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クトゥルフ神話TRPGシナリオ 「TOKYO UNDERGROUND HOTEL」

#同じ映画から作る千差万別TRPGシナリオ
#ムビシナ

知的種族の中立地帯となっているホテルで、ヘビ人間とミ=ゴが殺害される事件が発生。制限された時間内に探索者たちは真犯人を追い詰めることができるのか?

◆シナリオ情報
ゲームシステム:クトゥルフ神話TRPG
シナリオ名:「東京アンダーグラウンドホテル」
舞台:現代日本(オカルト/ホラー)
プレイヤー数:2~4名程度
想定プレイ時間:2~4時間(戦闘あり・ロスト/死亡あり)

◆はじめに
これは、矢鹿(やしか)@TRPG&ボドゲ勢 ボドゲ製作中(@rusty_keeper)さんの呼びかけた #同じ映画から作る千差万別TRPGシナリオ #ムビシナ の企画用のシナリオです。
今回テーマとなったのは「メン・イン・ブラック」です。

◆イントロダクション
東京の地下にある秘密の施設で地球外生命体が害される事件が発生した。探索者たちは上位組織の命令で事件の解決に奔走する。

◆シナリオコンセプト
 探索者たちは東京の地下にある特殊なホテル内で事件の謎の解明に取り組みます。時間制限内に事件の首謀者の追及と犯人によって盗まれた呪文書を奪還することが任務となります。

◆ハンドアウト   
プレイヤーは下記ハンドアウトから探索者を選びます。プレイヤーの人数が3名以下の場合には選ばれないハンドアウトがあっても構いません。探索者たちはそれぞれ固有の特別な能力や装備を有します。

探索者①:MJ(マジェスティック)のエージェント

かつてミ=ゴと協力関係にあったMJはこの事件の解決をミ=ゴから要求されています。表向き在日米軍に所属しているエージェントである探索者①は積極的に事件に介入することになります。神話生物等の知識や戦闘経験はありますが、謎解きには不慣れです。
職業は〈兵士〉を選択する。
特別な装備:ミ=ゴの電気銃(改)―ルールブック(6版)66頁参照。
改造されているため命中率は〈拳銃〉の判定を使用し、1ラウンドあたり1発発射できる(〈電気修理〉は要せず、必ず発射できる)。弾数は8発。ダメージ及び効果はルールブック通りだが、特別な防御がないかぎり装甲を無効化する(ただし貫通判定は行わない)。
特別な装備:試作型バイオ装甲―ルールブック(6版)65頁参照。
ミ=ゴのバイオ装甲を参考にマジェスティックが協力企業と開発中の防弾・防刃装備。
見かけ上はスーツのように加工されている(プレイヤーの希望があれば、キーパーと協議して形状を変更しても良い)。これを着用している者が攻撃を受けた場合、幸運判定に成功すれば、ダメージは判定の最小値となる。

探索者②:黒蜥蜴の構成員
日本の抗神組織である黒蜥蜴はこの事件の犯人が神話生物または呪文を使える人間であり、市民社会の脅威にならないよう事件に介入し犯人の排除を目指します。またホテルを影から後援してきた手前、ホテルの存続に関わるこの事件を見過ごすことはできません。
職業は〈トライブ・メンバー〉を選択する。
特別な装備:天鉄刀(藤原兼房)
隕鉄を原料に作られた日本刀。基本命中率15%・ダメージ2d6+db・射程タッチ・1ランド1回攻撃で判定する。また、探索者②は黒蜥蜴の構成員として訓練を積んでいるためこの刀を使う際にはダメージ判定時にMPを1d6減らすことでダメージに1d8を追加させることができる。
特別な能力:空蝉の術
黒蜥蜴の構成員として忍術を使うことができる。敵の攻撃が自分に命中した際、MPを1d6減らすことで攻撃を失敗に変更させることができる。

探索者③:警視庁SIT特殊捜査第5係の刑事(巡査)
犯罪捜査に不慣れな他の探索者たちを補佐するために彼らの組織を通じて日本政府に働きかけが行われ、探索者③が派遣されます。SIT所属前は通常の犯罪捜査を行なっていたため神話生物等の知識はありませんが、捜査能力は評価されています。
職業は〈刑事〉を選択する。
特別な能力:捜査経験
アイディア、目星、聞き耳、言いくるめ、信用、鍵開け、隠れる、忍び歩き、心理学、説得、追跡、図書館、変装、法律の判定に失敗した際、MPを1d6消費することで成功に変えることができる。

