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You Tube夏の生配信三昧(Re:place,Marc Panther,MINT SPEC)

 インターネットでの音楽鑑賞で楽しいのは、何と言っても生配信。今年は野外フェスの中止も相次ぎ、寂しい思いをしているリスナーも多いだろう。ここはひとつ、面白い生配信をしている歌い手をいくつか探し出して、その生配信をハシゴしながら楽しむことで、野外フェスのステージからステージへ移ろいながらライブを観て回るあの感じを疑似的に出してみてはいかがだろう。頭にタオル巻いたりすると、それっぽい気分がでるかも。


 偶然にも、最近気になるアーティストの生配信が同じ時期に立て続けに開催されたので、こんなことがふと脳裏によぎった。それでは、僕が最近見た音楽ライブの生配信について触れていきたい。


 最初は8月8日20時から行われた、2人組ユニット・Re:placeの生配信。You Tubeチャンネル・purin1223にて放送された。結成1周年を記念して開催されたものだが、ユニットの立ち上げ当初から見ている僕としては、ここにきてボーカルのpurinがメキメキ腕を上げてきたなあ!と強く感じた。

 歌の方は最初からうまかったが、1回目の生配信はMCがまだまだ流暢とは言い難かったり、次の生配信ではおそらく自分のルーツであろう、globeの楽曲とそれ以外のアーティストの楽曲で、歌の完成度に差があるようにも思えた。

 この度の生放送は、以上の点をすべてクリアしており、ステップアップしたなあと思った。セットリストの構成は、前半の30分でさまざまなジャンルやアーティストの楽曲を、後半30分はglobeの楽曲を集中的に固めて披露したのだが、後半から急にうまくなったなあ!ということもなく、開始から終了まで安定したクオリティーでパフォーマンスできていた。

 MCも視聴者の方を向いていたし、これから披露する楽曲への自分なりの思い入れを語るシーンは良かった。話し終わった後、熱くなってしまった!とふと我に返る一面もあったが、おおいに熱く語れば良い。全曲やるとくどくなるが、ここぞというポイントで絞って行えば、より面白い生配信になる。文字に起こして伝えることもできるけど、配信でリアルタイムに自分の口から発信すると、語気や口調といった情報もプラスされる。視聴者としてはココがアツイ。単に歌詞とメロディーを覚えたらそれで終わり!ではなくて、へぇ~、こんなこと考えてたんだ、と興味深く聞けたし、歌以外の部分でも楽しめた。

 それからルックスが、ここ最近急に良くなった。これも歌唱力同様、元々良かったけど、鈍い僕でも気が付くぐらいだから相当だ。動画での生放送となると、音楽面以外にも押さえておくと面白さが増すポイントというのはいくつもあるが、これまででは一番だったんじゃないかな。

 キーボーディストのRyutaroは、後半に披露したglobe「wanna Be A Dreammaker」の曲中に、TM NETWORK(TMN)のヒット曲「Love Train」のフレーズを忍びこませる、面白い試みをしていた。ちょうど僕も、マッシュアップ動画に最近ハマっていたところ。独自のアレンジができるのに加えて、こういう遊びまでできてしまうのは大きな強みだ。

 気になる所は音響面だろう。おそらく会場でRe:placeの2人に聴こえている音と、視聴者に実際に届いている音には、結構な隔たりがあるような気がする。僕は、会場ではどんな感じで鳴ってんのかなあと思いながら聞いていたが、視聴者みながみなそうではあるまい。ボーカル・パートはしっかり届いていたから、それ以外のパートも聴こえるようにもっとバランスを詰めていければ尚良いんじゃないかな。

 こればかりは、コロナ禍であらゆるミュージシャンが否応なしに活動形態を変えざるを得なくなった背景があり、長年のノウハウを持っている人材はどこにもいない。ここを突いても仕方ないし、トライ&エラーの繰り返しで徐々に改善していけば良いだけの話だ。

