルに固執せずに、音楽の幅を広げてきたから、現在まで息の長い活動ができているんだと思うし。

 まあでも、個人的にはこのデビュー曲のような作品をもっと聴きたいけどね!安室奈美恵も引退してしまったし、今井了介やT.Kura、Nao'ymtたちと仲良くなって、こういう曲をまた歌ってもらいたい。あとは、Ace of Baseの日本語カバーをやったら似合いそうな気がする。煩わしい権利関係の処理とそれに見合う利益が出るかどうかとか、プロになってしまうと、「面白そうだから」という理由だけでは動けないんだけどね。

デビュー当時はTVなどメディアでの露出はほとんどなかった彼女だが、この秋まで第一興商のDAMチャンネルでインタビューに答える映像が流れていた。



Do As Infinity「Desire」

 歌メロの流れの完璧さも去ることながら、間奏に入ってもまったくテンションが落ちない。むしろ間奏の弦楽器の旋律も重要な聴きどころ。僕はDo As Infinityの音楽にすごく詳しいわけではないけれど、ヒットチャートから公共の電波を通して流れてくるものにはひと通り耳は通している。その中では断トツにカッコ良い。これだけは、当時フルコーラスで何度も再生したほど気に入った。多分、生粋のDo As Infinityファン目線からだと、ベタな選曲なんだろうな。アルバムを掘っていけば、まだまだカッコ良い曲はあるんだろう。そこまでは追いかけきれていない。

 ユニットとしての活動よりも、ボーカル・伴都美子単独でのリリース作品の方をむしろよく聴いている。Cyber X feat. Tomiko Vanとして出した「Drive Me Nuts」は良かった。この曲のアレンジャーに10曲任せてソロ・アルバムを出そうものなら、きっと買っていただろう。本人のルーツではない音楽だろうなとは思うが、これまでの自分のスタイルを見失わず、その上楽曲にもぴったりフィット。トランス初挑戦だとはとても思えない。

 他にもこのブログらしい選曲でとりあげると、小室哲哉作曲の「again」を伴都美子名義で出している。こちらは胸が締めつけられるような切ないメロディー。伴都美子の哀愁ある声質とも相性バッチリだ。楽曲が生まれた背景から察するに、製作における準備期間はそんなに余裕を持ったものではないと思われる。通常のDo As Infinityのレコーディングとは異なり、伴都美子自身にも寝耳に水のような感じで入ってきた話だったのではないか。それでもキッチリ歌いこなしている。

 先の「Drive Me Nuts」と併せて、身内のメンバー以外とのセッションでもそつなく対応できることから、伴都美子は歌唱力だけではなく、楽曲の解釈能力もかなり高いボーカリストだ。僕はいくら歌が上手くても、「オレがオレが!」と誇示するようなのよりは、アンサンブルを大事にする歌い方が好きだ。この曲「again」は最初のリリースから年月を経た昨今でも、コンピレーションCD「TETSUYA KOMURO ARCHIVES K盤」に再録されている。

 音楽そのものから少し脱線するが、個人的には髪は絶対切らないで欲しいんだよね。あの長髪をなびかせながら「DESIRE」を歌うのが良いのさ。僕がいいなと思った女性シンガーやタレントは、ことごとく「なんだ、切っちゃったのか…」となってしまうから余計にそう思う。

 DAM★ともの一般ユーザーの公開曲の話をすると、くみごんさんの歌う「DESIRE」を録画で鑑賞したことがある。この方は出す曲出す曲どれもうまくて凄いなあ。でも、マイページを見ると何かコンプレックスを持っている印象を受ける。直すところなんかどこにもないように思えるが、ご本人にしか分からない、ハイレベルな部分での葛藤があるのかな。メッチャ上手いのに現状に満足してなさそうなユーザーさんは、他にもいるね。僕もそんな細かい所まで感じ取れるような、センスの高さがあればいいのにな。


 


