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カノンちゃん、今のままで〜大事なのは『事実』ではなく『気持ち』です〜

1.演じる、という事

あれは随分前のことだ。

歌舞伎役者片岡仁左衛門が鳶の頭を演じる舞踊

『清元 お祭り』

相手役の芸者は坂東玉三郎だった。2人とも、とうに50歳は過ぎていただろう。

花道に現れる仁左衛門、遅れて登場した玉三郎、2人が寄り添い顔を近づける。

もちろん、日本舞踊だから本気のラブシーンがあるわけではない。しかし、会場中が

ホーッ❗️

という大きな吐息に満たされていた。あまりにも美しかった。光り輝くような2人。あとにも先にも歌舞伎座でこんなどよめきを聞いたことがない。

お二人の素顔は、

『上品で控えめなおじさん』だ。

仁左衛門は現在70歳を超えたが決しておじいさんではない。美男を演じるが超イケメンというわけでもない。玉三郎は、あの美しさからは想像できない地味で大人しい顔立ちの男性だ。かなりの年配だが、おじいさんではない。性別を超えた静かな佇まいを見せる人だ。

私は宝塚も観るが、女性とわかっているのに人気の男役が出てくると思わずため息がでる。男役10年、という言葉があるが、長く厳しい日々の鍛錬が、普通の女性を舞台の上で

男の中の男

にするのだ。

男女の区別は、生物学的に、もしくは戸籍上で分類される。しかし

男は『男になろうとして』女は『女になろうとして』はじめて、その性別固有の美しさを獲得できるのだと思う。年齢やもともとの容姿はこの場合あまり関係ないのだ、きっと。

2.カノンちゃんになる、という事

今日は『レンジー』の事を書こうと思っていた。昨日、2019W杯マスコットから日本ラグビー協会公式マスコットになったこのキャラ達と舞踊『連獅子』の思い出を。

しかし、朝何気なく見たTwitterに驚いてしまったのだ。

Canonイーグルス公式マスコットの

カノンちゃん

毎朝キュートでひねりのあるご挨拶をしてくれるとっても素敵なキャラだ。

このTwitter投稿をしている方がどんな方なのか。それは当然Canonイーグルス広報の方であって、なんの疑問の余地もない。

なぜ正体を明かしてしまったのか。

もし、ご担当の方が『自分はカノンちゃんのイメージと違う人間なのに』と何らかの後ろめたさを感じていらっしゃるのなら、そんな事心配ご無用だ。

チームの広報のために『カノンちゃんになって』いるのだから。日々の工夫された投稿の積み重ねによって

活動的でcuteな女の子カノンちゃん

はすっかりファンに定着した。誰が投稿してるのかなんて性別も含めて、もはや問題ではない。

カノンちゃんはファンの中で独り立ちして歩き始めている。

せっかくここまで定着したキャラ、

もうやり切る他ない、というかやっていただきたい

坂東玉三郎は取材で『すいません、素顔がこんなおじさんで』などとは決して言わない。舞台は、舞台、素顔は素顔、できちんと使い分けている。

カノンちゃん担当の方も、投稿の際は

カノンちゃんそのものになって、カノンちゃんの立場から言葉を発すればいい

のであり、書き終われば、素顔のイーグルス職員さんに戻る、それでいいのだと思う。

『素顔がキャラのイメージを壊すのでは?』というご心配は無用だ。Twitterという『舞台』で

かわいい女の子カノンちゃんを『演じ切る』

この『お仕事』に課されるものはこれに尽きるのだから。

ご担当の方はとても真面目な方なのだと思う。でも男性だと公表された以上は、もうリラックスして

時には謎のオヤジみたいな行動をするカノンちゃん

として投稿をすれば、それはそれでファンは楽しめる、と思う。

カノンちゃん担当の職員の方

余計なお世話かと思いましたが、わざわざ男性である事を公表されたのは、『カノンちゃんとしての投稿を男性が担当していいのか』と日々悩んでいらしたのか、と心配になり、老婆心ながらこのような文章をしたためました。

明日からの投稿も楽しみにしています。

今のままで

名役者です、ご担当の方!



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