「コロナは、アーティストにとって真価を問われた時期」アルバムMリリース記念JASMINE × JAZEE MINOR特別インタビュー


R&BシンガーのJASMINEが、8月22日、人気ヒップホップアーティストのJAZEE MINORとコラボし、アルバム『M』をリリースした。

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この曲は、JASMINEが所属事務所を離れJAZEE MINORらとコラボしてリリースした新生JASMINEのデビュー曲とも言える作品だ。

人気ヒップホップアーティストと、JASMINEはいかにして出会い、この楽曲を完成させるに至ったのか。
 
「コロナが創作意欲を掻き立てた」というJASMINEの本音に迫ったインタビューをご覧いただこう。

◆焼肉屋で決起。新生JASMINEが誕生するまで

2人が知り合ったのは、互いがまだ10代のころまで遡る。

出会ったのは、とあるライブイベントだった。

「もともと、自分のほうがアーティストとしては先にデビューしていたんです。でも、その後にJASMINEが一気に人気をかっさらっていっちゃったんですよね。彼女は歌がうまいし、見た目もギャルで派手だし(笑)」(JAZEE MINOR)

徐々にJASMINEの露出が目立つようになり、JAZEE MINORはJASMINEに声をかけたという。

それから2人の長い付き合いがはじまった。

「当時はまだJASMINEがメジャーデビューする前で。だいたい13年前かな。CD-Rをライブハウスで配ってた時期で、すぐに何かコラボするという話にはならなかったけど、一緒にフェスに行ったり、ゆるい関係を保っていました」

その後、JASMINEはメジャーデビューを果たす。

彼女の活躍する姿をJAZEE MINORはずっと見守っていたという。

そんな2人が最初にコラボしたのは、2018年のレッドブルのタイアップ企画だった。

「ヒップホップとR&B。違う世界ではあるけどレッドブルの企画でブッキングしてもらって、そこからさらに仲良くなった気がします。JASMINEと俺でお互い仕事するの初めてだよねって話したのを覚えてる」(JAZEE MINOR)

「そうそう。もともとお互い共通の友達はいっぱいいたんだけど、一緒に音楽をつくることはなくて」(JASMINE)

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※「アタシの負け」より

では、レッドブルのタイアップ企画以来、仕事でコラボすることのなかった2人が、ここにきて急接近したのはなぜなのだろうか。

JAZEE MINORは、その意外なきっかけをこう振り返る。

「共通の飲み友達がいて。その仲いいメンツである日焼き肉に行ったんです。そこで、またみんなで音楽やりたいねという話になり、じゃあJASMINEを入れてみんなでレーベルを立ち上げようという話になったんです。ちょうど、タイミングがよかったんですよ」

実はこの時期、ちょうどJASMINEが所属事務所を退所し、フリーランスになった頃だった。

このタイミングこそが、2人を近づけた大きな理由だったのだ。

JASMINEはフリーランスになったばかりの頃の葛藤をこう振り返る。

「当時、私は自分のマネジメントとアーティスト活動の両立ができないことで悩んでたんです。前に所属していた事務所の楽曲は権利関係の理由で使えなかった。かといって、新曲をつくろうとすると、レコーディング費用はインディーズのほうが高い。ちょっとレコーディングするだけで100万円かかったり。そんな中で大きく状況が変わったのが、あの焼肉会だったんです」

仲間たちは、JASMINEが抱える悩みに真摯に向き合った。

そしてーー。

「今のレーベルの仲間が私の前の事務所に一緒に行ってくれて交渉してくれたんです。結果的に円満な形で楽曲を使えるようになりました。そこで気づいたんです。私、音楽つくるのは楽しいけど、権利とか交渉とか、そっち系は難しいから無理だなって(笑)」

こうして、新生JASMINEが誕生することとなった。

「昔の楽曲に加えて、新曲も入れつつ、JASMINE2.0っていうEPが出て。今回の『M』の曲は新しいレーベルになってからの一発目の曲になります。簡単に言えば、JASMINEをアップデートしたかんじかな」

