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【カードワースリプレイ】天翔ける追求者 第9話 美女が野獣

このシナリオは、Dr.タカミネ様制作のシナリオ〈美女が野獣〉のリプレイです。

配布場所はこちら↓ 寝る前サクっとカードワースvol.6に収録されています。

盗賊団退治の依頼

アルベルタとジェラルドが新しい技能を習得してから数日後、
天翔ける追求者は近隣の村や山道を通る行商人を襲う盗賊団の討伐依頼を引き受けた。

残るは統領と2人の子分。彼らが根城にしていた洞窟内部に追いつめた。
依頼達成まであと一歩の状況。

太った子分はもう勝ち目がないと判断したのか、統領に降伏を勧めてくる。
ところが統領は、「あんな駆け出しに捕まってなるもんか!」と強気な態度を崩さない。

統領は「いい気になるんじゃないよ。その鼻っ柱へし折ってやるよ!」
と捨て台詞を吐いて、子分達を連れて洞窟の奥へと逃げていった。
天翔ける追求者は、何か罠があるかもしれないと思いつつ、盗賊達を追いかけることに。

足音を手がかりに盗賊達を追いかけていくと、
テーブル替わりの木箱と食糧とワインが入った樽がある部屋に行き着いた。ところが肝心の盗賊達の姿が見えない。
オーリガが壁を調べてみると、隠し通路が見つかった。

オーリガ:この隠し通路は緊急脱出ルートかもしれねぇな。急ぐぞ!


アルベルタ:これで鬼ごっこはおしまいだね。
大人しく私達に捕まりなさい盗賊ども!
統領:ふん、素直に帰っていれば五体満足でいられたのにねぇ。

アルベルタが得物の片手剣を突きつけながら盗賊達に迫るが、
統領はなぜかまだ強気な態度を崩さない。
今度こそ行き止まりに追いつめられたのになぜ? 一体統領は何を企んでいる?
天翔ける追求者の6人は疑問を抱きつつ、盗賊達と睨み合う。

統領は物怖じした子分達を一喝し、不敵な笑みを浮かべながら隠し持っていた宝玉を天翔ける追求者の前に突き出した!

ディーター:な、なんだそのマジックアイテムは!?
……うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?


天翔ける追求者の6人が宝玉の力で動物の姿に変えられたその後、盗賊達は……

統領と太った子分が宝玉を巡ってもみ合いを始め、

宝玉が地面に落ちて割れてしまった。
すると割れた宝玉から白い煙が立ち込め、盗賊達を包み込む。

盗賊達が融合して一匹の獣になる光景を最後に、
天翔ける追求者の意識は闇の中へ消えていった。

仲間を捜して

ディーター:俺は盗賊団の統領が隠し持っていた宝玉の力で動物になったはず。
なのに何で元の姿に戻れたんだ? それにみんなはどこ行った?

ディーターは泉の周りを見回したが、動物になった仲間達の姿も、盗賊達の姿も見えない。
とにかく今は、仲間達を捜さないと。
ディーターは手始めに近辺を調べてみることにした。

泉の調査

ディーター:そういやここには台座があったな。
あの宝玉はもともとここに安置されていた者なのか?
……ん、何か文字が書いてある。どれどれ。

ディーター:はーん、なるほど。
あの宝玉は人間の性格に合った動物の姿に変異させるマジックアイテムなのか。
それに元に戻す方法もばっちり書いてある。泉の水を飲ませたらいんだな。
……おっ、変異した動物の特徴も書いてある。戦闘を想定するならメモしたほうがよさそうだな。

ディーター:まずはライオン。たぶん、ジェラルドだろうな。
俺一人で戦うのはさすがに無謀だな。

ディーター:次はトラ。たぶんアルベルタだろうな。すばしっこいし。
トラも俺一人で挑むのは無謀な相手だ。

ディーター:次はタヌキ。西方じゃ見かけないが、和国じゃメジャーな動物らしいな。
これは確か、ミシュリーヌだったな。他の動物に化けるって特徴が厄介そうだ。フロランを優先して戻すべきか?

ディーター:コアラ。こいつも西方じゃ馴染みがない動物だな。
すーっとした匂いの植物でおびき寄せられる。か。
そんなものが都合よくあるか疑問だが、戦闘になることを想定したら他の奴らより簡単に無力化できそうだな。よし、最初にフロランを元に戻そう。

ディーター:最後はオオカミ。これはオーリガだろうな。
フロランとミシュリーヌが揃わないうちは、出くわしたくないな。
よし、これで泉の調査は一段落したな。
早速捜しに行こう!

