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Founding the Commons Tokyo 2024 report
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Decentralized Science
デジタル公共財
7.24-25に国連大学で行われたFounding the Commons TokyoにSpeakerとして参加してきた。DeSci Tokyoで実施しているreport作成プロジェクトのContributorとして発表の機会を貰った。
学生4人のチーム(+DeSci Tokyo濱田さん, 金沢大学の野村先生)で本プロジェクトは構成されており、日本におけるDeSciの現状と課題を質問紙調査によって明らかにすることが目的となっている。
DeSci Tokyoのレポート作成プロジェクトの中間報告という位置づけで、日本のDeSci領域で活動しているプレイヤーが抱く期待や課題を英語で発信することに価値があるという判断の下、Speakerとして参加させてもらった。
そして、DeSci TokyoがSpeakerのキュレーション担当を行っていると思われる24日のイベントに参加し、DeSci分野において第一線で活躍している起業家、Builder、研究者たちと時間を共にした。
シンプルな感想としては「悔しかったが、楽しかった」に尽きるが、その内訳には色々とあるのでもう少し詳しく、当日の様子も含めて説明していこうと思う。
Who are you
大学4年で、北海道や石川、東京あたりを行き来しておりFtCのことやDeSciのことをほぼ誰も知らない環境にいる。
こちらの記事に詳しく書いてあります。↓
当日の発表について
サイドスペースでExploring DeSci in Japanというタイトルで発表を行った。
Plurality Tokyoの思想や取り組みを紹介してくれたNISHIOさんの後だった。
自分の発表前だったのであまりちゃんと聞けなかったが、Broad listeningの技術にはPluralityの思想とも見て取れる思想が搭載されているのか、と驚いた。
その後の私の発表では当然のごとく自分に集客力がなかったので、発表前はいろいろ声をかけていたが海外のDeSci関連のプレイヤーに日本の現状を広く伝えるという目的はあまり達成できなかったように感じるが、話を聞いてくれた人にはある程度、日本においてDeSciにどのような価値を期待してどのような課題を有する人がいるのか、というある種の俯瞰図を提示できたのではないか。
よくある話だとは思うが、発表の後は反省点が無限に出てくるものだ。
Networkingの時間での自分の立ち振る舞いも含めて、自分はまだまだ魂の声を聴いてSocial Goodな成果を残すことができていないのだなと強く感じた。
欲望が足りていない感というか、素直になれていないんだろうな感みたいなやつだ。伝わるかわからないが・・
一緒に発表を行ってくれた2年生の子には感謝している。彼女にとっても非常によい成長の機会だっただろう。
そして今回の発表のために多くのサポートをしてくれた根本さんや植田さんにも大感謝だ・・・
利用したスライドについて
二重発表になってしまうことやその他いろいろリスクがありそうなのを避けるために、論文に記載する内容と被る部分は大幅に公開範囲から削った結果、ほぼ公開する意味のないスライドしかなさそうなので、Preprintを提出した段階で公開できればと考えている。
イベントの様子
ここでは私が当日に面白いなと思ったポイントをちまちまと紹介していく。
DeSciの初期課題は大学との関わりや実践の仕方にあるとのこと
— ひいらぎ (@hiragi_kd) July 24, 2024
ワークショップスペースで16:50から我々が発表するリサーチの中間結果と似ている。
#FtCTokyo
これはAthene DAOのEstefano Pinillaさんの発言の一部だったはず。
DeSciのビジョンを実現していくためにはIP取引を大学が一部、DAOに委託するような形をとっていきたいが、そのための制度や枠組みが大学側に整っていないケースがあるという文脈で語られていたと記憶。
基本的には(アルゴリズム構築プロセスは)分散型、アウトプットには企業が責任を持つというのがDeSciの社会実装になり得るのではないか(bitgrit)
— ひいらぎ (@hiragi_kd) July 24, 2024
#FtCTokyo
これは向縄嘉律哉さんの発表、AIマーケットプレイスの構築とData Scientistコミュニティの構築という2つの事業の柱からDeSciを読み解く・Buildする鮮やかな発表だった。Bitgritの事業に寄せた「DeSciの社会実装」という話に着地させており、正直なところどのような思想でDeSciをとらえていたのかあまり覚えきれていないので、また発表を聞く機会やお話する機会があればいいなと思っている。
規制のサンドボックス制度、知らなかった
