写真を見て書く掌編:「とこしえに」
駅前広場にある時計の存在を、彼は最初無視していた。 広場にあるベンチに腰掛けコンビニで買ったサンドイッチを貪りながら初めて目を遣り、まだ二時ならゆっくり出来るな等と考えたが、会議が長引いて昼休憩を取れたのが二時過ぎだった。
慌てて腕時計を見ると、そちらは十一時半を指していた。混乱した彼はスマートフォンを取り出したが、液晶には午後九時十二分と表示されていたので彼は更に狼狽し、立ち上がって駅前のロータリー周辺の建物をぐるりと見渡した。一つの雑居ビルは古くさい電飾に時刻と気温