ねぐらの調査

泉を後にしたディーターは、動物になった仲間を捜して捕まえるのに役に立ちそうな物を盗賊団のねぐらから探すことにした。

ディーター:使えそうな物は、パンと干し肉とグレイルか。
パンと干し肉はターゲットをおびき寄せるのに使えそうだな。
それにグレイルを使えば、泉の水を入れて運べそうだ。早速汲んでこよう。
……ここに使えそうな物はもうないな。洞窟内部に何か使えそうなもんがありゃいいんだが。

ディーターはねぐらを後にして、仲間達の捜索活動を開始することにした。
最初の目標はコアラになったフロラン。
戦闘になっても一番簡単に無力化できそうな相手であり、回復の呪歌を歌える彼を味方につければパーティの生存率が跳ね上がるからだ。

フロラン(コアラ)

洞窟内部を調べて、役に立ちそうな物を色々と見つけてきた。


罠を作るのに使えそうなつるはしとロープ。
肉食動物をおびき寄せるのに使えそうな罠にかかったネズミ。
食べ物を炙るのに使えそうなランタン。
それから、スーッとする香りの野の花。

ディーター:この花をランタンの火で炙ったらフロランをおびき寄せられそうだな。
あとは、ロープと落とし穴で罠を仕掛けてやればいけそうだ。

ディーターはねぐらの近くにある行き止まりに落とし穴とロープの罠を仕掛け、ランタンの火で花を炙ってみた。
しばらく待っていると……

ディーターの狙い通り、コアラになったフロランがおびき寄せられた。
ディーターは物陰に隠れて様子を窺いながら、ロープの罠を作動させる。

ロープと落とし穴の二重トラップでコアラの動きを封じることに成功!
水を飲ませるなら今のうち!

ディーター:ぬぅ、グレイルから飲ませるのは難しいな。
仕方ない、泉まで運ぶか。コアラ程度の大きさなら俺でもなんとかいける。

ディーターはコアラを抱えて泉まで行き、泉にコアラを沈めた。

ディーター:おー、よかった。フロランが元に戻った!
フロラン:うーん、統領が変な宝玉を掲げた後の記憶があやふやだよ。
ねぇディーター、どうやって僕を元の姿に戻したの? それに他のみんなはどうなったの?
ディーター:他の奴らはまだ動物の姿のまんま洞窟内を彷徨っている。
元に戻す方法は、この泉の水を飲ませたらいい。
ミシュリーヌはタヌキに、アルベルタはトラに、ジェラルドはライオンに、オーリガはオオカミになった。
さて、次は誰を戻そうか? 回復要員がフロランだけじゃ、肉食動物相手に戦うには心許ない。タヌキになったミシュリーヌを狙うべきか?

ミシュリーヌ(タヌキ)

フロラン:ミシュリーヌはタヌキになったんだよね?
タヌキってどんな動物なの?
ディーター:小型の雑食動物らしいな。餌でおびき寄せるならワインを浸したパンがよさそうだ。
ちょうどねぐらにワインがあるからそれを使おうぜ。

フロランとディーターは、ねぐらで見つけたパンをワインに浸した。

ディーター:これでタヌキをピンポイントで狙える餌の準備ができた。
コアラになったお前を捕まえた場所に落とし穴とロープの罠を仕掛けたから、そいつを再利用しよう。

ディーターはフロランを連れて、罠を仕掛けた行き止まりに戻ってきた。
そして酒漬けパンを落とし穴の上に置き、物陰に隠れながら獲物が来るまで待つことに。
しばらく待っていると……

タヌキが酒漬けパンに気を取られている隙をついてロープの罠を作動させる。ところが……

タヌキは軽々と罠を躱し、どこかへ逃げていった。

ディーター:くっそー。そう簡単には捕まらないか。
罠が通用しないんじゃ、餌に気を取られた隙をついて襲うしかないな。
フロラン、別の行き止まりに行くぞ。そこでもう一度タヌキをおびき寄せる。
ついでにロープも持って行こう。
フロラン:それでタヌキを縛り上げるの?
ディーター:ああ。

2人は場所を移して、再びタヌキ捕縛に挑む。

ディーター:酒漬けパンよーし。あとはタヌキが来るのを待つだけだ。

行き止まりに酒漬けパンを置き、再びタヌキが来るまで物陰に隠れて待機するフロランとディーター。

ディーター:よし、タヌキが来たぞ!
逃げられる前に不意討ちだ!

