テスト週間で体力はどう変わる

※前置き※
自分はトレーニング科学の専門家ではないし、測定方法の精度も荒く、科学的な手順を踏んで分析した結果では全くないので、ここに書かれている内容が「そんなの当たり前」とか「考察が全く的外れである」可能性は多分にあります。あくまでも個人の感想です。

テスト期間の活動方法

部活動の場合、学校がテスト週間に入るとそれに伴って練習が休みとなる。

我々はクラブチームなので、複数の中学校から選手を受け入れていることもあり、テスト週間をどう過ごすかは選手の判断に任せている。

練習日はテスト週間であっても通常通り設定するが、勉強に専念するのも練習しに来るのも自由に選択するといった具合である。

チームとしては、目標を達成するための結果を個人が出してくれれば良いので、時間の使い方を学んでもらうという意味も込めてそうしている。
勉強する人もいれば、練習する人もいるという状況から、考えの違いを尊重することも学んでほしいとも思っている。

ちなみに、大同ハンドボールアカデミーでは、ハンドボールの活動で勉強に支障が出ないように、定期的に勉強会を開催している。それについてもまたいずれ書くつもり。

1週間のオフは体力にどのような影響を与えるのか?

こうした形をとってはいるものの、選手たちはやはり勉強に集中して取り組む者が多い。そうなると1週間程度のオフ期間が与えられることになる。

練習をしなければトレーニング量は減るので、当然体力としては落ちると予想される。
しかし、どの程度の影響があるのかをはっきりと考えたことはなかった。
文献などを調べてある程度の知識を得ることはできても、実態としてどうなるのかは明確にわかっていなかった。

そんな中、この2月にテスト週間のある中でチームとして体力測定に取り組む機会があり、その影響度を検証する機会を得ることとなったので、ここにまとめておこうと思う。

条件

下記の要領で体力測定を実施した。

期間:2022年2月1日〜2月28日
対象:中学生男子チーム14人
種目
 30m走
 ボール投げ
 立ち幅跳び
 垂直跳び
 イリノイテスト
 コートシャトル走
計測時期
 第1回 2月6日
 第2回 2月16日〜18日
 第3回 2月27日

種目はNTSチャレンジトレーニングのものを使用している。
第1回から第2回までの間にテスト期間となる学校が多かったので、第1回と第2回の記録を比較することで検証が可能となる。

選手たちには、自主トレーニングはこういうことをしておくと良いよ、といったメニュー表(筋力やスピードのトレーニングなどの一覧)を提示しておいて、各自で練習に取り組ませた。

結果:5%くらい数値が落ちる

テスト週間を経て、第2回目の体力測定を実施したところ、各種目の数値がおおよそ5%くらい低下していることがわかった。細かい種目別の傾向もほとんどの選手で同じだった。

動作の改善はできる

種目別に見ると、垂直跳びの記録はほとんどの選手で記録が伸びていた。
そもそも垂直跳びは計測するのは初めてという選手が多く、短期間で動作を改善する余地が多くあったのだろうと推測される。
実際にジャンプのフォームは大体の選手が2回目の計測時の方が上手になっていたように見えた。
一方で、体力テストで馴染みのある立ち幅跳びの記録は全体的に横ばいだったので、フォームの改善度合いが垂直跳びと比べると少なく、筋力の低下と相殺されたのではと考えている。

筋力と持久力は落ちる

また、30m走やボール投げ、コートシャトル走は伸びた選手はほとんどおらず、一律で5%弱の低下が見られた。
スプリントのトレーンニングに熱心に取り組み、フォームが明らかに改善された選手も数名いたが、彼らも記録が伸びることはなかった。
ボール投げ・コートシャトル走も同様に記録は低下していたので、ある程度動作を習得している種目に関しては筋力や心肺機能の低下が影響していると考えられる。

ちなみに、イリノイテストについては、方向転換の技術を磨くことで短期間でも成果が出ると考えていたが、記録は全く伸びなかった。
ダッシュの要素や心肺機能的な要素も含まれているので、そちらの低下の影響が大きかったのか、動作の改善が不十分だったのかは結論は出ていない。

この結果をどう捉えるか

これまで述べたように、我々のチームにおいては、「1週間全体練習がオフになると、体力は5%くらい落ちる」という結果が示された。

あとで選手たちに話を聞くと、彼らもテスト週間で勉強を優先したが、記録は落としたくなかったので、半分くらいの者は筋トレなどに取り組んでいたようである。

これらを踏まえて、自分なりに得た気づきとしては

①自主トレーニングの質が足りていない。もっと自主トレーニングの教育をするべき。
②練習の強度を自主トレーニングで維持することは難しい。低下を前提として考えるor1日くらいは短時間でもハンドボールの練習をする。


①については当然改善の余地はあると思うので、今回の結果を踏まえて選手たちとより良い方法を探っていきたいとは思う。
ちなみに、あまりトレーニングに取り組めなかったと反省していた者は10%近く数値が落ちているものもあったので、各自の自主練習の効果がなかったわけではない。

だから、②の視点を持つことが大事なのではと思う。

普段の練習で、体力系のメニューを多くこなす日でなくても、全力でシュートを何本も打ったり、スピードを持って突破してくるOFをコンタクトして止めたり、速攻に走ったりすることは肉体にかなりの負荷がかかっているのだ。

そしてそれらの運動は、コートがなければ、ゴールがなければ、仲間がいなければ実行することは難しい。もちろん自宅でも、しっかりとした知識をもとに徹底的にトレーニングすれば1人でも効果は出るだろうけど、中学生ができることに限りがあることも事実。

となると、なんとか時間をやりくりして練習する時間を作った方が、短期間で効果を上がって良いかもしれない、と今は考えている。
もちろん、テスト週間にそんな時間を作ることのハードルは高いのだけれど、息抜きでスマホを触る時間を合算すれば週1回くらいはできないだろうか…

一方で、回復する期間を設けるということもトレーニングには必要であり、テスト週間はその機能を担っているのかもしれない。
事実、昔に指導していた中学校(練習量多い)では、テスト明けに動きがキレている選手が何人もいた。

今のチームは週3回の練習なので、どんな形がベストのやり方なのかは、今後も検証していきたいと思う。

◆大同キッズ・大同ハンドボールアカデミーのHPです◆
よかったら覗いてやってください。
https://www.daidokids-academy.com


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