静岡ブルーレヴズ観戦記・3/2vs埼玉パナソニックワイルドナイツ〜あの熱よ〜
1.春疾風に
東京駅 午前9時過ぎ。
慌ただしく改札を抜け新幹線ホームに駆け上がると、何やら聞き慣れないメロディーが後ろの自販機から聞こえてきた。
もしかして、これは、、
東海道新幹線は、既に車内ワゴン販売をやめていた。この隣には『#シンカンセンスゴイカタイアイス』で知られたスジャータアイスの自販機が並ぶ。
せっかくなら、これから乗る【こだま】ブレンドにしよう⭐️
価格は同じだが、速度が速くなるほど苦味強めになるらしい☕️
一杯約90秒、
乗客を苛立たせないように💥との配慮か、残り時間と抽出過程の映像まで流れる😳
JR東海、芸が細かいなあ、、
旅情湧く絵柄の紙コップを手に私はこだまに乗り込んだ。
今回も静岡、今回も、ソロ遠征だ❗️
2024年3月2日
ジャパンラグビーリーグワン 第 節 静岡ブルーレヴズvs埼玉パナソニックワイルドナイツ@ヤマハスタジアム
キックオフは14時、いつもならこんな早くから行く必要はないのだが、今回は特別だ。
試合の前に、もう一つ【大切な試合】がある。
レヴズの前身ヤマハ発動機ラグビー部は、創部から今年40周年を迎えたのだ。
2024➖40🟰1984
CM出演の襟巻きトカゲ、初来日したコアラが大ブレーク、この年のメガヒット『郷ひろみ・二億四千万の瞳』は、旧国鉄の鉄道旅行推進キャンペーン『エキゾチック・ジャパン』のテーマソングだった。
巡り巡って2024年のこの日、
ヤマハ発動機OBとこの日の対戦相手『ワイルドナイツ』OBとの記念試合が組まれていたのだ。
新幹線こだまは、相変わらず各駅にたっぷり停車しながら西へ向かう。コーヒーは300円とは思えぬ程美味しかった🌸
この日は雲が多めだった。
品川から新横浜、小田原、熱海、三島、、次第に雲は増えていく😢
富士山が見られないなら、、と私はうとうとし始めた、が、数分後、
はっ、と目が覚めた。
陽射しは明るかった。
あれ程空を覆っていた雲は消え、麗らかな春の空が広がっていた。
静岡は広い、、😳
これは干上がっているのか、いつも定かでない大井川を渡る頃には、こんもり実る夏蜜柑が眩しげに照らされていた。
掛川駅は快晴だった。この日は愛野・エコパアリーナでのライブもないらしい。
誰も口を開かない静かな東海道線車内、10分ほどで御厨駅に到着した。
あの『水色チーム』とレヴズのコラボ横断幕が出迎えてくれた。
この日はスタジアム往復無料シャトルバスがあった。乗車時間約10分、いつもの青いゲートが私達を待っていた。
いや、いつもとなにやら雰囲気が違う。
耳に入るのは聞き覚えのある切ない歌声🥲🥲
♪懐かしい 痛みだわ
ずっと前に 忘れていた♪
そう、この日のテーマは『80年代を振り返る』
既にスタジアム内から賑やかな試合実況も聞こえている。
この日も快晴&強風のヤマハスタジアム
私は、まず夫に頼まれていたグッズを入手すべく物販コーナーに飛び込み、買い物を手早く済ませた。
もう一つ、
来場3回目の記念グッズをいただくため急いでファンクラブブースへ🔥🔥
対応してくださったのはうちの娘世代
=会場に流れる曲はとりあえず知らない、であろう若い方だった。
『知らない曲ばかりでビックリされたでしょうね。』
思わず彼女にそう声をかけてしまった💦
松田聖子『スイートメモリーズ』
鈴木雅之『ロンリーチャップリン』
工藤静香、荻野目洋子、などなど、恥ずかしい程懐かしい曲ばかりで、Z世代社員はドン引きではないか、と思ってしまったのだ😅