フロランとディーターの不意討ちが決まり、タヌキはあっけなく無力化した。

フロラン:泉の水を飲ませたら元に戻るんだよね。早く連れて行こう。

ディーター:よし、フロランに続いてミシュリーヌも元通りだ!

2人はミシュリーヌに自分達がおかれている状況と、残る仲間達が変異した姿について説明した。

ミシュリーヌ:まだ動物の姿のまま彷徨っているのは、
アルベルタさんにジェラルドさんにオーリガさんですか。
お三方とも、肉食動物なのですね。
フロラン:そうなんだよ。次に誰を元に戻すにしても、苦戦しそうだね。

アルベルタ(ライオン)

次に誰を元に戻すべきか?
誰を狙っても無傷ではいられないだろうなと考えつつ、
ディーターはフロランとミシュリーヌを落とし穴がある行き止まりに連れて来た。
落とし穴を隠し、ロープの罠を仕掛ける。
さらに、ランタンの火で干し肉を炙る。

炙り干し肉の匂いに釣られてライオンが現れた。

ディーターは機を見計らってロープの罠を作動させる。

ディーター:よし、かかった!
フロラン:僕が水を飲ませるよ。
ディーター:引っかかれないように気をつけろよ。

フロラン:うーん、難しいなぁ。
ディーター:俺もコラらになったフロランを罠で身動きを封じて飲ませようとしたんだけど失敗したんだよな。
汲みに行ってる間に逃げられると面倒だし、ここで殴って無力化させるか!
ミシュリーヌ:相手は罠で身動きが制限されているとはいえ、大丈夫ですか?

ディーター:目を離した隙に逃げられたら面倒だ! やるぞ!

フロラン:ふぅ、なんとかなったね。
僕達3人がかりでもライオンを泉まで運ぶのは厳しいから、もう一度グレイルの水を飲ませてみるね。気絶している隙にやればできるかも。

フロランがライオンの口にグレイルの水を流し込む。すると……

フロラン:よかった! 今度はうまくいったよ!
ディーター:ライオンはアルベルタかよ。てっきり俺はジェラルドがライオンになったのかと。
アルベルタ:「アルベルタかよ」って何? 私がジェラルドより先に元に戻ったのがそんなに不満?
ディーター:いや、そういう意味じゃないんだ。単純に俺の推測が外れたってだけで。
……まぁ、何はともあれ前衛が増えて俺達が戦いやすくなったのはよかった。

ジェラルド(トラ)

動物に変異した仲間はあと2人。
どちらも肉食動物に変異したので、戦闘はそれなりに苦戦することが予想される。
再び炙り干し肉でおびき寄せ、罠で動きを封じる作戦でいくことに。

炙り干し肉に釣られて現れたのは……

ディーター:トラか。最初俺は、アルベルタがトラになったと思っていたんだが、残りがオオカミだからこっちがジェラルドか?
まぁ、今となっちゃどうでもいい。早く食いつけー。

ディーターはトラが炙り干し肉に食いついた瞬間を狙い、罠を作動させた!

ディーター:よし罠にかかったぞ!
このまま泉まで連れて行くぞ。

4人がかりでロープで身動きを封じられたトラを泉まで連れて行き、泉に沈める。

アルベルタ:ジェラルド! よかった。元に戻ったんだよ!
ジェラルド:お嬢……ご心配をおかけしました。お怪我はありませんか?
アルベルタ:私なら大丈夫だよ。
ジェラルド:……ん? オーリガがいないな。あいつはどこに行ったんだ?
フロラン:オーリガはまだ動物の姿のまま彷徨っているよ。
早くオーリガも元に戻さないと。

オーリガ(オオカミ)

残る仲間はオオカミになったオーリガのみ。
ディーターは今まで元に戻した仲間を連れて、落とし穴がある行き止まりまで戻ってきた。

ディーター:干し肉はアルベルタとジェラルドを元に戻すのに使っちまったから、このネズミでオオカミをおびき寄せるぞ。

ネズミにおびき寄せられたオオカミ。
獲物に食いついた隙をついて、ディーターが罠を作動させた。

ディーター:よーし、うまくいった!
フロラン:水の準備もできてるよ。逃げられる前に飲ませるね。

フロラン:うーん、難しいなぁ。
アルベルタ:それなら私達5人がかりで攻撃すればいいんだよ!
戦い慣れしたジェラルドもいるし余裕余裕!

