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ウィーン・モダン クリムト,シーレ 世紀末への道

2019.07.19
東京都美術館「クリムト展 ウィーンと日本 1900」に続いて、
新国立美術館「ウィーン・モダン クリムト,シーレ 世紀末への道」も鑑賞してきました。

現在改装のため閉館中のウィーンミュージアム収蔵品約400点が展示されているとのことで…とにかく展示数が多い!

すべてをじっくり観ていたわけではありませんが、鑑賞時間は2時間は優に超えていたと思います。
そして、今回の記事は展示数に比例してかなり長くなっております。

クリムト展を観た時に軽い気持ちで、
「クリムト関連はしごすれば~」
とか言ってましたがやめておいて良かった(笑)

展示作品は、マリア・テレジアの時代から20世紀初頭までの建築や工芸、絵画など多岐に渡っているため、
「クリムトとシーレが見られるぞ!わーい!」
というテンションで行くと、おやおや?となります。

ウィーン美術について少し知識を入れておくと鑑賞する時により理解が深まると思います。

私は勉強せず行ったので音声ガイドを使いつつ鑑賞しましたが、これもおすすめです。
(城田優さんの解説がとても聞きやすかった)
ボーナストラックとしてヨハン・シュトラウス2世「美しく青きドナウ」が入っており、聴きながら展示作品を見るとものすごく優雅な気持になるのでおすすめです。

また、余裕がある方は「黄金のアデーレ」を見てから鑑賞すると違った角度から展覧会が
楽しめるのではないでしょうか。

ナチスに奪われたクリムトが描いた伯母の肖像画返還を求め、国を訴えた女性の奇跡の実話いい映画なので興味がある方は、展示鑑賞前でも鑑賞後でもいいので観てください。

情報収集してから行っておいた方が良かったな。と思ったので鑑賞前にご参考になれば幸いです。

さてさて、展示ですが展示が始まってから万博まではどっぷりウィーンの世界を堪能。

ウィーンの街並みを再現したパネルや映像などをみて進んでいると万博がやってくる。
この風景の中に突如訪れる日本は衝撃的だったと思います。

立体的で豪華なものに慣れ親しんだウィーンの人々に日本文化はどんな影響を与えたのでしょうか。
それは、後のクリムト作品が物語っていますね。

◆クリムト作品について

クリムト「ウィーンの旧ブルク劇場」の構図がやっぱりセンスあるな、と。
なかなかこの構図で描こうとは思わないです(笑)


今展覧会は素描が多く展示されています。
裸婦の作品が多いのですが、イヤらしいと思う事なく、すんなりとみれてしまうのが不思議なところ。
素描は作家の一番ダイレクトな想いが現れるものだと私は考えていて、クリムトの作品の題材の一つに「エロス」があります。

彼が描いていたのは裸婦であるけど、描かれたのはモデル個人ではなく女性という存在であり、もっと大きな括りであり「生命」そのものを表現しようとしていたのではないかしら。

《エミーリエ・フレーゲの肖像》

主要作品が写真撮影できます。
撮影のためなのか少し上気味に展示されているのと下からのライトアップのため、ライトの反射で絵が見え難かったです。

写真を撮るのもいいのですが、やはり肉眼で観るのが最高です。(当たり前ですが…)

◆シーレとクリムト

シーレの作品はクリムトの影響が濃く映し出されおり、刻印のように記されたサインはジャポニスムの影響を受けたクリムトを感じさせ、面白く鑑賞しました。

二人はエロスをテーマとして作品に取り組んでいましたが同時に観るとシーレとクリムトの制作のアプローチ方法が違うことが読み取れます。

エロスや死を個人的な観点から作品に反映させたシーレ、一方クリムトは女性という媒体を用いて表現しています。

自画像を描くシーレと自画像を描かないクリムト。
そのスタイルに違いが表れていると思うのです。

同じテーマであるのに、全く違う観点から作品を作り上げる。
同時に鑑賞すると、そんな風にも見えてとても面白いですよね。

ウィーンの人々がジャポニスムを面白いと感じたように私もウィーンの文化は面白いと思いました。

工芸品や装飾品はその国の文化が色濃く出ているので、とても興味深く鑑賞して、まるでウィーンに行ったような気持ちにもなり…お腹いっぱいの展示でした。

思っていたよりも混雑していなかったので、ゆっくりじっくり鑑賞できますよ。

興味のある方はぜひ。

#絵画 #ウィーン#クリムト#シーレ


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