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ざんざん降り

本当は今日、本番だった。

コロナ禍で模索する中、日々感染防止対策をしている蕎麦店で少人数のLIVEに舵を切った。定休の月曜実施。蕎麦屋が舞台の池波正太郎作『正月四日の客』を上演後、物語を彷彿とする品を召し上がって頂く企画だ。今年の旧暦正月四日は、2月15日(月)。巡り合わせにも神頼みに近い思いを抱いた。

2/7まで緊急事態宣言発令

告知開始後、間もなく定員の10名に達した。店のご常連からもお申込があり、この人数でさえ高いハードルと覚悟していたので、まずは感謝と安堵。この情勢でも「来たい」と思って下さる方はいるのだ。

緊急事態宣言、3/7まで延長

宣言下での本番当日となり、懸念事項が露にー会場となる店舗ではチラシの掲示&配布をしてくれたが、それだけでも「こんな時にイベントなんて」と思う人はいるだろう。風評は、感染なしに無事終えれば「良くやった」だし、感染すれば「言わんこっちゃない。あそこからコロナが出た」となる。

結果、延期

個人的なスタンスは「緊急事態宣言下だろうと、一度やると言ったら実施する」。とは言え、企画は自分だけで進めているわけでは無い。来場者への配慮は勿論、関係する一人一人の意向が活かされてこそ成功へつながる。そして、自身も不安ゼロでは無い。幸い、関係者一同で腹を割って話すことが出来た。

延期決定直後は、ボーフラ状態。ぱっと切り替えられない性分が痛かった。やっとのことでご予約の方々へ連絡すると、その中で「5名以上の会食自粛が要請されているので、蕎麦は持ち帰りにしようと思っていた」というお声を頂いた。これは、ソーシャルディスタンス確保や換気などと並列の要請内容。本企画が10人の会食と同等とすれば、延期に至っても「食は持ち帰りたい」「食は控えたい」等への対処を検討しなければならない。元々お店は「ライブのみで使って結構」という姿勢だが、本企画は【LIVEと食の共演】が趣旨で冒せないものがある。

これは緊急事態宣言如何に関わらず、コロナ禍にある限り普遍の問題。更に腹をくくらざるを得ない。

腹を括るものの…

ワクチンを打ちたくない人もいると言う。その根拠は副反応? 人道的、倫理的に反することがあるのか? 仮に今秋頃までに広くワクチン接種がなされ企画を打ったとして「ワクチン非接種の方はご遠慮ください」と注意書きすることになるのだろうかー、頭がクラクラする。

〈人命第一〉、〈outputこそ芸人の性〉、〈この時勢で求めてくれる人がいる事実〉。戦時下でも地下でオカリナを吹いていた人達がいた。アンネだって小さな楽しみを懸命に見出すことで絶望と戦ったはず。ざんざん降りを眺めつつ、自問自答が続く。



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