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ISO3200

随分時間が経ってしまったが、凌駕さんソロ曲発売おめでとうエントリを書く。

今回も見事に吹き飛んだというか、むしろ歌詞に込められた感情がビッグすぎて押しつぶされそうだ。こんなビッグな感情を爽やかなメロディに乗せて歌うな。
The Days。良い曲だが、良い曲なんだが、感情がほんとにビッグすぎて震える。

SSももちろん全種読んだのでそれでもネタバレを避けて語ること……となるとやはり少なくなるのだがクソデカ感情に押しつぶされた者としてうめき声をここに残しておく。
ネタバレはできるだけ避けるが、チヒロの漢字表記だけは許してほしい(なんとなくカタカナで書くと凌駕や眞紘に失礼な気がして)

開けた視界の眩しさ

凌駕はFriendがキーフレーズになることがずっと言われてきた。そのFriendとはもちろん智紘のことであり、Anthos――眞紘のことでもある。どちらもヒロと呼ばれる、HEROと表記できる凌駕の大切な人だ。

智紘には凌駕はオッドアイへの肯定をもらった。そのとき、凌駕の視界は開けたのではないかと思う。そしてその目で見つめた世界はきっと眩しかった。

カメラにはいろいろな設定値があるが、そのひとつにISOがある。写真の光量のことで(人間で言うところの瞳孔の働きと同じだと理解してもらっていい)、その数値が高い方が、眩しい。日中なら1600でも高すぎなくらいだろう。
ISO3200。眩しすぎてきっと何も見えないくらいの世界。ピントは合わなくて、でも、そんな視界を褒めてくれた人がいたなら。凌駕は確かにそんな人に出会っていたのだ。

そんな日が「あの日」――のひとつ、だったのかもしれない。The days、初期案はThat Dayだったようだがきっとおそらく智紘とすごした日々、Anthosとしてすごした日々のすべてが自分の分岐点だったと解釈して複数形にしたらしい。

その後凌駕はAnthosに入り、偽りの「夢」を愛するふりをしながら過ごすうち、眞紘を知り、本当の「夢」を見つける。
五巻の凌駕と眞紘の喧嘩(というか一方的な殴り)のシーンはまだ記憶に新しい。凌駕が嫌だったのは、眞紘が自分に嘘を吐いたことだった。自分の夢を偽ったことが嫌だった。
こうしたAnthosでの日々もきっと「あの日」のひとつで、The daysなのだろう。良いタイトルをつける。びっくりする。凌駕お前貴様……このタイトルだけで一体どれだけのAntholicが狂ったと思っているんだ……!

「自分のために、思うまま」と補足されたこの歌詞は英語サビが繰り返されている。それもまた苦しくて、愛しい。

翼と緑(※ここからネタバレ)

凌駕のソロ曲は途中英語でのセリフが入る。それは映画「バタフライ・エフェクト」と映画「フォレスト・ガンプ」から引用されたものだ。ええ加減見なな、と思っていたのでこれを機会に私もフォレストガンプを履修した。

そして吹っ飛んだ。凌駕が引用したセリフ「fly far, far far away from here」は父親から性的虐待を受ける女の子のセリフだったからだ。

女の子ジェニーはアル中の父親が自分を呼び立てるのを聞いて、とっさに主人公フォレストの手を引いてトウモロコシ畑を走る。父親をまけたあたりで座り込んで言うのだ、Pray with me(一緒に祈って)と。その後のセリフが「Dear God, make me a bird, so I can fly far, far far away from here(神様、私を鳥にしてください。ここから遠く、遠く、遠く飛んでいけるように)」。

私は結構この解釈で悩んだ。凌駕がこのセリフを引用した理由はなんだろう、と。

凌駕がバタフライエフェクトからI’ll come back for youを引用してきたのはおそらく五巻の眞紘を迎えに行くシーンのことを指しているとわかるのだが……とまで考えてひとつ浮かんだ解釈としては「眞紘と天霧一の不仲」を指している、がある。
性的虐待ではないにしろ眞紘は天霧一からネグレクトに近い仕打ちを受けていたのではないか、と想像するのはたやすい。ネグレクトや虐待と言い切れなくても実際に眞紘は父親を父親とは認められず、嫌いだと断言して結城姓を名乗っている。

そんな眞紘の「父親から逃れたい」という思いを、凌駕はフォレストガンプのセリフから引用して、代弁したのではないか。

これが私なりの考察。つまり凌駕はあのセリフで智紘ではなく眞紘に向かって語りかけている。
事実眞紘と鳥の相性はかなり良く、Unknownでは羽が、CYWでは鳥が登場し、Me against Myselfでは眞紘に翼が生える。

ドラマパートでは眞紘だけが「ここから」逃げ出そうとした結果ひとり退団することになりかけたが、それでも凌駕は語る。最後にぽつりと付け足される「with me」だ。with me、一緒に凌駕は祈ってくれるし、一緒に凌駕は飛び立とうとしてくれる。凌駕は眞紘とともに在る。眞紘こそが凌駕にとっての本当の「夢」なのだろう、とここまでで十分結論づけられるだろう。

いやしかしSSも歌詞の内容もえggggggっぐかったな~~……というのが素直な感想。これもはやラブソングだよ。凌駕、眞紘に対する感情があんまりにもビッグ。

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