語る追悼

ごく個人的な思い出をいくつか語る

●すごく怒られた話

普段の馬場さんの声はとにかくでかい
テレビ番組や解説者の時の倍くらい大きい
実はプロレスラーで声の大きい人ってあまりいない
80%聞き取れればいいほうで、今だから言うが三沢光晴さんなどは35%程度しか聞き取れなかった、すいません色々と聞き逃しました
何度も聞き返すわけにもいかなくて、、、
一度、スナックで１時間くらい一生懸命語られたことがあったけど、この時は大げさではなく一言も聞こえなかった
天龍さんの電話もほとんど聞き取れていない
なんか本当に申し訳ない

その点、馬場さんの声はでかいから、よく聞こえたはいいが、、、

あれは大腿骨骨折で引退かと言われていた入院中の一番イライラしていた時
まだ入社して半年ほどの僕が紛れ込んでしまったのは不穏な空気漂う西新宿は東京医大病院個室病室だった
馬場さん、元子さん、と3人だけ
ものすごい剣幕の怒声が響いた
「なんで、そんな奴を呼んだんや」普段の馬場さんはどういうわけか新潟、神奈川、東京、アメリカの居住地経験しかないのに関西弁である
多分、兵庫出身の元子さんをからかってきたものだろう

次のシリーズに呼ぶ外国人選手は、おそらくなんらかの事情、馬場さんが入院ということもあってかと思うが、元子さんマターで進んでいて気に入らない選手がいるようである
でも、僕はもう広報済み
「なんで、そんな奴を呼んだんや！その写真を見せてみい！」声による脳天唐竹割だった
僕はカバンからプレスリリース済みの宣材写真を出して馬場さんに渡した
その時、自分でもわかるくらい手が震えていた
僕が見た馬場さんの怒りMAX、ものすごい声に気圧された
リング上以上の迫力すごいぜ！さすがは世界をとった男だ
馬場さんと外国人選手の宣材写真というといろいろと思い出がある
アルティメット・ウオリアーをお勧め外人ですと渡したら、この人形の写真なんや？　え、人間かコレ
ビリー・ブラックの時も、本名がビリー・ホワイトで、本名がホワイトでリングネームがブラックってホンマか－－－？そんなヤツおるかーーー？すごいにらまれたりとか

あとで、元子さん、誰かが何かで同様の事態に陥ったかなんかの話で「三橋くんみたいに震えちゃって」とか失笑しながら話してて、いやいや誰のおかげでそうなったのよーーーと思ったもんである
確か元子さんとアンダーテイカーズだったような気がする

後日、馬場さんもあいつを怒鳴って悪いことをしたなと思ってくれたのか、お前のファションが気に食わないとか言ってこれでズボンを買い換えてこいと制服用だと一万円貰った
たしかに僕と馬場さんのファションセンスは違った
しかも、どうせお前のズボン程度は一万円で済む程度だろうとダメ押しされ、かなり心外であったが、
領収書とお釣りをお渡しした
馬場さんからお小遣い的なものをもらったのは後にも先にもこれだけである

△すごく自慢できる話

ある日、馬場さんに
「昨日、おれの夢に三橋が出てきてな、アホバカ新党という政党を立ち上げて、アホなことを一回やるたびにみんなでやった～やったーって万歳しているんや」と苦笑交じりに語られた
内容はどうあれ、天下のジャイアント馬場の夢に出た
ここまで来れて本望というしか言葉はなかった

その中の党員は誰がいてとか詳細に語ってくれたのだが、それは教えないｗ

とにかく、この外人選手招聘の一連の流れが心証を害していたように思う

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◎すごくしあわせな話

キャピトル東急のコーヒーショップで、馬場さん、仲田龍さんと3人でいることがしょっちゅうあった
なんだろう、取材終わりかな
全日本プロレスは創立25周年を目前にしており、完成した社員に配る記念の特製ロゴ入りピンバッジのサンプルを見てもらっていたように思う
「おい、3人だけでこのバッジのプラチナのを造ろうぜ」いたずらっ子のような顔で笑った
「いいですね！社長　作りましょう」龍さんも目を輝かして乗り気だった

あーあ、あん時、真にうけて作っちゃえば良かったなぁ
家宝になった
でも、この思い出だけですでに家宝だな

とにかく思い出すだけで全日本プロレスの一番しあわせな時間だったと思う