華Doll*のすすめ

華Doll*というジャンルに狂わされたオタクがいる。私である。
私はこのジャンルに声優目当てで飛び込んできた。声だけ聴ければ良いかぐらいの気持ちで曲を再生したのだ。そしたらまあ、えげつない沼だった
本当にえげつない沼だった。声優の良さだけではない、考察推奨コンテンツと公式に言われているだけあり、知識と思考でコンテンツと語らう時間が楽しい。単純にキャラやストーリーも良くて普通のオタクとしても楽しめる。曲だって良いから頭からっぽにしても楽しい。とにかく何をしても楽しい。楽しいなと思っている間に、気づいたら沼へと転げ落ちた。
そして気づいた。この沼、ひとりで狂うには地獄だ。誰か一緒に狂ってほしい。

この記事はそうやって華Doll*に狂わされたオタクが、これから華Doll*に触れようと思う人向けに書いた記事になる。要はチュートリアル的なものだ。同時に頼むから一緒に狂ってくれという願いも込められている。
プロジェクトが発表されてから一年、そもそもの「考察推奨」という特性。そのため履修資料が膨大になってしまった華Doll*を掘っていく助けになってくれればうれしい。そして最終的には一緒に狂えたら何よりもうれしい。

そもそも華Doll*とは

一言で言ってしまえば、完璧なアイドルを目指す少年たちの物語だ。
だいたい理解している人は次の「華Doll*の追い方」の項目に飛んで何から触れていくべきか確認してほしい。
あまりよくわかっていない、という人は(手前味噌で申し訳ないが)2020年3月、4巻発売時点で作ったプレゼン資料を貼っておく。画像4枚なので軽く目を通してほしい。

このときからひとりで狂うにはつらかった。仲間を欲していた。心から欲していた。今もそうだ。だからこんな記事を書いている。

華Doll*は完璧なアイドルを目指す少年たちの物語――そうは言っているが、この華Doll*の世界において「完璧などない」ことが公式に明言されている。
それでも少年たちは完璧を求めるのだ。心に負った傷を癒したくて。何が、誰が傷を癒してくれるのかわからないままアイドルになろうとして、アイドルになって。時に傷を広げ、時に傷に塩を塗り、それでもやっと傷が癒えたときに、そばにいてくれた人の手を取ってその先も生きていく。そういう物語だと私は理解している。

華Doll*の追い方

華Doll*はドラマパートと楽曲パートからなるCDをメインコンテンツとして展開するプロジェクトだが、サブコンテンツとしてフルMV動画無料ブックレット、さらにはキャラ運営Twitterが存在する。また、各所で有名な小説や映画を引用しているところもあり、参考図書・映画を一緒に履修するとさらに楽しめるようになっている。
なお、メインであるCDも1st seasonの4巻までは全音源がサブスクに下ろされているため案外手をつけやすいジャンルとも言える。

なので、正直何から触れてもいい。気になったもの、消化の得意な媒体から履修してほしい。

ただそう言うと逆に混乱する人もいると思うので、迷ったらMV動画から聴いて、と言っておく。曲はもう聴いているなら、(できればキャラ紹介動画に触れてから)次はドラマパート。サブスク登録しているならそのまますぐに聴ける。
とは言ってもサブスク登録していない人もいると思うし、その場合ドラマパートは配信かCDを買うかしかないので結構ハードルが高くなる。ブックレットとTwitterである程度世界観を見極めてからドラマパートの音源を手に入れてほしい。

ざっくりまとめると、
まだ何も公式コンテンツを見ていない人:MV動画
動画だけは見た人:ブックレット・ドラマパート
ドラマパートも聴いた人:(興味のある人は参考図書・映画からの)ファンの考察ブログや二次創作

の感じで触れてみるのが良いと思う。
もちろん最初に言った通り、気になったものから触れてほしい。これ以外の順番で触れたって問題ないし、自分が楽しいと思える順番で触ってみるのが一番だ。