探索者④:東京アンダーグラウンドホテルのコンシェルジュ
探索者④は犯罪者でありホテルを出ることができませんが、コンシェルジェを務めることでホテル内での自由を得ています。特殊な施設である東京アンダーグラウンドホテルはあらゆる種族・人間の中立地帯ですが、その禁を犯しホテルの権威に泥を塗った犯人には制裁を加えなくてはなりません。そのため探索者④は他の探索者と協力して解決を図ります。ホテルについての知識は探索者④でなければ知りえないことが多くあります。
職業は〈犯罪者〉を選択する。
特別な能力:備品の提供
幸運判定に成功すれば、ホテルの各所に隠匿されている様々な装備・物品を取り出すことができる。
 武器は拳銃またはスタングレネード(手榴弾のHPダメージをMPダメージ扱いに変更する)(ルールブック(6版)70-71頁)。
 精神安定剤(一時的狂気を判定せずに回復させることができる)
 その他キーパーと協議して可能とされたもの
特別な能力:治癒の呪文(ルールブック(6版)272頁)
ルールブックから変更し、効果は1ラウンドで発揮するものとする。また、喪失するマジックポイントは1d6とする。

◆NPC       
(*)ワット・エルガー(ヘビ人間・男性・38歳)
ミ=ゴを襲撃して「カーの呪文書」を奪った犯人。ミ=ゴの反撃に遭い傷を負う。
(*)ミ=ゴ
事件の被害者。
被害者となったミ=ゴの生前の命令に従い、彼の使用していた自律的に動作する人間との交渉用のアンドロイドの“リトルグレイ”が探索者たちの上位組織に事件解決を要請する。
(*)久保田光明(人間・男性・27歳)
ホテルの宿泊担当スタッフ。ヘビ人間の支配血清を最初に受けることになる。
(*)白川哲司(人間・男性・51歳)
ホテルに勤務する医師。ヘビ人間の死体の解剖・鑑定を行なう。2番目に支配血清を受けることになる。
(1)八角弘明(ネズミ怪物・男性・188歳)
弱ったネズミ人間である八角は外界に出ると抗神組織や他の神話生物に狩られてしまうため、安全なこのホテルに逗留している。身体が小さく、気づかれずにあちこちに出入りできるため、ヘビ人間の特殊な支配血清をばら撒く能力が高い。
(2)貝原彰成(深きもの・男性・30歳)
深きものとの混血児だが、成長したために外見的には完全に深きものと同じ姿になっている。だが人格的には人間性を維持しているため、社会への不安を招かぬよう自発的にホテルの住人となっている。ヘビ人間の特殊な支配血清が効きにくい体質のため、体調を悪化させるもののヘビ人間の命令がテレパシーで聞こえても支配されることはない。
(3)井辻正敏(レンの人間もどき・男性・27歳)
ムーン・ビーストに使役されてきたが逃亡した元奴隷。ムーン・ビーストに捕まることを恐れているため、ホテルの存続に協力を惜しまない。ヘビ人間の特殊な支配血清と相性が悪く、投与されると死亡する。
(4)奥山文則(オオカミ男・男性・23歳)
満月の日に変身してしまう体質なので、社会生活を送る上で満月の日の前後はホテルに逗留しているが事件のため禁足され帰宅できない状態にある。特殊な支配血清を受けると変身し自我を失って暴れだす。
(5)錦沢亜貴子(人間・女性・72歳)
かつて有名な占い師だったが、呪文「吸魂」を用いて他人を殺した疑いでホテルに拘禁されている(法的に罰するに足る証拠はない)。外見年齢は30歳台に見えるほど若々しいが、呪文が使えないように舌を切除されているため筆談で話をすることになる。
(6)ヒース・ニーグル(人間・男性・55歳)
シンガポールで多数の自殺者を出したカルト教団の創始者。信者たちに背信者として処刑されることを恐れホテルの客となっている。特に呪文等は知らないが、何事にも動じず信頼されやすい話し方、ふるまいをする。しかし実際は発狂していて、他の種族との交流や事件を楽しんでいる。
(7)三木芳美(人間・女性・28歳)
 ホテルの宿泊担当スタッフ。
(8)バルバラ・カウニッツ(人間・女性・32歳)
 ホテルの料飲部門担当スタッフ。調理担当リーダー。
(9)浅野有朋(人間・男性・29歳)
ホテルの料飲部門担当スタッフ。
(10)他のスタッフ(フロントやドアマン、メイド等のスタッフも常駐するが、登場NPCが多すぎると混乱するのでモブ(脇役)として扱う)

