玉川上水(ほぼひとりごと(2021年9月29日(水)))
(写真は、文化学園前の広場にある玉川上水跡の赤いレンガのアーチを撮ったものです)
小学生のころ、新宿から京王電車に乗って、下高井戸で玉電(世田谷線)に乗り換えて家に帰ると、甲州街道から、玉川上水に沿った専用軌道に入るあたりの右側の車窓にガスタンクが見えてきました。
大きなガスタンクはこちらに迫って来るようで、怖かった記憶があります。円筒形のタンクはなかなか小さく見えるようにはなりませんでした。西参道の踏切を越え、電車が初台駅に近づくとホッとしました。
京王線が地下を走るようになって60年近く、ガスタンク跡は東京瓦斯が事業主体となったパークタワーになり、文化学園も建て替えられ、京王線の線路と玉川上水の跡は、人が歩ける広場になりました。
新宿の喧騒も、このあたりまで来るとやや遠ざかり、静かになります。道路上を路面電車のように走っていた当時の京王線も専用線路に入るとのびのびと走るようになり、今の緑道を初台駅に向かいます。
文化学園の敷地に入り、玉川上水跡の説明付きの赤いレンガアーチのあたりになると、繁華街のイメージはありません。ファッショナブルな文化学園の学生や、オフィスへと行き来する人たちが交差します。
新宿や渋谷の周辺は、玉川上水のような江戸の水道を担った水路や、春の小川の源流、一時パワースポットで賑わった明治神宮の清正の井戸や新宿御苑にある水源など、あちこちに水が流れています。
赤いレンガのアーチの他、玉川上水の痕跡は見当たりません。聞こえて来るのは、地下を走る京王線の電車の音だけですが、もう少し耳を澄ませると、水が流れている音が聞こえて来るかも知れません。
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