中島美嘉「LIFE」

 この曲がリリースされた当時の日本のヒットチャートは、本当に寂しく感じられた。年末の歌番組の特番を見ていても、そう。NHK紅白歌合戦での演歌タイムで眠くなってしまうのは、まあ自然なことだろうが、その年にリリースされたヒット中の曲であっても、演歌タイム同様に全然心が動かない。中島美嘉の出番まで、まだかまだかと退屈な時間をず〜っと耐えて待っていたことを思い出す。ヒットチャートから良い曲を探そうとしても、無駄骨が折れるばかりで、店頭で試聴機をくまなく探すしかなかった。

 そんな中での数少ない希望の光だったのが、この「LIFE」である。音程があっちこっちに飛んで行くので、正確に音を当てて歌うのは至難の業。ボーカリスト泣かせの曲だなとは思うが、この音程の飛びっぷりこそが、楽曲のウリだ。

 アレンジはCOLDFEET。試聴機巡りをしていく中で、偶然掘り当てた「TOKYO LUXURY LOUNGE」という、井手靖監修の素晴らしいコンピレーションCDがある。そこで初めて知ったのがCOLDFEETだ。中島美嘉の作品の中でも、「あっ、コレ良いな」と思ったものは、後から気が付くと、たいていCOLDFEET絡みだったりする。

 COLDFEETといえばイチ推しは何といっても「BODYPOP」。僕も彼らのクラブ・ツアーで生でのパフォーマンスを体感したことがある。終盤での「イ~YEAH YEAH YEAH」と甲高く歌い上げるフレーズの連発がブチ上げポイント。ここは耳に焼き付いて離れなかったものだ。他にも安室奈美恵「DARLING」、TRF「Fake & Fate」などの一連の提供楽曲からも目が離せない。川畑要の「I'm Proud」では、作曲・小室哲哉、編曲・COLDFEETというアツイ組み合わせが実現した。

 DAM★ともの一般ユーザーの公開曲では、★LaLa★さんが歌う「LIFE」が印象深い。動画・録音それぞれ聴かせていただいたが、録音の方が声が良く乗っているような気がした。常時アップされているわけではないので、聴けるかどうかは時の運だが、機会があればチェックしてみて欲しい。



 最後に、このお題に自らの選曲でピックアップしてみよう。さて、カッケー姉さんの定義をどうするか。姉さん呼ばわりするにはそこそこのキャリアが必要だろう。よって未成年は対象外とする。安室奈美恵「Chase the Chance」とかは、例えどんなに良い曲であっても、リリース当時は未成年だったので、今回は泣く泣く選考から外す。そもそも安室奈美恵に詳しければ詳しいほど、そこから1曲だけ選ぶなんて無茶な話だ。そうだな…現役のソロ・シンガーの中からとりあげることにしよう。これなら迷うことなく、すぐ閃く。

小比類巻かほる「SUMMER FACTOR」

 めっちゃカッケー姉さんだなー!と思う。どうやったらこんなカッコ良く歌えるんだろう。憶測だけで言わせてもらうと、要所要所でピッチを気持ち低めに当てるのが秘訣なのかな。ピッチコントロールが完璧ではなくとも、偶然にも気持ちの良いブレ方になっている場合も、他の歌手だとあるんだろう。でも小比類巻かほるは、正しくピッチを当てようと思えばできるけど、表現の一環として、狙って低めのピッチを当てにいってるんじゃないだろうか。

 僕のような素人じゃとても分析できないぐらい高い次元で音楽をやっているからこそ、憧れの眼差しで見ていられるわけで、手の内が容易く把握できてしまうようだと、親しみ易くはなっても羨望の対象からは外れてしまう。小比類巻かほるには、いつまでも痺れるカッケー姉さんでいて欲しい。

 最初はシティーハンターから知ったんだよね。フランスで製作された実写版映画も日本で公開されたことだし、これを機に「City Hunter〜愛よ消えないで〜」や「WHAT'S GOIN' ON」といった、他の曲を改めて聴き直すのもいいだろう。それともうひとつ、m.o.v.eのカバー「City Hunter〜愛よ消えないで〜」を、個人的にはかなりプッシュしたい。