◆ストーリー(粗筋) 

 ミ=ゴ殺害事件の解明に派遣された探索者たちは聞き込みや捜索により犯人を捜索する。時間が経過するにつれ、ヘビ人間は支配血清によりホテル内部の人間や他種族を汚染しコントロール下に置いていく(時間が掛かるほど不利になっていく)。ヘビ人間の企みに気づいたあと、カーの分配により生きながらえるヘビ人間を完全に殺すために、支配血清で操られた者たちと戦いながら隠匿された臓器の探索を行なうことになる。

◆登場する神話生物 
ミ=ゴ:ルールブック(6版)191頁
ヘビ人間:ルールブック(6版)189頁
ネズミ怪物:ルールブック(6版)185頁
レンの人間もどき:ルールブックに記載がないため、ムーンビーストの能力値の2分の1とする(呪文は知らない)。ムーンビーストについてはルールブック(6版)192頁
オオカミ人間:ルールブック(6版)230頁

◆呪文・道具    
(呪文)カーの分配:ルールブック(6版)254頁
※弱点として、「摘出された臓器すべてを破壊」を追加
(道具)支配血清:ルールブック(6版)200頁
※カーのエッセンスが含まれたヘビ人間の血液を混入しているため、通常の支配血清と異なり、どんな命令にでも従うことになる。

◆舞台設定     
 東京アンダーグラウンドホテルは、都心の格式あるホテルの地下にある。
 太平洋戦争時、本土決戦に備えて皇族の避難所として作られた巨大な地下防空壕の一つが転用されて使用されている。調度品や装飾は年代物だが高級品で整えられ、窓がないこと以外は地下であることを感じさせない居心地の良い設計になっている。地上のホテルの地下駐車場の一角に偽装された扉があり、入口はその一か所のみとなっている。事件発生後、扉は閉鎖され外に出た者はいない。またホテル全体も黒蜥蜴の作った結界に囲われているため、呪文等を用いて出入りすることもできないようになっている。
 このホテルは現在、人類以外の知的生命体の中立の滞在地として使用されている。同族から排除されたり、保護を求めたりする種族が逗留する。また、現行法では対応できない超常現象を用いる危険人物を収監したり、そうした危険に遭うことを恐れる人間を保護したりするためにも用いられている。
用途が用途なだけに部屋数は少ないが、働いているスタッフを合わせると事件発生時には20名程度がホテル内にいたことになる。

◆事件について    
 ホテルの宿泊スタッフの久保田が、ヘビ人間のワット・エルガー氏の部屋の扉が半開きになっていたことから室内を確認したところ、死んで溶解していくミ=ゴと出血して倒れ伏すエルガー氏を発見した。久保田はすぐにエルガー氏をホテル内の医務室に運んだが、白川医師により死亡が確認された。久保田の報告を受けた探索者④はミ=ゴの部屋を確認したところ、部屋に残されたミ=ゴの“リトルグレイ(前述)”から交渉(脅迫)される。「死亡したミ=ゴに代わって交渉する。私を殺し、私の所持していた呪文書を奪った者を引き渡すこと。その者の生死は問わない。また呪文書を返却すること。それが為されない場合、地球支配種族である人類種は協約を遵守させる能力がないものとみなし、以後の協力関係を全て破棄する。解決までに12時間の猶予を与える」。
(キーパー情報:真相)
 ミ=ゴはヘビ人間エルガーに呪文書を奪われたため、取り戻すためにエルガーの部屋を襲撃しヘビ人間にも重傷を負わせたものの、反撃に遭い死亡した。エルガーは事件を隠蔽するため、確認に来た久保田を支配血清で支配下に置く。そして医務室まで連れていってもらうと、白川医師も支配下に置いた。その上で「カーの分配」の呪文を用い、不死を得た上で白川医師に解剖名目でカーを注入した内臓を摘出・保管させ、自身は死体を装っている。探索者たちが派遣され事件の解明に挑む間、久保田や白川を通じて支配血清によって支配された人間や他種族を増やし、最終的には探索者たちも支配または殺害してホテルの外へ逃亡することを目論んでいる。ミ=ゴから奪った「カーの呪文書」は羊皮紙に書かれていて、死体を装うヘビ人間の体内(内臓の隙間)に隠されている。
計画自体は行き当たりばったりだが、元々ミ=ゴから呪文書を奪う段階から短絡的な性格なので致し方ない。