『いえいえ、そんな事ないです。』
彼女は笑いながらそう答えた。
同世代アーティストがカバーしている、親がよく聴いている、等の理由で意外と耳にしたことがあるのだろうか。
私はスタジアムへ急いだ。
中から観客の爆笑が聞こえる。スタジアムは和やかな雰囲気に包まれていた。
2.あの頃のままに
丁度記念試合は後半が始まろうとしていた。
この後ろ姿は村田亙さんだろうか。
私は懐かしいラグビーマガジンの記事を思い出した。
両チームは円陣を組んだ。
記念試合後半が始まった。
ぶつかってナンボ、掴んでナンボ、のラグビー🏉果たして、、
このおっさん達にラグビーをさせて大丈夫なのか⁉️
それぞれが華々しいご経歴をお持ちなのは百も承知しているが、コンタクトの激しいラグビーは、野球やバスケのように現役選手のオールスターゲームを開催するのさえ難しい。
実戦から離れ、かつそれなりにいいお年を召した方々の試合、というのは別の意味でスリリングではあった。
いや、意外と皆さんガチで体を張っている🔥
ただ、キッカーを務めるゴローさんは、この試合の企画者として気負いもあるのか、なかなか調子が出ない💦
初めてゴローさんのキックを見たのは、トップリーグ最後のシーズンだった。
そのしなやかな動きに何度も息を呑んだ。
この試合は、Jスポーツオンデマンドで配信され、その実況解説がスタジアム内に流れていた。
実況アナは谷口さん、解説にはきよみいも入り、試合を盛り上げる。
『ゆっくりでいいから』
きよみいは、選手達を気遣っている様だ。
午後からの試合解説を務める大西将太郎さんもキッカーを務めた。
大田尾さんのキックが決まると、会場からねぎらいと安堵の拍手が湧いた。大田尾さんも笑顔がこぼれる。
さて、
試合はワイルドナイツのリードで終盤へ。
ここで一人の選手に大きな拍手が湧いた👏
おお😳❗️この方が【あの水色チーム】の社長さんか❗️
さっそく出番が回ってきた。浜浦さんは現役時代HOだったのだ。
トライを告げる笛と同時に大きな拍手が湧いた。
さあ、CGが決まれば逆転だ❗️
もちろん、この男が登場する🔥🔥
ここでワイルドナイツは意外な戦術にでる❗️❗️
一列に並び、、このポーズだ🔥🔥
爆笑と喝采がスタジアムを包んだ。
ゴローさん、もう入れるしかないぞ🔥🔥🔥
【W杯2015・ブライトンの歓喜】
この歴史的快挙の立役者はやはり期待を裏切らなかった。
楕円球は美しい弧を描いてポールの間を抜けていった。
CG成功、ヤマハ発動機OB逆転勝利⭐️⭐️
会場の鳴り止まぬ拍手、、
それは、
戦いを終えた選手達へのねぎらいであり、
懐かしのユニフォームに袖を通した姿そのものへの感激であり、
この愛おしい時間を創りあげたことへの感謝であり、
さらに、
幾多の試練に唇を噛み、しかしそれを乗り越え歓喜を掴んできたこのチームへの誇りでもあろうか、、
会場内に流れたのはあの名曲、
松任谷由美『ノーサイド』。
哀調を帯びた歌声とメロディーが、私達の心を『あの頃』に引き戻していく、、
選手全員の記念写真は、清々しく晴れやかな笑顔に満ちていた。
私は席を立ち、『あの頃』と別れを告げた。
さあこれから、
『今』が始まろうとしている。
3.今だけを
スタジアムを出ると、見渡す限り人人人、で溢れている😨😨
スタグルも長蛇の列、どこに何があるかもわからない。
私は掛川で買っておいたおにぎり🍙でひっそり昼食を済ませた🥲
ステージ前にはすでに人だかりができていた。 これからトークショーが始まるのだ。
席に着いたきよみいは、早速監督時代悩まされた
