【カードワースリプレイ】天翔ける追求者 第13話 はらりと舞う忘れ雪
この記事は、夏将軍様作のシナリオ〈はらりと舞う忘れ雪〉のリプレイです。
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行方不明者の捜索依頼
近頃、交易都市リューンで少年少女が行方不明になる事件が多発しており、
自警団は組織的な誘拐事件と見なして、近郊の冒険者の宿に事件の調査依頼を出した。
報酬は、有益な情報を提供すれば200sp、行方不明者を発見したら1000sp。
天翔ける追求者の6人も自警団から協力を呼びかけられて、
行方不明者の捜索活動に加わることになった。
調査を始めてから3日経ち、
天翔ける追求者の6人は路地裏に行方不明者達がいることを突き止められた。
これから現場に赴き、本格的な捜索活動に乗り出すところだったが……。
オーリガ:なんだこの異様な光景は……!?
アルベルタ:うわー、カチンコチンだよ!
ジェラルド:なぜここだけ氷漬けになったんだ?
ディーター:さあな。ただ、誘拐犯が建物を氷漬けにしたとは考えにくい。
目的がどうあれ、悪目立ちしたくないだろうしさ。
ミシュリーヌ:誘拐犯の仕業でないとしたら、一体……?
フロラン:それはまだ判らないけど、この中には行方不明者がいるはずだから、彼らを助けることを優先しよう。
ディーター:そうだな。そうと決まれば中に入ってみようぜ。……それにしても寒いな。
氷漬けになった建物の探索
フロラン:中はもっと寒いね。
あまり長居したら僕達も凍えそうだよ。
オーリガ:下手したら捜索対象はもう……って可能性もあるんじゃねぇか?
とにかく調査は手早くやらねぇとな。
ここはエントランスホールか?
受付カウンターに……おい! 氷漬けになった奴がいるぞ!
ディーター:この建物を氷漬けにした犯人は、抵抗する暇を与えずに人を氷漬けにできるのか。
こんな芸当をこなせる奴って、どんだけ強いんだ?
ジェラルド:もしそんな奴と敵対することになったらマズいな。
フロラン:奴隷商会……それじゃあ、誘拐された子供達は……。
ミシュリーヌ:ここから連れ戻せる望みは薄いですね。
せめて、まだこの建物に残っている子供達だけでも家族に会わせられないでしょうか?
ディーター:そうしようと思ったら、氷漬けの状態から生還できるかどうかが問題だな。
アルベルタ:ディーターって火属性魔法が得意なんでしょ?
あんたの魔法でどうにかならないの?
ディーター:確かに火属性は俺の得意属性だけど、
氷漬けになった人間を魔法で解凍なんてやったことがないからうまくいく保証はないぞ。
……とにかく先に進もうぜ。
オーリガ:いかにも中に重要なもんが入っていそうな箱だな。
罠があるかもしれねぇから調べてみるぜ。
オーリガ:くっそー、寒すぎていつも以上にピッキングに時間がかかっちまう……おっ、開いたぞ! 中身は……。
ディーター:……これは、相手を確実に眠らせる魔法だな。
いかにも奴隷商人に需要がありそうな代物だ。とりあえずこれは俺が持っておくぜ。
オーリガ:入る前から想像はできていたけどよ、中にいた連中、みんな氷漬けになっちまってたな。
……それから、目の前の扉の向こう側に、ここを氷漬けにした元凶がいるかもしれねぇ。
ここで引き返して自警団に調査結果を報告すれば200sp入るぜ。
あたしらが全滅するリスクを冒してまで、この先に行く必要あるか?
ディーター:確かにそれは怖いな。
だけど俺達には安息のスクロールがある。もし元凶が俺達に襲い掛かってきたら、コレで返り討ちにしてやればいい。
アルベルタ:それ名案だね! じゃあそうしようよ!
オーリガ:あっ、おいガキんちょ! 勝手なことすんじゃねぇ!
ジェラルド:お待ちくださいお嬢! ここは引き上げて自警団に報告しましょう!
フロラン:待ってよアルベルタ! いくら安息のスクロールがあっても危険だよ!
仲間達の制止の声もむなしく、アルベルタは扉を開け放った。
氷漬けの元凶
ディーター:な、なんだコイツ? まだ子供じゃないかよ。
ディーター:くそっ、怯えきっていてまともに話し合えそうな状況じゃないな。
だけど俺にはコレ(安息のスクロール)がある。すぐに眠らせて無力化できれば……!
ディーター:よし! 作戦成功!
商会の探索中に見つけた安息のスクロールで、
氷漬けにされる前になんとか狐耳の少女を無力化することに成功した。
ジェラルド:無力化できたのはいいが、彼女の処遇はどうするんだ?
ミシュリーヌ:こんなに幼い子供をこのまま放置するわけにはいきませんよね。
オーリガ:放置はマズいよな。色々な意味で。
フロラン:この子、怯えきっていたよね。
もしかして奴隷商人に捕まって連れて来られたのかな?
ディーター:そうかもな。冷気を操れる亜獣人の子供なんて珍しいから、奴隷商人に目をつけられてしまったんだろうよ。
フロラン:それじゃあ、この子も奴隷商人の被害者ってことだよね。
だったら保護しなくちゃ。
オーリガ:フロラン、あんたまさか、このガキを運命の羅針盤亭に連れて帰る気か?
フロラン:そのつもりだよ。
(狐耳の少女を抱きかかえながら)もう大丈夫だからね。……えっと、君のことは何て呼べばいいかな?
天翔ける追求者は、狐耳の少女を保護して運命の羅針盤亭に連れて帰ることにした。
収支報告&仲間紹介
ミシュリーヌ:今回はリューン自警団からの行方不明者捜索依頼を請けて、
報酬として1000sp受け取りました。
収入:1000sp
所持金:4890sp
ミシュリーヌ:それからもう一つ報告することがあります。
行方不明者捜索のために探索した奴隷商会にて、狐耳の子供を保護して運命の羅針盤亭に連れて帰りました。
お名前はマツユキさん。妖狐と呼ばれる種族だそうです。
ディーター:マツユキが操る冷気の術は、俺が使える氷属性魔法とは全く別物の体系だと判った。
臆病な奴と親和性が高い氷属性の術なんて、今まで見たことがない。
これはなかなか興味深いデータが得られたな。
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