 もちろん次回作も楽しみにしている。globeの好きな方はYou Tubeチャンネルのpurin1223にあるカバーやリミックス動画を聴いてみて、気に入ったらライブ動画もご覧になってはいかがだろうか。



 この翌日にはマーク・パンサーが自身のYou Tubeチャンネルにて長時間に渡るDJプレイを生配信。引っ越したばかりで、音楽の制作作業部屋もこれから組み立てるという状況のようだ。配信中に飼い猫が機材周りをウロチョロし出して、余計な所に足が当たって音楽が止まりやしないかとヒヤヒヤしていた場面は見ていて面白かった。



  それから、MINT SPECのボーカリスト・Miiによる生配信。単独で見ても楽しいけれど、他のアーティストの生配信から間を空けずに観覧すると、直前の放送の熱も冷めやまぬ間にアツイ空間を満喫できる。

 この生配信は常に少しずつ進化している。最近はセットリストのこだわりが感じられるのが良い。前半のリクエストコーナーは、当初はアットランダムな曲並びだったが、最近はアーティストで縛るという試みをよくやっている。7月は、2度の浜崎あゆみ縛りを含め、毎回1曲は浜崎あゆみの曲を出す、究極の浜崎あゆみ強化月間だった。ドラマや久々の新曲で話題になっていたし、タイミングとしても良かったんじゃないかと思う。

 限られた放送時間内で少しでも多くのコメントを読みたい!という思いからなのか、間奏やアウトロで歌唱からコメント読みに切り替える、という試みもやり出した。これもラジオを聴いているようで面白い。将来的にMINT SPECがビッグになって、FMのレギュラー番組を持つようなことにでもなったら、Miiはうまく番組を回せそうな雰囲気を持ってる。間奏で喋りを入れられても、音楽の妨げになると感じるリスナーには、公開動画の方へ誘導しておけばいいだろう。あれは何度も歌った中から一番出来が良いのを載せてるのだから、ガッツリ聴きたい方にはまさにうってつけ。

 たまに間奏から歌に戻る際に、戻り損ねて失敗することもあるが、ここでの安定感がアップすれば尚良い。歌は練習できても、コメントを読むリハーサルはできない。覚えたての曲でコメントを読むと歌の土台がグラつくようなら、そこは歌に専念でも構わないとは思うが。生放送中に親交のある歌い手のhiromiがコメントをくれることもある。そこで「間奏から戻れないの、分かる~」的なことを言っていた。自身の生配信で懐メロ特集のときにTM NETWORKの「Get Wild」の間奏でコメント読んでたらAメロでコケてた、あのときのことかなあと思って見ていた。

 「Get Wild」はそもそもAメロの譜割りがあんなに跳ね返りまくりだと、コメントを読まなかったとしても、一般の方ならスッテンコロリンとなるのが自然だろう。誤解があってはいけないので念押しするが、歌を覚えていなくてコケているのではない。そんなコケ方を何度も繰り返していたら、僕もまた見ようとは思わない。通して歌えるのは前提としてあって、そこにもうひと盛り加えようとするチャレンジから起こるハプニングなのだ。まだ質問コーナーがあった頃から比べると、生放送の全体的なテンポ感がかなり良くなったと思う。


 直近では安室奈美恵縛りをやっていたけど、このときはいつもやってる、オリジナル曲もカットしてカバー曲を披露する時間に回していた。おお~、今回オリジナル曲やらなかったなあ、とちょっと驚いた。X JAPAN縛りのコーナーでは、曲目をアルバム「Jealousy」収録曲に絞り込む、縛り on 縛り なセットリストにするなど、いろいろと仕掛けてくるのが面白い。X JAPANのカバーにこだわってやってきた強みだろう。同じX JAPANのカバーをするにしても、彼らの作品のうち手元にあるのはベスト盤1枚のみ!という歌い手には、真似できないセットリストの組み立て方だ。


 チャンネル登録者がもう少し増えたら、より規模の大きな配信にも挑戦していくんだろう。これからも楽しみだ。


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