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【カードワースリプレイ】天翔ける追求者 第15話 墓守の苦悩

この記事はASK公式シナリオ〈墓守の苦悩〉リプレイです。
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墓守からの依頼

今朝も天翔ける追求者の6人は、
請ける依頼を吟味すべく宿の掲示板の前に集まっていた。
そんな彼らの目に留まった依頼は、
魔術師学連の本拠地があることで知られる都市――カルバチアの墓守からのものだった。

ジェラルド:墓地で起きた不可解な事件とは一体?
……どうやら親父さんも詳しいことはよく知らないらしい。
オーリガ:おまけに報酬についていくら払うか書いてねぇときた。
……親父、そういうことは依頼人からちゃんと聞いとけよ。
あたしらにとっちゃ、引き受けるかどうかの重要な判断基準なんだからよ。
ディーター:詳しいことを知りたきゃ、依頼人に直接会って確かめるしかなさそうだな。
ミシュリーヌ:交通費を出す余裕ならあります。どうしますか?
フロラン:行くだけ行ってみよう。
……他にめぼしい依頼がないし。

天翔ける追求者は、カルバチアの墓地を目指して出発した。

ガルシアと対面――依頼内容

天翔ける追求者は、ガルシアが住む市営墓地のそばにある館の扉をノックした。
ガルシアの館と市営墓地はカルバチアの中心部から離れており、
町はずれと言ってもいい場所に位置している。

フロラン:はい。運命の羅針盤亭から来た天翔ける追求者です。
依頼内容について、詳しいお話を伺ってもよろしいですか?
オーリガ:(……このガルシアってオッサン、図体がデカいくせに風采が上がらねぇ感じがするぜ)

ガルシアから聞かされた依頼内容を要約すると――
先祖代々管理を任されている市営墓地で、
2週間前から埋葬したはずの死体が一晩の間に消える事件が起きた。
死体が消失した墓には、掘り返したような痕跡が残っていたという。
ガルシアは当初、副葬品目当ての墓荒らしの仕業かと考えていたようだが、
金目の物が棺に納められていないはずの一般人の墓からも死体が消失していたので、その可能性は否定された。

ミシュリーヌ:何とも不可解な事件ですね。
墓荒らしの仕業でないとしたら、ゾンビ化して墓から這い出た可能性を考えましたが、ここは市営墓地。
故人の貴賤に関係なく、埋葬される前に教会で聖別されるはずです。
フロラン:埋葬される前に聖別されたら、ゾンビ化しないってこと?
ミシュリーヌ:はい。そう考えて差し支えありません。
フロラン:墓荒らしの仕業でもないし、ゾンビ化したわけでもない……。
うーん、ガルシアさんから聞いた話だけじゃ何とも言えないね。
とりあえず現場を調べてみよう。
何か、ガルシアさんが気づいていないだけで、手がかりが他にもあるかもしれないし。

一通りガルシアから話を聞き終えて、
天翔ける追求者はガルシアに案内されて墓地に入った。

墓地の調査

ガルシアに案内されながら墓地を見て回っている最中に、
白いローブを着た一団が墓地に入ってきた。

ディーター:かなり広い墓地だな。
いくつかの区画に分けられていて、きれいに整備されている。
……依頼人から聞けた情報によると、ここ2週間の間に埋葬された死体が消えるらしいな。
ちょうど今日の分の埋葬に来たって言うデュソー司教がいるし、何か気づいたことがないか訊いてみないか?
フロラン:訊くのはいいけど、埋葬を邪魔しないように注意しないとね。
ディーター:ああ、わかってる。

ディーターはデュソー司教から何か有益な情報を聞き出せないかと期待して、埋葬が一段落したところを見計らって話しかけてみたが、

ディーターの期待は外れ、デュソー司教率いる一団は墓地から去って行った。

ディーター:残念。
アルベルタ:こんなに広いと、どこに手がかりがあるかさっぱりだね。
ジェラルド:本当ですね。ここ2週間以内に埋葬された墓を探すのも一苦労しました。
オーリガ:うーん、消えた死体について、埋葬された時期以外の共通点は見当たらねぇな。
こうなったら、夜に墓を見張るしかなさそうだぜ。
フロラン:それじゃあ、夜になるまでガルシアさんの館で休憩させてもらおう。