曲・動画

上記は公式チャンネルへのリンク。Thinking reed ver. と書かれたものがフルMV動画になるのでそれからチェックしていってほしい。
現在(2020/12/05)時点では7曲がフルMVでチェックできる。特に再生回数も多く「強い」と言わざるをえないのがこちらの「S.T.O.P」という曲。

強い。あまりにも強い。
強すぎて刺さらなかった人は下の「Juliet」がオススメ。

ハモリのきもちよさと極限までの美しさ。たまらん。

せっかくのアイドルコンテンツなのだからアイドルとしてアイドルらしい曲を歌っている彼らも見ていってほしいので、彼らの最初の曲も貼っておく。

アイドルソングやK-POPが好きな人はこの「BIRTH」が一番刺さると思う。

とりあえず3曲挙げたが、Anthosはどの曲もハズレがない。刺さらなかったとすればおそらく好みの問題で、クオリティの高さについてはきっと納得できるはず。彼らは歌う曲の幅も広いのでとりあえず気になったものから聴いてみてほしい。

なおMV化されていない曲「Stay away」と「Silent Message」に関してはサブスクの方から確認してみてほしい。どちらも名曲。

それとキャラクター紹介動画も一度見ておくとわかりやすい。BGMなしでかなりゆっくり喋ってくれているため、声がはっきりと聴きとれる。ドラマ中のキャラ判別に自信のない方も予習しやすい。

ぼ、ぼくは灯堂理人(CV伊東健人)の……「いいね」がすごく……すご……好き……(ぼそ)

ブックレット

ブックレットはこちらの公式サイトのページからPDFがDL出来る。

中身はプロジェクトの説明とキャラクター紹介インタビュー、あとはMVの紹介と広告になっている。
CDの歌詞カードでは収まりきらないイラストや文章がほぼすべて掲載されているため、音声コンテンツや動画がまどろっこしくて苦手という方はブックレットを読み込むのが良いかも。

なおこちらはアニメイトで無料配布となっており、最新号なら陳列されたCDのすぐ近くにあると思う。紙媒体で見るAnthos、なかなかに最高なので是非手に取ってみてほしい。悌太先生(イラストレーター)のあのざらついた質感の絵は紙でこそ映える。これはガチ。

公式Twitter

Twitterは2種類あり、ひとつは天霧プロダクション運営のインフォメーション用、ひとつはキャラ6人が運営するわちゃわちゃ観賞用(言い方)。

天プロオフィシャルはこっち。

キャラ運営のAnthosTwitterはこっち。

考察したいタイプなら天プロオフィシャルを遡ること推奨(幸いまだ1000ツイートもないので重要ツイだけ抜き出していればさほど苦でもない)。
キャラ萌えしたいタイプならAnthosTwitterを遡った方が良い。ほぼ毎日誰かがツイートしてくれていて、たまにキャラ同士でリプライを飛ばし合う様が見られる。また不定期でメンションイベントも開催されてファンに直接返信してくれたりもする。愛。

考察もキャラ萌えもしたいタイプはどっちもがんばって遡ってほしい。Twitterの検索コマンドを駆使すると少し楽。

検索コマンド……考察向けには「#Flowering_Boys_were_still_in_a_dream from:amagiri_prod」が手っ取り早いかな……?
キャラ萌えは「#名前 from:Anthos_twt」が良いかもしれない。

ドラマパート

地獄と名高い華Doll*シナリオだが、正直否定できない地獄っぷり
だってそもそもが不健全なのだ。完璧などない世界で完璧を求める少年たち。人間としてですら未成熟な彼らは、人間ですらなくなっていくのかもしれない。それでもそうしたいだけの理由があった。それだけの決意があった。衝突しないはずもない。
けれど地獄だけで終わらないのも華Doll*だ。雨が降ったあとに花が咲くように、衝突したあとに救いがある。彼らに悪意はなく、人を想い、手を伸ばす勇気を持っている。
彼らは傷つく。羨み、疎み、眩しくも感じながら手を伸ばして、傷つくことでわかりあう。

