実写版シティーハンター11月日本公開

2019/09/22


今年初頭の劇場版シティーハンター旋風が吹き荒れたのも束の間、年末へ向けて嬉しいニュースが飛び込んできた。フランスで制作された映画・実写版シティーハンターが日本でも公開されることになったのだ。
 このブログでも以前に、エンディングテーマとしてファンのハートを鷲掴みにしている、Get Wildのさまざまなバージョンを取り上げたが、その後新たに生まれたものもある。今回は今年二度目のGet Wild特集。

 海外のアーティストからスポットを当ててみよう。まずはStefano Bersolaの「Get Wild」。イタリア人が現地の言葉で歌っているが、伴奏はTM NETWORKの小室哲哉が80年代に日本でリリースしている、毎週アニメの終わりに耳にした、あのバージョンそのままだ。
 日本の音楽はなぜ海外へ輸出できないのか?と真剣に考え、自らが立ち上げた海外進出プロジェクト・EUROGROOVEでは、進出先のミュージシャンを起用して現地に馴染むように音を変えるという手法を使ったりするなど、当時はあれこれと趣向を凝らしていたのに、この映像では歌詞とボーカルパート以外は、日本で自ら制作した音そのものがダイレクトにイタリアの観衆を魅了している。ちゃんと自らの音楽が海を渡って良かったな、と思う。ファン冥利に尽きる。


 続いては、Bentley Jonesの「Get Wild」。こちらも海外のアーティストによるカバーなのだが、なんと英語圏のアーティストがわざわざ日本語でカバーしている。世界で最もメジャーな言語を母国語に持ちながら、あえてマイナーな言語の方でカバーしてもらえるとは、これだけでも原曲へのリスペクトの高さを感じる。日本人アーティストが、カバー曲にしろ自らの持ち歌の英語バージョンにしろ、国内でリリースする楽曲をあえて外国語で制作するケースがある。その背景にあるのは、アーティスト自身のルーツにあるものを崩さずに良い形のまま表現したいという思いも込められているからだろう。自国の言語で歌う方が広く浸透しやすいのは分かっていても、翻訳してしまうとオリジナルの感じがどうやっても出ない。故の、外国語バージョンの選択だ。そんなことを海外のアーティストが日本の楽曲に対して感じてくれていたとしてら、これほど嬉しいことはない。
 同じ海外のアーティストのカバーでも、先のStefano Bersolaと違って、こちらの方は「自分ならこう表現する!」というのが細かい所で垣間見られるので、変わりっぷりを楽しむという点では良いかも。



 国内の活動家にも目を向けてみたい。次はpurin「Get Wild」。以前にもこのブログで、彼女の別の楽曲を取り上げたが、パートナーを変えて新たな音源が公開された。アレンジはGet Wild'89を軸に、聴きやすい尺にまとめたという印象。イントロのシンセサイザーのフレーズも、まるっきりなぞるのではなく、ちょっとだけヒネリが効いているのがポイントか。彼女のYou tubeチャンネルに投稿されているのは、どれもアーティスト愛に満ちていて、聴き応えのある曲ばかり。
 そんな中でも既製のカラオケ音源をそのまま使用したものより、以前取り上げた「Far away from home」といい、今回の「Get Wild」といい、独自に用意したバック・トラックで歌う曲の方が胸アツだ。実際にはあるはずのない、globe「#20th anniversary SPECIAL COVER BEST」や、TM NETWORK「GET WILD SONG MAFIA」の続編を聴いているかのような、特別な感じで浸れるんだよね。

 伴奏を全部バッサリ抜き、彼女のボーカル・トラックのみを収録した「Get Wild」を公開して、好きなようにバック・トラックをつけられる状態で公開しておくと、You Tube的にも盛り上がるんじゃないかな。TM NETWORKの「Get Wild」発売30周年のときに、宇都宮隆のボーカル・トラックのみが公開されてGet Wildコンテストが開催されたことがあったが、いわばあれの女性版だ。コンテストまで仰々しいことはしなくても、このボーカルを聴いて興味を持った方が、「自分ならこう弾く」っていうのを発表していったら面白そうだ。

 併せて公開されている、HUGE DATAバージョンの方が僕のお気に入りではあるが、これはなかなかクセが強く、オススメできるのは「GET WILD SONG MAFIA」を持っている方。ライトなファンには順を追って聴いていただいた方がいいだろう。



 最後はG'z LaVo「Get Wild」。ギタリストならではの解釈で聴かせるインストゥルメンタルだ。序盤から手数が多くて僕好みのアレンジ。1コーラス目の後の間奏で、早速ひと盛りしてあるが、楽曲が進行すればするほどに、どんどん自分らしさが増していく展開も良い感じ。2コーラス目の後の間奏は、手弾きの人ならではの発想。リズムの崩しっぷりがすごくエキサイティングで惹きこまれた。

 TM NETWORKのカバーは鍵盤奏者によるものが圧倒的に多いが、使用楽器が変わると、こんなにもアプローチが違うものなのか。アウトロなんかはもう、やりたい放題だけど、本編の主旋律の部分より、むしろこっちの方が楽しい。「うおー、いいぞー!もっとやれやれー!」と声を上げたくなってしまう。