それがタイトルに“2.0”がついてる所以でもある。

◆コロナで3月ライブが中止に。そこで火がついた

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※「Eyes On Me」より

こうして、自身の抱える悩みが解消されたことで一気に飛躍の時を迎えたJASMINE。

しかしーー。

「『JASMINE2.0』をリリースしてからの集大成に位置づけていたのが3月のツーマンライブでした。でも、それが流れちゃったんですよ」

今年3月、世界的に蔓延する新型コロナウイルスの脅威は日本でも急激に拡大。

結果、ツーマンライブはコロナで中止となった。

「雰囲気的にライブできなそうだよねって話し合って。でも、そこから火がついた。今何かできることはないかと話し合って、トラックを自分で手作りでしたんです。もう、コンセプトとか事前に決めずに突張したかんじですね」

自粛期間当時のJASMINEの姿を、JAZEEはこう振り返る。

「最初に『Eyes on me』という曲ができたんだけど、そこでかなり手応えがあったんです。そこでEPまるまる自分がビートを作る曲を一曲、もう一曲は違うプロデューサーを迎え入れて楽曲をつくることになりました」

そこからのJASMINEのスピードは凄まじかったという。

「ほかにやることがなくて。私、曲ばっかり作ってました。コロナは、アーティストにとって真価を問われる時期だったと思います。やばい、ライブ全部なくなったどうしようって思って動きました」

JAZEE曰く、一時期は、レーベル続けるのが無理なのではないかと懸念したという。

「ライブの収益がけっこうでかかったんですよね。でも、結果として諦めなかったんです。そこからどうしたかっていうと、別に新しいことをしたわけではなく、今までやってきたことを突き詰めたんです。アーティストとしてできることをぜんぶやるというか。ライブがないかわりに曲をいっぱい出そうという話になって。JASMINEは動画を編集できるようになったんだよね?」

なんと、楽曲だけではなく、編集技術もコロナ期間に覚えたというJASMINE。

「コロナ期間に集中力がアップしたんですよ。誤解を恐れずに言えば、コロナはすごくいい期間でした。私、遊ぶのも大好きなんで、遊びに誘われるとやっぱり思いっきり遊んじゃうんですよ。でも、コロナの時期って遊べないじゃないですか(笑)」

今回のインタビューで印象に残ったのは、JAZEEの「コロナがなかったらこの曲はできなかった」という発言だ。

そして、『M』に収録された曲は、コロナの時期だからこそしっくりとくるナンバーとなっている。

「みんなコロナの時期って多かれ少なかれ病んでたと思うんですよね。そしたら、病んでる人にハッピーな曲っていらないじゃないですか。だから、家でまったり聴きたい曲をつくりました」

JAZEEもコロナ禍の世間の空気を敏感に読み取っていた。

「これまでの曲のように、クラブで女の子つかまえて…とか、俺ってこんなにカネ使っていっぱい遊んでるぜ…?みたいな曲ってこの時期はまだ聞きたくないと思うんです。だって、みんなクラブにいかないし(笑)。やっぱり、今は自分たちがみんなに寄り添える曲がいいんじゃないかと思って楽曲を作りました」

そんな時代の気分を反映した2人の曲には、多くの人から共感の声が寄せられた。

「みんな拡散してくれて、反応もいい!って感想をたくさんもらいました。あと、曲のストーリーがつながってて、それがおもしろいっていう声が多いですね」(JASMINE)

JAZEEが『M』の4曲について解説する。

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「一曲目が『Talkin' About You』という曲で、付き合いたてのテンション高い気持ちを歌っています。ガールズトークみたいなイメージ。二曲目が『Eyes on me』って曲で、まさにその人しか見えないって曲で。三曲目で一気に調子が変わるんです。それが『アタシの負け』って曲で自分がダメになる曲。惚れまくっちゃうわけ、だからもう私の負けだよ〜!ってかんじで。一人の女性が出会って惚れるまでを歌ってるんですよね」

「でも、最後の『Erase』は別れちゃうんですよ。もう、次に進もうみたいなかんじで、なかったことにしようぜって曲ですね。たとえばLINEのデータを消すとか、ブロックするとかそういう段階になってる。『M』は4曲を通して、このストーリーを楽しんでほしいですね」

そう、ここまでの2人の話を聞けばわかるように、コロナがなければ今回の楽曲は完成しなかったのだ。

自粛期間中を経て、大きく進化したJASMINEとJAZEE MINORのあいだで生まれた化学反応。

その奇跡を改めて実感しながら『M』を聴き直してみてはいかがだろうか。


New EP『M』
https://linkco.re/1z5dyVf4

JASMINE - アタシの負け
https://youtu.be/r9tCtO7d2w0

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