この「答え」を、是非聴いて、自分で感じ取ってほしい。そして一緒に狂ってほしい。私は狂った。

ドラマパートは各CDに5トラックずつ、だいたい1時間程度のボリュームで収録されている。「Project Archive 1-XX」というタイトルでナンバリングされているのでこの順番で聴いていくのが良いと思う。
各サブスクに下ろされているのでここではSpotifyのみ貼っておく。

ちなみにだが、「とりあえず聴いてみる」程度ならサブスクで済ませてもらって構わないし、キャラ萌えが主体の方なら本当に電子音源で良い。配信で買うのも全然良い。ジャケットイラストを紙で見てほしい気持ちはあるが、電子で思う存分拡大するのも楽しい。それはわかる。
けれど考察メインで華Doll*に関わっていきたい人と単純にアナロググッズのデザインに興味がある人はCDを買ってほしい。CDの帯や盤面にもモチーフが仕込まれているからだ。正直華Doll*ほど「CD」のデザインが上手いプロジェクトはめったにないと私は思う。

参考図書・映画

結構な量の参考作品がにおわされており、特定できているもののみ列挙していく。気になったものから触れてみてほしい。私もすべて触れたわけではない。

書籍

アンドロイドは電気羊の夢を見るか(キャラが言及)
アントニーとクレオパトラ(台詞の引用)
ロミオとジュリエット(キャラが言及)
マクベス(キャラが言及)
1984(MVオマージュ)
星の王子様(キャラが言及)
美女と野獣(MVオマージュ)
車輪の下で(キャラが言及)
パンセ(キャラが言及)

映画

ブレードランナー(キャラが言及)
バタフライ・エフェクト(台詞と主題歌からの引用)
フォレスト・ガンプ(台詞の引用)
ラブストーリー(台詞の引用)
恋愛小説家(台詞の引用)
ロミオ&ジュリエット(キャラが言及)(現代版のやつです)
スタンド・バイ・ミー(MVオマージュ)

もちろんこれら以外にも参考作品なのではと言われているものもある。そういったオマージュ元を特定する遊びもこのジャンルの醍醐味。

その他の参考コンテンツ

現時点(2020/12/05)ではまだ一話しか出ていないが、コミカライズされている。音声ドラマが苦手な人でもとっつきやすくなるのは素直に嬉しい。
さらにはソロ曲シリーズの発売が続々となされており、追加メンバーとなる刹那含め7人分の曲が順次出ている。
もっと言えば、天霧プロダクション所属の別のアイドルユニットLoulou*diが活動再開するとして新キャラが三名登場した。第二部INCOMPLECAの新譜もLoulou*diからとなっており、非常に楽しみである。

コンテンツの展開はオタクとして本当に嬉しい。そしてそこでまた新しいファンがついてくれたらもっと嬉しい。
もしここまででAnthosのことを知るにしてもいまひとつと思う方でも、コミカライズなら刺さるかもしれない。ソロ曲で天啓に打たれるかもしれないし、Loulou*diのファンになるかもしれない。
そういう人とも、私は一緒に狂っていけたらいいなと思っている。

おわりに

華Doll*は本当に奥の深いプロジェクトで、こうして軽くチュートリアル的な記事を書いてみたが魅力を伝えきれているとは思っていない。そもそも考察をしたいタイプか、キャラ萌えしたいタイプかでコンテンツとの向き合い方も違ってくる。そういうまったく違うタイプの方に等しく魅力が伝わるように書くのは難しい。これは単純に私の力不足ではあるのだけど。

考察をしたいタイプだとしても、どういう方向で考えていけばいいのかわからない人もいると思う。また手前味噌になるのだが、要点を整理した記事があるので何かの参考になれば幸いだ。頭から終わりまで全部ネタバレなのでそこは注意。

どちらのタイプにしても、ミックスタイプにしても、今後とも同じ華Doll*というこのジャンルで狂っていけますように。私をひとりで狂わせないでくれ頼む……頼む……この沼マジでひとりで狂うにはきついんだよ……!

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