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芋畑って、何?!(『夏の葬列』)

「海と青空が好きだった」作家 山川方夫。
『夏の葬列』は、国語の教科書に掲載され、知名度も高い。

作中、真青な波を重ねた海のような一面の広い芋畑が印象的に描かれる。少年が米軍の機銃掃射に遭遇し、芋の葉に身を隠すシーンもある。季節は、空が高く太陽が眩しい真夏。遠く海の音も聞こえる。時期的に考えれば、ジャガイモではない。さつま芋、もしくは、里芋か-。どちらかによって、随分イメージが変わる。

物語の舞台・二宮へ直撃!

本作の舞台は、山川方夫が戦中の疎開以降、暮らした湘南地域の二宮町とされる。二宮で活動している「まちづくり工房『しお風』」さんに、思い切って伺った。  https://shiokazecommunity.jimdofree.com/

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御多忙の中、早速に「さつまいも畑のようです」とご回答を頂く。
【山川方夫の家の近くに住んでいた方に問合せると、
海岸近くは砂地でさつま芋畑が広がっており、里芋畑はなかったと思う、とのこと。さつま芋は、つるから根がでないよう一か所だけ残してつるの根をとりはずし、つるを伸ばすので作中の表現に合っている。
小さな子どもなら身を隠せるのではないか。】

山川方夫の住んだ家は現存するのだが、その付近で、現在教会が建つ場所もさつま芋畑だったとのこと。

そして、物語の重要シーンが展開するのは「なだらかな丘」の裾。その「丘は海岸段丘だと思います」とも教えて頂いた。
(海岸段丘:海岸線に発達した階段状の地形)

「そっかぁ、そうだったのかぁ」
あまりに具体的なご教示に正直、びっくり。
見ず知らずの人間の質問に丁寧に答えて下さる事も有難い。
まちづくり活動を20年も続けていらっしゃる由縁を実感した。

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