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メダカに餌をやりたい

この記事は UMITRON Advent Calendar 2021 16日目 の記事です。


こんにちは、UMITRON の山本です。
ソフトウェアエンジニアとして、主にスマート給餌機 UMITRON CELL の開発に携わっています。
この UMITRON CELL、手前味噌ですがなかなかスグレモノでして、下記のような特徴を備えています。

  • 海の上に配置されて自律的に稼働している

  • スマートフォンや PC から遠隔で操作ができる

  • カメラがついていてリアルタイムに魚の生育状態を閲覧できる

  • AI が魚の活性を判断して自律的に最適な給餌制御を行う

UMITRON CELL

今回、自宅用にこれを数段スケールダウンさせた給餌機めいたものを作る機会があったので、ご紹介します。

なぜ作るのか

私の自宅では、近くのペットショップでもらってきたメダカを飼育しています。正直、これまで私は全然飼育に関わっておらず、家族が世話をしていたのですが、産卵→孵化のようなサイクルを数回回していると聞き、仕事柄、俄然興味が湧いてきました。

かわいい

私がここまで無関心だった要因として、このメダカが飼育されている 生簀 水槽が、やや離れのような場所に置かれていた、という点があります。普段、目につかなかったもので…。日々、遠隔で真鯛に餌やりしている身としては、メダカさんにも遠隔で餌やりがしたくなります。
というわけで、自宅にある機材で遠隔給餌を実現しようと考えました。

何を作るのか

せっかくなので UMITRON CELL っぽいコンセプトを実現してみようということで、下記要件を満たせるようにします。

  • 遠隔で魚の活性が見られる

  • 遠隔で給餌操作ができる

  • スマートフォンから操作できる

どう作るのか


遠隔で魚の活性が見られる

Raspberry Pi Zero とカメラモジュールがあったので、それで撮影した動画を、自宅の Wi-Fi 経由で見ることにしました。具体的には、Raspberry Pi Zero 上で ffmpeg を走らせて、nginx で HLS 配信します。

遠隔で給餌操作ができる

これは、悩みました。うちで飼ってるメダカ群の一回の餌量って、こんな、超小さじ一杯らしいんですよね。餌が多すぎるとメダカの体力を奪いますし、無駄餌は水質の悪化を招きます。そんな少量の餌を落とす機構を、手軽に構築できないものか。

で、餌を眺めてて思ったんです。この餌、香辛料の類に似ているなと。
からの、あの「穴が空いた容器を振ったら少量排出される」のが、ちょうどいいんじゃないかと。
というわけで、スパイスボトル (って言うんですね、ああいう容器) に餌を入れて、サーボモータで振り回すことにしました。

輪ゴムで貪欲に固定していくスタイル

スマートフォンから操作ができる

スマートフォンのブラウザ上で閲覧できて、ボタンぽちぽちできれば事足りるだろうということで、雑な Web ページを作りました。
最終的に、下記のような UI になってます。
Raspberry Pi Zero 上にサーバを立てており、各ボタンを押すと、カメラやモーターを開始/停止するスクリプトを実行してくれます。

餌やり体験

完成図がこちらです。全部繋げただけです。
UMITRON CELL にあやかって、microcell と命名しました。

microcell

ソースコードは下記です。

早速メダカの水槽に設置しました。

テープで貪欲に固定していくスタイル

…が、とんでもない誤算がありまして。
メダカって、冬場は餌やりする必要無いんですね…。餌あげたとしても、全く食べに来ないので、活性云々なんて見ることも出来ないと。実際、12月現在、ほとんど餌あげてないらしい。
なぜ今これ作ったし。

デモのためだけにメダカさんに負担を強いるのは本意ではないので、水槽上部にラップフィルムを敷いておいて、餌が水中に落ちない形で、餌やりしてる感を出してみました。
絶妙に伝わりづらいですが、モニタリング開始→給餌開始 しています。


今から夏が待ち遠しいです。

感想

給餌機なんて呼ぶのがおこがましいほどのシンプルな構成ですが、最低限、思い描いていた給餌体験は実現できそうです。
自宅での利用ということで、電源をはじめとする自宅のインフラを活用できており、UMITRON CELL に比べれば、超イージーモードと言えます。

  • 雨風・海水に24時間さらされ続け

  • 洋上には Wi-Fi など飛んでおらず

  • 安定した電源供給源も無く

  • 何かトラブってもすぐに現地で修理、とはいかない

という困難に直面しながら、今日も UMITRON CELL は、洋上で稼働し続けています。これらの困難に、一緒に立ち向かってみませんか?


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