◆シナリオの展開  
1.シナリオ導入部

シナリオ導入部の目的は、ホテルの特殊性、探索者たちの立場をプレイヤーに理解させることにある。通常のシナリオと異なり、全ての怪異の排除や回避を目的とするシナリオではないこともプレイヤーに知ってもらった上でシナリオを進めていく。
1-1.事件の知らせ
 探索者たちはそれぞれ所属する部署・組織において事件を知ることになる。探索者④以外はホテルに急行し、合流することになる。
探索者④は事件を受け、被害に遭ったミ=ゴの残した“リトルグレイ(前述)”から交渉(脅迫)される。「死亡したミ=ゴに代わって交渉する。私を殺し、私の所持していた呪文書を奪った者を引き渡すこと。その者の生死は問わない。また呪文書を返却すること。それが為されない場合、地球支配種族である人類種は協約を遵守させる能力がないものとみなし、以後の協力関係を全て破棄する。解決までに12時間の猶予を与える」。探索者④はすぐにホテルの影の後援者の黒蜥蜴とリトルグレイとの関係の深いマジェスティックに連絡を取り、解決への協力を依頼した。
 表向き在日米軍に所属する探索者①は休暇名目でホテルに向かうことを命じられる。目的は事件の解決だが、詳細についてはホテルで確認するように指示を受ける。
 黒蜥蜴に所属する探索者②が表向きどんな職業に就いているかは任意に決めてよい。その探索者②のもとに組織だけで通じる符丁で、ホテルの事件解決と犯人の処刑の指令が下される。
 警視庁のSITに所属する探索者③は、上司から特別任務としてホテルでの調査協力を命じられる。武器として拳銃が支給される。支給される拳銃は、ベレッタM92f(ダメージ等の能力はルールブック(6版)70頁のグロック17と同様だが装弾数は15発)。

1-2.ホテルにて
 都心の格式高いホテルの地下駐車場で探索者①~③は合流し、秘密の出入口からアンダーグラウンドホテル内に進む。地下ホテルのエントランスで探索者④と合流する。
 
この先、探索者④からの話をもとに色々な場所を調べ、話を聞くことで真相に迫り、事件の解決を図ることになる。ここから先はシーン展開毎に時間経過し、15シーン展開でリトルグレイから指示された期限である12時間経過した扱いになる。それまでに解決できなかった場合にはミッションは失敗となり、リトルグレイが自爆して地下ホテルは埋没し、探索者を含めホテルに残った者は全て死亡する。
 シーン切り替え毎にMPを1d3-1回復することができる(最大値を超えることはない)。

(キーパー情報)
 シーン切り替え毎に支配血清によって支配されたNPCが増えるかどうかの判定を行なう。キーパーはシーン切り替え時に1d10で判定し、NPC説明の項の()内の値と同じNPCが支配血清で狙われた扱いとする。この判定はシーン切り替え前に支配されていたNPCの数の回数行なう。支配されたNPCが標的になった場合には、その判定は無効になる。全判定が無効だった場合には、探索者が標的とされる(後述)。NPCが支配血清を摂取したかどうかは通常60%で行なうが、ネズミ人間の八角が支配されると80%で判定することになる。
 探索者が明確に監視しているNPCについては他のNPCを狙うことができない。密かに監視していて、それをNPCが察知できなかった場合には行動を起こす。