天翔ける追求者は、日が暮れるまで休息をとろうとガルシアの館に戻った。


アルベルタ:何これ?
ミシュリーヌ:これは……不浄な存在を滅する力が込められたお守りですね。
どうして司教様は私達に……?
オーリガ:くれるって言うならありがたく貰っときゃいいだろ。
さっ、夜になるまで待つぞ。

夜の墓地

ジェラルド:あ、あれは……!
ミシュリーヌ:そんな……!? ここに埋葬されたご遺体はあらかじめ教会で聖別されたはずなのに……なのに……!?

オーリガ:ミシュリーヌはなんか混乱してやがるけど、
死体が消えた謎は……死体がゾンビ化して這い出てきたと判ったな。
フロラン:……ねぇ、ゾンビ達はみんな同じ方向に歩き出したよ。
あいつらを追ったら、死体をゾンビ化させた元凶を見つけられるかな?
ディーター:その可能性は充分あるだろうな。気づかれないように追いかけようぜ。

天翔ける追求者はゾンビの群れに気づかれないようにゆっくりと後を追う。
ゾンビの群れが行き着いた先は、町はずれの森にある洞窟だった。

追跡

天翔ける追求者が洞窟の入口に行き着いた時には、ゾンビの群れは洞窟内部に入った後だった。
周囲に動くものの気配は感じられない。

オーリガ:ゾンビども、洞窟に入って行ったな。
入口に見張りや罠の類は見当たらねぇ。
ディーター:だけどいざ入ったらゾンビどもと戦闘になるだろうな。
ジェラルド:それに元凶がいる可能性もある。しっかり態勢を整えてから入ろう。

意を決して洞窟に足を踏み入れようとしたその時、
突然、敵が襲い掛かってきた!

フロラン:早速敵襲だよ!
ジェラルド:数では俺達が勝っているが、油断するな!
ミシュリーヌ:相手は不浄な存在……それなら聖印で!

ミシュリーヌが聖印をかざすと、襲い掛かってきたゾンビの群れは消滅した。

ミシュリーヌ:これで、先に進めますね。
アルベルタ:聖印ってすごい! これがあればゾンビなんて怖くないね!
……でも、この洞窟すごく臭い!
さっさと元凶をやっつけて帰りたいよ。

入った時点で腐臭が鼻を突く洞窟は、奥に進むにつれて腐臭が強くなる。

ジェラルド:なんだこの扉?
オーリガ:明らかに人の手が加えられた痕跡があるな。
……錠前で施錠されてやがる。
……クソっ、仕組みが複雑すぎて、専用の鍵を見つけねぇと無理だ。
ディーター:オーリガのピッキング技術をもってしても開けられない扉か。
何か重要なものがあるに違いない。
……まだ奥に続いているな。ここを開けられる鍵があるかもしれないし、行こうぜ。

オーリガ:こいつぁひでぇ……グロすぎてガキんちょには見せられねぇ光景だ。
ジェラルド:お嬢、見てはなりません!(アルベルタの両目を覆いながら)
アルベルタ:わぁっ!? 何するのジェラルド! 前が見えないよ!
ジェラルド:(……なんとか、アレがお嬢の視野に入らないようにしなくては)

オーリガ:また扉があるな。
……鍵も罠もねぇな。だけど誰かがいる気配がするぜ。
フロラン:誰かって、元凶かな?
オーリガ:たぶんな。行くなら態勢を整えてから行くぞ。
入口での戦闘でミシュリーヌが負傷しちまったしよ。
フロラン:そうだね。僕が手当てするよ。

フロランがミシュリーヌに応急処置を施すのを見届けて、
オーリガはゆっくりと扉を開けた。

元凶との対峙

ディーター:どうやらこの男が事件の元凶みたいだな。
ミシュリーヌ:司教様が死霊術師と……一体どういう関係……??
ディーター:コイツと司教の関係を考えてる暇はないぞミシュリーヌ!
今はこのゾンビどもを退治することに専念するんだ!
ミシュリーヌ:は、はいっ!

