愛という不安定な軌道に〜トップリーグ練習試合開始に想う〜
1.長い眠りから醒めて
コロナ渦で休止に追い込まれていた各種スポーツ。その中で、最も長い眠りについていたラグビーがようやく始動した。
ラグビートップリーグは、本格的な練習試合を始めている。
日本人監督、コーチで揃えたヤマハが既に数試合を終えている。今週から各チームが非公開ながら練習試合を始める予定だ。
今日は久々にユルユルの記事を書こうと思う。最近大学ラグビーの観戦レポートを書いていて、『遊びゼロ』の記事が続いているからだ。
一生に一度しかないかもしれない晴れ舞台
大学ラグビーは、ある種甲子園的要素も持っているから、こちらも誠意を持って全力投球で観戦、執筆する。私もいい歳だし、書き上がった時はヘロヘロだ。
さすがに息抜きしたくなった。
トップリーグの各チームスタッフさんが、私の記事をどの程度読んでいるかはわからない。ハッシュタグをつけたところで、毎日膨大な呟きが事務局のパソコンに押し寄せているだろう。多分、ヤマハ、キャノン両事務局はこの記事をスルーするだろう、と都合よく解釈して、以下、好きに書いてみることにした。もし、お読みになったとしても、感染という特別な緊張感の続く毎日の中で、スタッフの皆さんが、お昼休みのおかしなネタとして楽しんでいただければ、と思う。
2.愛は突然に
ユルユル投稿しようと思ったきっかけは、
ヤマハHC大久保直弥さんが某スポーツ新聞の取材を受けた記事について、ずっと気になっていたからだ。
一番気になったのはもちろん内容なのだが、それは真面目な話になるので後日に回す。この記事の大久保さんの写真を見た時に
『サンウルブズの時も思ったけど、大久保さんてキャラが《カンチ》だよねえ』
とつくづく思ったのだ。
『東京ラブストーリー』
1990年代トレンディードラマの金字塔、小田和正の主題歌『ラブストーリーは突然に』はミリオンヒットとなった。
主役のカンチ&リカを演じた織田裕二&鈴木保奈美の並びは驚くほどロマンチックだった。
これには原作がある。シュールすぎる恋愛の現実を書かせたら右に出る者はいなかった、漫画家柴門ふみの代表作だ。
私が言うカンチは、この原作のカンチの方で、大久保さんは織田裕二に似ているか、という事をこれから議論するわけではない。
もちろんユージ演じるドラマのカンチも、誠実で優しくて、最後は男らしかったが、原作はその誠実さが、皮肉なほど強くにじむキャラクターだったのだ。
一見何も問題のない男性、というか、こんな人に巡り会いたい、と女性一般に思わせる理想的なキャラにも見えるのだが、、、
男の誠実さって意外と女を傷つける
この物語で、カンチは、都会的で破天荒かつ純粋なリカに惹かれながらも、その価値観は自分に合わないと悟り、最後の最後、地元の同級生だった里美を選んでしまう。
里美役の有森也実は、放送翌日の毎週火曜の朝、学校という学校、職場という職場で、女性視聴者にボロクソに言われていた。今振り返ると、里美は何も悪くない。ただ、素のままカンチの側にいただけで、単にカンチが心変わりしただけの話だ。
カンチも悪くない。ただ最後までリカにも誠実であろうとしたために、結果として、リカをズッタズタに傷つけてしまったのだ。
大久保さんは、見るからに優しそうで、男らしくて、気遣いもありそうな方だから、付き合った女性は、彼に『心変わり』なんて絶対ない、と思ってしまうだろう。大久保さんも、『心変わり』というある種の不誠実さが心の中に生まれても、ギリギリまで否定し続ける、そんな方に見える。
某スポーツ新聞の写真を見ながら
大久保さんは、ドラマよりドラマチックな恋のエピソードを、胸の奥に一つか二つしまっているのかしら
と勝手ながら思ってしまった。
3.愛は右に、左に
大久保さん、とくれば、盟友のあの方に触れないわけにはいかない。
キャノンイーグルス監督沢木敬介さんだ。
私にとって、あの方のイメージはこれ一択だ。
つかこうへいの名作、映画『蒲田行進曲』の銀ちゃん
人気俳優の銀ちゃんは、愛人小夏を妊娠させてしまうが、その始末を弟分の大部屋俳優ヤスに押し付けてしまう。ヤスは出産費用捻出のため、危険な『階段落ち』の役を引き受ける。名優風間杜夫の代表作であり、松坂慶子、平田満と織りなす複雑な人間模様は、あまりに切なくほろ苦かった。
映画の銀ちゃんは、芸に厳しくわがままで、でも同時に天真爛漫な素直さもあって憎めない。ただ、時折冷たい顔を覗かせる。
厳格なラグビー指導者として知られる沢木さんだが、Jスポーツの解説や特番で見せるマイペースな言動の数々には独特の愛嬌がある。グラウンドを離れた沢木さんは、どこかチャーミングで、しかし時にヒヤッとするような冷徹な表情を見せる。
金融商品に例えれば『ハイリスク・ハイリターン』みたいな方なので、お付き合いする女性にはもれなく『自己責任』が問われるだろう、たぶん。
4.愛は不規則な軌道を描く
ここまで書いてみると、
人と人が作り上げる愛なるものは、相手が誰であれ、脆く壊れやすいものなのだ、とつくづく思う。安全な男、変わらない愛情、そんなものはあるはずもなく、
お互いの意欲と、妥協という名の譲り合いが唯一愛を永続させる。愛はどこまでも切なく儚いが、これなくして人は生きていけない。人生は哀しい。
ラグビーは、戦力の差がそのまま結果に結びつく、番狂わせの少ないスポーツと言われる。はたして、このスポーツに携わる人達は、
『愛もラグビーの様だったらいいのに』
とため息をつくのだろうか。
あるいは、楕円球の不規則な軌道を眺めながら
『愛もラグビーと同じだよね』
と唇を噛みしめるのだろうか。
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