ランダムに探索者を選択し、その探索者へ支配血清の混入されたお茶や食べ物を飲まそうと勧めたり、隙を見て襲い掛かり注射針を突き立てようとしたりする(注射針の命中は40%※ネズミ人間が支配されていた場合には70%)。
支配血清を摂取した探索者はPOT15でCON判定を行ない、失敗した場合には脳に直接声が聞こえてくる。その声は「従え」と命じてくる。その探索者が了解した場合には、すでに支配されているNPCから支配血清の入った注射器を受け取り、他の探索者を狙うことになる。声に抵抗するにはPOW×5倍の判定を行なう。成功すれば支配を退けることができる。失敗した場合も支配を免れるが、SANを1d10喪失する。

攻撃が露見したNPCは意味不明な言い訳をして言い逃れようとするが、それが怪しまれると殴りかかってくる。
人間の男性:耐久力14、DEX10、こぶし命中70%、ダメージ1d3+1d4
▫ 久保田は棍棒で攻撃してくるため、ダメージは1d8+1d4となる。
▫ 白川医師はモロトフカクテル(火炎瓶)で攻撃してくる。ダメージ2d6に加え、攻撃された探索者は幸運判定を行ない失敗した場合には衣服に火が付く。次ラウンド以後、幸運か応急手当で失敗する毎に火が消えないことによるダメージ1d6を追い続ける。また火が消えないかった場合にはSANチェックも行なう(成功0、失敗1d2)。
▫ ヒース・ニーグルは70%のマーシャルアーツの心得がある。
人間の女性:耐久力10、DEX12、ナイフ命中50%、ダメージ1d4
錦沢亜貴子のナイフにはPOT10の毒(POT成功0/失敗1d6)が塗ってある。
バルバラ・カウニッツは肉切包丁で攻撃してくるので、ダメージ1d6
ネズミ人間:耐久力4、DEX18、噛みつき命中35%、ダメージ1d3-1d6(呪文なし)
※ルールブック(6版)185頁の回避、命中判定へのデバフ効果確認のこと
深きもの:支配血清を摂取するとひどい体調不良に陥る(支配されない)。
レンの人間もどき:支配血清を摂取すると死亡する。
耐久力:9、DEX7、頭突き(角)命中70%、ダメージ1d6+1d4
オオカミ男:耐久力12※回復、DEX13、噛みつき30%、ダメージ1d8+1d6、装甲1
 ※ルールブック(6版)230頁。感染によりオオカミ男になることはない。

