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銀座松屋の奇跡

 2月23日(祝)の夕方から銀座松屋で行われている「名匠展」に行ってまいりました。銀座松屋さんは毎日のように行っている場所なのですが、最高に心温まることがありました。
 名匠展の催事を見て、全国の匠の技を堪能し、夫は墨を買うというマニアックな買い物をしておりました。そして、いつものように地下の食料品売り場に行って、パンを買い、パン屋さんのレジから数十メートル歩いて、ふとポーチがなくなっていることに気づきました。私は恥ずかしながらお片付けが下手で、カバンの中も乱雑になりがち。そのため、二つのポーチに用途を分けて、バックに入れています。
 お財布と名刺入れを入れているポーチがない。今、まさに数十秒前にお財布をそのポーチから出したはずなのに。一瞬、おっちょこちょいの私だから、ポーチからお財布を出して来たのかと思いましたが、それはない。パン屋さんに支払った時の残像を思い出しても、ちゃんとポーチからお財布を出した記憶が鮮明にある。神隠しにあったような気持ちになり、周辺を探しましたが見当たらない。つい何秒かのことなのに不思議すぎる!私が探していたところ、年配の男性の方(店長さんかしら?)が声をかけてくださいました。
「何かお探しですか?」
「ポーチを探しているのですが、落ちていませんでしたか?」
というと、隅々までひっくり返って探してくださいました。祝日でとても忙しかったでしょうに、閉店近くに本当に恐縮でした。
「申し訳ないです、ないようですので、本当に大丈夫です」と、一旦、記憶をもう一度整理。でも、どう考えても、さっきまでバックの中にあったんだけどなぁ。とにかく消えた!という感じで不思議すぎる。カバンの中、全部、見ても、やっぱりない。すると、年配の男性の店員さんが近寄ってきてくださって
「何か大切なものでしたか?」
と。
ポーチは化粧品のコフレで付いてきたものなので、なくなっても仕方がないのだけど、名刺入れが大事にしていたもの。名刺入れの中に、名刺数枚と普段使っている診察券やお店のショップカードの一軍を入れていて、なくなったら不便だけど、それはいいや。それよりも何よりも、こんな神隠れ的な無くなり方、ある??と不思議でそっちの方が気になってしまった。
そんなお話をしたら、
「防犯カメラの映像を確認してみましょう。少しお時間頂戴するのですが、構いませんか?」
私たちは構わないけれど、いいですか?お願いします。とお願いし、夫をその場にいてもらって、催事場までの道を確認に戻りました。でも、戻る道道、いや、パン屋さんでお支払いするときに、あったのは確かなんだけどなぁ。と思い、すぐに地下のパン屋さんのところに降りて行ったら、夫が一緒に映像を見たら、私がポーチを持っているところが映っていて、レジから離れていって、お店のエリアを出る直前くらいに私が「あれ?ないな?」とやっている姿が確認されたとのこと。
だよね、本当に神隠しみたい。
「お忙しいのに本当にありがとうございます!ここは日本なので、きっとどなたかが、拾って届けてくださっているかもしれませんから、インフォメーションに行って、聞いてみます」
「そうだといいですね」と、言葉を交わして、一階のインフォメーションに行きました。何人か、お客様の対応をしていたので、ほんの少しだけ待っていたら、受付の女性の方が、
「お待たせいたしました。いかがなさいましたか?」と声をかけてくれた瞬間に私の携帯電話が鳴った。急いで取ったけど、切れてしまって、すぐにかけ直したら、「松屋銀座でございます」と代表電話の方でした。もしかしたら?と思いましたが、留守番電話が入っていたので、聞いてから折り返しますと電話を切り、すぐに留守番電話を聞いたら、遺失物係の方からでした!
ポーチが届いていたんです!!
代表電話に掛け直し、遺失物係に繋いでいただいて、別館からお届けていただけることに。そして、別館から来ていただいて、名前と電話番号を書いて、ポーチと引き換えていただきました。ポーチの中に名刺入れがあったので、その名刺の私の携帯番号に電話してくれたというわけです。そして、すぐに地下のパン屋さんに戻って、ポーチが遺失物として届けられ、受け取ったことを報告しました。まるで自分のことのように喜んでくださって、私は感激しました。
「良かったですね!それは良かった!!」
そして、遺失物係の方にどなたが届けてくださったのか、伺ったのですが、わからない、というのです。それにしてもワープしたとしか思えない短時間のこと。全てが始まり終わるまで5分?10分はかかっていないはず。
不思議すぎたおかげで、パン屋さんの優しさに触れられて幸せいっぱいで、何度も、何度も、その時の感動を思い出してしまいます。防犯カメラの映像は、確認するのに立ち上がるまでに時間がかかるとのこと。本当にありがたく、大好きな松屋銀座がますます大好きになりました。そのパン屋さんは「BREAD STORY(ブレッドストーリー)」です。パン好きの私の大好きなストーリーが生まれました。
 
*お写真は、ANDERSENのホームページからお借りしました。

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