— ひいらぎ (@hiragi_kd) July 24, 2024
実証実験は「新たな課題を発見するために存在している」というのが自分の研究からわかってきたことなんだけど、その研究成果と見立てが一致している。面白い。
#FtCTokyo#規制のサンドボックス
ビジネスモデル単位で「規制のサンドボックス」を適用できるってすごいなこれ。
— ひいらぎ (@hiragi_kd) July 24, 2024
#FtCTokyo
これは池田さんの発表だ。
内閣官房の新しい資本主義実現本部事務局で企画官をやっている方。
ツイートを見てもらえばわかるように感動していた。
産業競争力強化法によって制定された制度であり、平成27年には同法自体は成立していたため割と古くからあるっぽいが、規制のサンドボックス制度は最近のモノなのだろうか?おそらく詳細は以下の本にあるから、読んでみようかなという感じ。
自分の研究で明らかにしようとしていることにも繋がるような制度構築であり、設計思想にめちゃくちゃ興味があったので発表後に声をかけたかったのだが最悪なことにタイミングを逃した。Bad luck. 本人まで届け~~
Goodheartの法則はなくならないことを前提として、
— ひいらぎ (@hiragi_kd) July 24, 2024
OpenData, OpennAccess, Pre-registered
この3つになっているかどうかをリワード(インセンティブ)の重みとして採用した話が面白かった。(Research Hub)#FtCTokyo (続)
今後はこの3つの重みづけをした論文がどのように「実際のインパクトを生み出したのか」が問われることになると思うし、その時は尺度の一つとしてIFも利用されるんじゃないかな。
— ひいらぎ (@hiragi_kd) July 24, 2024
#FtCTokyo
メインスピーカーの中でも群を抜いて面白かったなと自分はおもった。
Research Hub CEOのBrianによる発表。
Good Heartの法則というのは広く知られた「数値目標は必ずハックされる」という言説の元になっているもの。
それを前提として、彼は「数値目標の設定」の限界を認識しつつもDeSciを実現するために必要なインセンティブ設計を行っている。実際にResearch Hub上の論文に対して行われたPeer Reviewの数など具体的な数値も提示してくれており、DeSciをリアルに実現しようとしていることが伝わってきた。
Citizen Science の4つのレベル設計(Code for Japan)
— ひいらぎ (@hiragi_kd) July 24, 2024
「科学に関わる」ってなんなんだ?って思ってたけど、この見立てはよく整理されているように見えるし、他人に説明しやすくなる。
#FtCTokyo
Civic Tech、Citizen Scienceを推進する国内随一の団体であるCode for Japanで活躍するたけさださんによる発表。
「4つのレベル設計」の内訳は公開されている当日の発表スライドの中にあるため省略するが、「科学に関わるとは何か?」というDeSciにおいても出てくる疑問に対して1つのアンサーを示してくれていた。
Science communicationの分野は古くからあるはずで、そもそもそのような分野に名前を付ける必要が出てくるくらいには「営みとしての科学」が市民の手から離れてしまったのだな、ということを再認識した。
デジタル公共財は「市民の手で作っていくものだ」という今回のFtCのメッセージにも「営みとしての公共財」のような思想が通底していそうだ。
所感
力と交換様式(桐谷)を原点として、オードリータン-sanやグレンワイル-sanを通じてPluralityとして、また濱田さんを通じてDeSciという形で日本に流入してきたFounding the Commons というイベントでSpeakerとしてこのイベントに関われたことを光栄に思う。ありがとうございます。
このイベントに関わったすべての人が実現しようとする未来は先の先のことであり、ある意味「うまく」やっていかないと実現しない未来であり、対抗勢力も居るのだろうと思うが、自分の志を徹底してBuildするすべてのプレイヤーに尊敬の念を抱く。
本業を徹底し、このように連携することでしか大きなムーブメントは起こせないし、これだけの規模のイベントを実現したその裏にある運営側の苦労を顧みると、めちゃくちゃな量の経験値が溜まっているだろうなと思う。これだけの規模のイベントを毎年開催することは難しいだろうが、自分の本業を行うことがDeSciおよびデジタル公共財、Pluralityの思想を実現する役に立てればそれは自分にとって幸いなことだなと思う。
これからも自分とこの分野にとってBetterなかかわり方を模索していこうと思うことができたイベントだった。
これが「悔しかったが、楽しかった」の内訳だ。
自分と友人と、尊敬すべきすべての関係者の成長に幸あれ~~
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