2.事件調査
 探索者がホテルに到着して事件の解明に当たるのは事件発生から3時間後となる。ミ=ゴの身体は既に全て溶解して失われている。
 探索者が行ける場所は8部屋の客室とスタッフルーム、キッチン、医務室になる。部屋を移動するとシーン変更となる(キーパーは判定を行なう)。
 客室(1)ミ=ゴの部屋
リトルグレイがベッドに座っている。それ以外には私物等は残っていない殺風景な状態。リトルグレイからは失われた呪文書について情報を得ることができる。
*呪文書は「カーの分配」の呪文書であり、羊皮紙に記載されている。
*「カーの分配」の呪文がどんなものかは知らない。
*盗んだ相手については、ミ=ゴから情報を入力されていない。
 客室(2)エルガー(ヘビ人間)の部屋
事件のあった部屋。誰もいないが、床には大きく血痕の染みができている。この部屋で得られる情報は以下の通り。
*目星とアイディアの両方で成功すると、血痕の残り方、足跡に違和感を覚える。
*久保田から「意識のないエルガーを運び出した」という話を聞いていれば、上記判定成功時に久保田の嘘に気づくことができる。
(キーパー情報:久保田がヘビ人間の支配血清を受けて運び出すまでの足の運びが不自然で、ヘビ人間と久保田は二人とも歩いて部屋を出ている)。
 客室(3)八角(ネズミ人間)の部屋
八角の部屋に入ると誰もいないかと錯覚する。八角は天井に張り付いている。自分は犯人ではないことを主張するだけで、特に得られる情報はない。八角が支配されたあとにこの部屋に来ると、退室時に、最後に部屋を出る探索者へ支配血清を注射しようとしてくる。
 客室(4)貝原(深きもの)の部屋
太った男で全身しっとりと汗をかいているように見える。両目がかなり離れていて人間離れしてみえる外見で、聞き取りづらいくぐもった声で話す。にこやかに話すが不気味さが拭えない。元が人間なので呪文等は知らない。自身が人間ではなくなっていき、最終的には殺されてしまうのではないかと怯えている。また、八角(ネズミ人間)が天井裏をウロチョロするのが不快だと話す。
 客室(5)井辻(レンの人間もどき)の部屋
角のあるレンの男はムーンビーストに再び奴隷にされることを恐れている。来客に対しては怯えた様子を見せるため、犯人ではないかと疑いを抱かせる。
*心理学、精神分析で成功すれば怯えているのはムーンビーストに対してのものであることが分かり、疑いを解くことができる。
*信用で成功した状態で、レンの男から「カーの分配」について聞くと情報が得られる。不死を得るための呪文。弱点があるらしいが井辻は知らない。
 客室(6)奥山(オオカミ男)の部屋
外見的には体格の良い普通の若者に見える。満月を過ぎてホテルを出ようとしていたところで禁足されているため不機嫌な様子だが、話はしてくれる。呪文に対する知識はなく、またそうしたものを嫌悪しているので情報は得られない。
部屋に訪れたかどうかは関係なく、シーン切り替え時に支配血清を受けると次のシーンで部屋から出て暴れだす。吠える声を聴いた探索者たちが向かうと上半身がオオカミと化した奥山が暴れているのを目撃する。
*精神分析、応急手当、医学、薬学で成功すると、何らかの薬物の影響を受けているのではないかということがわかる。
 客室(7)錦沢(元占い師)の部屋
しゃべることのできない錦沢とは筆談で会話することになる。終始にこやかに受け答えする彼女に見つめられると心の底がザワつくのを感じる。SAN判定を行ない、成功0失敗1d4のSANを喪失する。彼女自身に悪意はないので、探索者の質問には応じてくれる。
*「カーの分配」の呪文については不死を得る呪文であることを聞くことができる。
*「カーの分配」の不死の弱点について尋ねれば、脳または分配された臓器全てを破壊すれば死ぬことを聞くことができる。
 客室(8)ヒース・ニーグル(元教祖)の部屋
禿頭の初老の男性は部屋で武道の演武を行なっている。落ち着いた話し方をする人物だが、人を試すような話し方をする。呪文も神も信じていなかったが、ホテルで異種族に接することで世界観が変わった。今後もホテルから出るつもりがないので、退屈しのぎになる今回の事件を楽しんでいる。
話は盛り上がるが、彼から得られる情報はない。
*彼は精神分析、医学、薬学の技能値が高い(80%)ので、その種の技能が必要なときには頼ることができる。
*ロールプレイや信用の判定などで彼に気に入られた場合、特別な禁止薬物を調合してくれる。この薬物を使用するとSANが1d6減少する代わりに同じ値のMPを回復することができる。これはこの部屋でヒースが調合した直後でないと効果が得られないため、予備として所持しておくことはできない。
 スタッフルーム
久保田と三木、それとモブのスタッフたちがいる。久保田はエルガーを医務室に運んだときに血で汚れたシャツのままだ。
*久保田に事件発生当初のことを聞くと、以下のように話す。
「廊下を歩いているときに、エルガー様の部屋の扉が半分開いていることに気が付いたのでお声かけしました。返答がありませんでしたので室内を確認したところ、ミ=ゴのかたとエルガー様が倒れていらっしゃいました。ミ=ゴ様は溶け始めており、エルガー様はお怪我をなさっており、“意識がございませんでしたので、あわてて医務室までお運びしましたが、お助けすることは叶いませんでした。白川先生のところまでお連れした際には既にお亡くなりになっていた”(嘘)そうです」
*三木に対する心理学で成功=久保田と恋愛・交際関係にあるのではないかとわかる。
*三木に対する精神分析に成功=三木が不安を感じているのがわかる。
*三木に対する信用・説得・言いくるめに成功=不安の原因を聞くと、きれい好きな久保田が着替えもしないでいるのが不思議であり、普段と違うことから居心地の悪さを感じていることを聞くことができる。
*久保田に対する目星で成功=久保田がどこか上の空にあるように感じる。
*久保田に対する心理学に成功=何か嘘をついているのではないかと感じる。
*久保田に対する精神分析で成功=正常な精神状態ではないかもしれないと感じる。
*既にエルガーの部屋を調べていて、部屋の血痕に違和感を覚えていた場合には、久保田が説明した「意識のないエルガーを運び出した」が嘘であることを看破できる。
*久保田の嘘を追及しても言い逃れしようとするが、最終的には絶叫して攻撃してくる。
*モブのスタッフから得られる情報はない。
 キッチン
料理長のバルバラ・カウニッツと助手の浅野がキッチンにいる。彼女たちは事件に困惑しつつもホテルの客やスタッフのための食事の準備にいそしんでいる。
*支配血清に支配される前であれば、信用に成功すると秘蔵のブランデーを振舞ってくれる。秘蔵のブランデーはHPとMPを1d3回復させるが、POT12の判定に失敗すると酩酊し、シーン展開毎にPOT判定に成功するまで全行動の1d100判定で80%以上の判定時にファンブル扱いとする。
*支配血清に支配された場合には、(支配血清を混入した)試食やコーヒーなどを勧めてくる。
*二人とも支配されたあと、エルガー(ヘビ人間)の臓器(心臓)はキッチンの冷蔵庫に保管される。
 医務室
白川医師が働いている医務室の処置室にはエルガー(ヘビ人間)の死体が横たわっている。
「失血死で亡くなったようだが、詳しく調べるために解剖している(嘘)」と話す。
*目星で成功すると、傷ついている場所はいくつもあるが、脇腹の傷が大きく、これが致命傷になったのではないかと推測できる。
*医学で成功すると、脇腹の傷は大きいが、この傷が原因で死ぬには失血までに時間がかかるのではないかと思う。
*心理学で成功すると、白川がなにか嘘をついているように感じる。
*精神分析で成功すると、白川は正常な精神状態ではないかもしれないと感じる。
*解剖について聞くと、「とりあえず心臓と肝臓を摘出して保管している」と言う。取り出された臓器は処置室の冷蔵庫に保管している。キッチンの二人が支配下に置かれると、心臓はキッチンへ保管される。