聖印の力で、ゾンビ達はすべて消滅した。
その一部始終を目の当たりにした死霊術師の男は、
新たなゾンビを率いて自らも戦闘に加わった!

ジェラルド:ゾンビどもは司教から貰った聖印で片付けられるとが、
あの死霊術師の男の実力は未知数だ。
フロラン:どんな術を使ってくるかよくわからないから警戒しないとね。
ディーター:ゾンビはミシュリーヌに任せて、俺達は死霊術師に集中攻撃だ!

ディーター:な、なんだ? 何を仕掛けてきやがるつもりだ?

オーリガ:あの野郎、自らアンデッドになりやがったのか!?
ディーター:そうみたいだな。たぶん、今のアイツは物理的な攻撃が効かない。
俺達の攻め手が制限されるのは厄介だぜ。

ミシュリーヌ:聖印の力でほとんどのゾンビは消滅させましたが、
あの死霊術師はまだ抵抗する気です!

ディーター:くっそー、魔法を繰り出す隙がない!
……あっ、そうだ。いつぞやのダンジョンで手に入れた雷の石を使おう!

ディーター:手ごたえはあったが、あれ一発で奴を無力化できるほどの威力はなかったか。
……なんとか攻める隙を見つけないと!

ディーター:あの野郎! 再生能力持ちだと!?
中途半端なダメージを与えても勝てない。なんとか、集中攻撃を仕掛ける機会を作らないと……!

ミシュリーヌ:……ミラベルさんから教えていただいたこの術が、
役に立つ時が来ましたね。

フロラン:やったねミシュリーヌ! 君がいなかったらどうなっていたことか……。
オーリガ:あの男がやられて、ゾンビどもも動かなくなったな。
……んっ、机に手紙が置いてあんな。どれどれ……。

脅迫状

死霊術師マハガスを討伐後、部屋を物色していたオーリガは机に書きかけの手紙が置いてあることに気づいた。

オーリガ:あの野郎、人質を取ってまで誰かを脅してゾンビの調達に協力させていたのか。
とんでもねぇクズじゃねぇか。
んで、肝心の脅していた相手は誰だ……?

ミシュリーヌ:し、司教様が死霊術師に脅されて……!?
そんな……。
オーリガ:こんなことが世間に知られたら、司教様もタダじゃ済まされねぇだろうな。
……んっ、こんなところに鍵が。もしかしたら道中見つけた扉を開ける鍵かもしれねぇ。持って行こう。

オーリガは見つけた鍵を握りしめ、
施錠された部屋の前まで戻ってきた。

オーリガ:よし、この鍵で合ってたみてぇだ。


薄暗い部屋、その一角に青髪の少女が倒れていた。

フロラン:君、大丈夫? 
ミシュリーヌ:……まぁ、ひどくやつれていますね。
応急処置を施して、教会に連れて行きましょう。

天翔ける追求者は、少女を連れて洞窟から脱出した。
その足ですぐに教会に向かう。


教会には深夜にもかかわらず受付がいたので、
洞窟で起きた一部始終を説明した。
受付が少女のことを知っていたらしく、
天翔ける追求者と少女はすぐに教会に入れてもらえた。

アルベルタ:あの子、司教様の娘だったの!?

デュソー司教が語った事件の真相はこうだ。
事の発端は2週間前、司教のもとに脅迫状と粉末が入った袋が届いた。
脅迫状には、
司教の娘エレナを誘拐したことと、
娘を返してほしければ埋葬予定の死体に同梱した粉末を振りかけるようにとの指示が記されていたという。
そして司教は、粉末の正体が死体をゾンビ化させるゾンビパウダーだと知りつつも、どうすることもできずに誘拐犯の言いなりになっていた。


デュソー司教親子と別れたその後、
天翔ける追求者は依頼人のガルシアのもとに行き、彼に事件の真相を語った。
事件の元凶である死霊術師を退治したと。
報酬として1000sp受け取った。

収支報告

ミシュリーヌ:今回は魔導都市カルバチアにて、
市営墓地からご遺体が消える事件の謎を解明して報酬1000spを受け取りました。

収入:1000sp
現在の所持金:4290sp

ミシュリーヌ:きっと司教様はあの後……いえ、なんでもありません。

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