『とにかく試合に客が入らない』エピソードを披露していた。
『あらゆる地元メディアに宣伝かけても、ポスターなどで告知しても集まらない。いっそ【100円玉掴み取り】でもやった方がいいんじゃないか、という話になって、、』
いやいや、世界に冠たる【ヤマハ発動機】がそんな企画できないだろう💦
この悲壮感すら漂う状況を一瞬で解決したのが、W杯2015でのゴローさんら日本代表の活躍だった、、
きよみいは、ここで一度語りを止めた。
試合を終えた大田尾さんらが登壇したのだ。
『おう、お前達来るまで、ステージあっためといたぞ。』
あっためるどころか、きよみい節炸裂でステージは沸きに沸いていたのだが、、🔥🔥
私自身はこの雰囲気に少し戸惑っていた。
『きよみいって、こんな風にしゃべるの⁉️』
そう感じたのは言うまでもない。
ここ数年、私が親しんできた『きよみい』は、
【ヒーローインタビューでは折目正しく、チームメイトへの気遣いを欠かさない、いつも笑顔がラブリー】な
【ファイターズのきよみい】だったからだ❗️
ここに集う若い世代は、
『あの人が清宮のパパ❓』と思うだろうか。
今目の前にいるきよみい、
それは『教育熱心な《あの清宮》のパパ』ではなく、若い頃から貫禄満載の【愛すべきラグビー親父きよみい】だった。
それがうれしかった。
私は、立ち止まることもままならなくなったレヴニスタ広場から再びスタジアム内に戻ることにした。
私のすぐそばにレヴズ社長山谷拓志さんの姿があった。鋭い眼を広場の四方八方に光らせている。どこか凄みのある表情に、私はまたしても挨拶をしそびれてしまった🥲
私は一言聞きたかった。
『国生さゆりの【バレンタイン・キッス】を選曲したのは社長なんですか⁉️』
1986年2月1日リリース、当時社長は中学3年、慶應高校の受験を間近に控えていた。
* * *
私はスタジアムに入った。
さあここからがむしろ本番であり、ガチ勝負の一戦だ🔥🔥
既にグラウンドには、本来【記念試合に出て然るべき人】が立っていた。
レヴズアシスタントコーチ堀川隆延さん(=タッキー)だ。
SH村田亙さんとハーフ団を組み、ヤマハ発動機の関西社会人リーグ優勝にも貢献した。(詳細は下掲note記事に🙇♀️)
現役引退後、タッキーはほぼ空白期間なくこのチームの強化育成に携わってきた。今季からはアシスタントコーチとして新監督藤井雄一郎さん(=ふじやん)を支える。
そんなタッキーにしみじみと『過去』を振り返ること等許されない。
全ては『今』、
この厳しい『現実』を打開する事だけが求められている。
前節、
レヴズは痛恨すぎる敗戦を喫していた🥲🥲🥲
ダイナボアーズに8点差=1ポイントも取れなかった敗戦は、混戦の今季リーグワンでレヴズをたちまち窮地に陥れた🥲🥲
そしてこの日の対戦相手は、今季未だ無敗のワイルドナイツ。
2月のクロスボーダーマッチでは、ガチなメンバーを組んで海外チームに勝利し、その強さを改めてファンに見せつけたばかり。
レヴズは昨季リーグ戦で、この【無敵艦隊】に唯一土をつけている。
この試合、果たしてどうなるのか。
ふじやんは、終始厳しい表情で選手達を見つめる。
クワッガ兄さんは長期離脱が発表されていた。が、しかし、離脱しているのは兄さんだけ、といっていい。
昨季の今頃は怪我人続出の大ピンチ、その窮地を救ったのがアーリーエントリーの大学生達だった。
この日もその2人が名を連ねる。
リザーブも含め、ほぼベストメンバーだ🔥
対するワイルドナイツ。
『ガチメンバーなら負けないよ』と言わんばかりの豪華スタメンを組んできた。