3.逃げ回る犯人
医務室に横たわるエルガーの脳を破壊しようとした場合には、エルガーや白川はそれを阻む。その後、エルガーは逃亡する。彼は、空き部屋になっているミ=ゴの部屋か自身の部屋、または支配下に置いているNPCしかいない部屋に逃げる。追跡に成功するとエルガーの逃亡先に辿り着くことができるが、失敗した場合にはキーパーがあらかじめ逃亡先を決めておき、探索者が運よくそれを当てた場合にはエルガーに追いつくことができる。外れた場合にはシーン切り替えが発生するが、その後、再度の追跡判定を行なうことができる。
エルガーの逃亡先に辿り着くと、支配されたNPCが探索者の行く手を阻む。NPCが探索者を足止めしている間にエルガーは違う場所に逃亡する。

4.とどめを刺すには
(1) 支配されたNPCを全員行動不能にした上でエルガーに追いつけば、ヘビ人間との戦闘となる。エルガーは脳が破壊されなければ死なないため、耐久力が大きくなっている。

STR14・CON12・SIZ11・INT22・POW13・DEX13・耐久力25・装甲1
噛みつき命中50% ダメージ1d8+POT12の毒(※POT成功1d3/失敗1d8)

(2) カーの分配の弱点を突く場合、摘出されたエルガーの心臓と肝臓を破壊すればエルガーを倒すことができる。キッチンの二人が支配されている場合、心臓はキッチンの冷蔵庫に保管されている。そうでない場合には二つの臓器は医務室の冷蔵庫の中にある。

5.エンディング
ヘビ人間を倒すと、彼の腹部が淡く輝く。エルガーのカーのエッセンスが最後に残留した呪文書が輝いているため、腹部を開くと内臓の隙間に隠された羊皮紙を発見する。
それをリトルグレイに渡すと、「人類種が協約を守る能力があることを確認できた。我々の協力関係は今後も維持される」と告げ、羊皮紙を焼却する。また、リトルグレイもミ=ゴの死体と同様に溶解し、消滅する。


◆終わりに
MIBを見たあとに、ジョン・ウィック(パラベラム)を見たせいで、モロに影響が出てしまいました(おかげで戦闘多めの展開に)。ランダム性が大きいので、どういう展開になるかはプレイしてみないと予想ができません。プレイして感想を聞かせてもらえれば、うれしいですね。

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