淡々と試合前練習は進んでいく。
この日はB2ベルテックス静岡のマスコット【ベルティ】も駆けつけてくれた。
選手達が引き上げていくと同時に、メイン側中央にゾロゾロと人が並び始めた。
試合を終えた両チームのOB達が、
【激励の花道】を作り選手達を迎えた🌸🌸
ワイルドナイツという高い壁、今季も越えられるか。
試合が始まった。
風はフラッグが唸りをあげるほど強く吹いている🌫️
4.前半〜この場所から〜
開始早々チャンスを掴んだレヴズ、キーマンはやはり今季から日本代表資格を得たマロ兄さんだった⭐️⭐️
レヴズ先制⭐️⭐️家村さんもCG成功⭐️
7ー0
ワイルドナイツは即追撃、トライを決めさらに攻勢を強めるが、またしてもマロ兄さんがこぼれたボールを奪取、そのままトライを決めた⭐️⭐️
と、ここまでは良かったのだが、、
ワイルドナイツは甘くなかった。
昨季からレヴズのアキレス腱ともいえるラインアウト、彼らは今回徹底研究したのか。
この日のレヴズは、
ラインアウトが悉く決まらなかった🥲
何度ゴールラインに近づいても、その度にボールを奪取され反撃される。
ラインアウトだけではない。
ディフェンスに長けているワイルドナイツ、ではあるが、攻撃力も昨季より精度が高い🔥🔥
ボールが渡る度に確実に前進していく。
タックルを交わすパスの妙技、
レヴズディフェンスを振り切るパワー、
ゴールライン際の攻防で見せる絶妙なトライのタイミング。
前半終了。
気がつくとダブルスコア以上に引き離されていた😨
【終盤まで接戦、勝負の行方はラスト5分❗️】
そんなヒリヒリした試合展開がレヴズのお約束ではあったが、この日は、なんだか雲行きが怪しい。
5.後半〜この険しき道も〜
もともとワイルドナイツは、後半20分辺りからギアチェンジして相手を引き離す、そんなチームではあるが、この日は容赦なかった💥
レヴズは後半8分、
交代で入ったリチャードさんが渾身のトライを決めた⭐️
しかし、
それ以降ほぼ自陣で守勢を強いられた。
ラインアウトの精度も修正できぬまま攻撃の糸口も掴めず時間だけが過ぎていく。
結果には結び付かなかったが、リザーブから入った槙さんのインターセプトに会場は沸いた。
この日は、レヴズお家芸のスクラムも度々封じられた。
そんな苦境にあっても、選手達は最後までトライを目指し続けた。
しかし、ノーサイド。
19ー45 ワイルドナイツの勝利。
久々の、完敗だった。
私はここで席を立ち小走りにスタジアムを出た。16時台の新幹線で是が非でも帰宅しなければならなかったのだ。
バスに乗るか、歩くか、、
渋滞にハマりたくない😨そう考えて歩き出した私であったが目論見は見事に外れる。
バスは次々と私を追い抜いていった🥲🥲
* * *
飛び乗った新幹線から眺める静岡の夕暮れ、
未だ煌々と明るい空の下、川は変わらず静かに流れていた。
〜あとがき〜
懐かしい顔ぶれで終始和やかに進んだ記念試合、ホスト&ビジター制度が定着した今、懐かしくも新鮮な雰囲気を存分に堪能できました。
きよみい、お元気で何よりです。
さて、心満たされた思い出の空間を後にして観戦したこの日の試合、
まさに【厳しい現実】そのものでした。
それは翌週の横浜キャノンイーグルス戦の敗北で一層鮮明になりました。
クワッガ兄さんの離脱が、ここまでチーム全体を疲弊させるとは、、
とはいえ、数々の試練と困難を乗り越えてきたこのチーム、レヴニスタは選手達を信じて、信じて、ただ応援するのみ、です❗️
これまでも、これからも。