数的有利とオオカミが罠で身動きを制限された状況が相まって、
たやすくオオカミを無力化させることに成功した。

フロラン:よし、もう一度飲ませてみるよ。

フロランはオオカミの口に泉の水を流し込んだ。すると……

フロラン:やったー。これでみんな元通りだね!
ディーター:オーリガ、俺達は宝玉の力で動物の姿に変えられちまったが、泉の水のおかげで元の姿に戻れたんだ。
オーリガ:それであたしが最後の1人ってわけか。
……ところで盗賊どもはどうなったんだ? 早くしねぇと逃げられちまうぞ。
ディーター:確かあいつら、俺達を動物に変異させた後に馬鹿デカいバケモノになったような。たぶんあの巨体じゃ入口から出るのは無理だろうから、まだ洞窟内にいるはずだ。
アルベルタ:じゃぁさっさとそのバケモノになった盗賊どもを見つけてやっつけちゃおうよ!
ディーター:いや待て。その前に作戦会議をしないか?
俺達も盗賊どもも、例の宝玉の力で姿が変異した。
そして元の姿に戻す方法も判っている。
ミシュリーヌ:泉の水を飲ませることですね。
ディーター:そうだ。だからな、どうにかしてあのバケモノに水を飲ませる方法があれば、簡単に勝てるんじゃないかって思うんだ。
オーリガ:だけどそんなうまいことバケモノに水を飲ませる方法なんてあんのか?
フロラン:グレイルに注いだ水を飲ませるのは、罠で身動きを制限した状態でも難しかったよ。動き回るバケモノに飲ませるなんて無理だと思うよ。
ディーター:うーん、残念ながら俺もうまい方法が思いつかないな。
仕方ない。このままバケモノを捜して退治しよう。

決着の時

仲間を全員元の姿に戻し、あとはバケモノになった盗賊どもを退治するのみとなった。
天翔ける追求者の6人はバケモノを捜して洞窟内を歩き回り、入口の前に行き着いた。

入口は瓦礫で塞がれ、その手前に捜していたバケモノが立ち塞がっている。

アルベルタ:………………。
ぷっ、ふふふ、あっははははははははは!
ジェラルド:お、お嬢?

オーリガ:おいガキんちょ、なんだよいきなり笑いだして。
アルベルタ:そりゃ、いくらかっこいい魔獣でもさ、
元の姿があれじゃ、おかしくて笑いが止まらないよ!
フロラン:あ、アルベルタ、そんな風に敵を挑発したらマズいよ。

ディーター:うわー、敵さん青筋が浮き出てるぞ。
オーリガ:呑気なこと言ってる場合じゃねぇぞ!
あのバケモノ、ガキんちょに煽られて殺意増し増しになっちまったじゃねぇか!
(これであたしらの誰かが死んだら、一生ガキんちょを怨むぞ……)

ディーター:敵は三つ頭のバケモノ。獅子頭が統領で、山羊頭と竜頭が子分だな。
さてどの頭を最初に潰すべきか? 敵の攻め手が判らないから悩むな。

ディーター:竜頭は怖気づいているようだが、炎のブレスを吐いてくるのか。臆病なくせに厄介な奴め。
最初に竜頭を倒しておかないと後がキツイ。

ディーター:……みんな、最初に竜頭を倒すぞ!

オーリガ:って言ったそばからやられるんじゃねぇよ!
ジェラルド:だが竜頭はあと一手で無力化できそうだ。次は獅子頭を狙おう。
フロラン:僕がディーターを回復するよ。みんなは攻撃に専念して!
アルベルタ:攻撃なら任せて!

アルベルタ:よーし! 竜頭をやっつけたよ!
次はどっちを倒せばいい?

アルベルタ:って、フロランがやられた!
ミシュリーヌ:すぐに回復します!
ディーター:フロランの回復はミシュリーヌに任せて、俺達は獅子頭、山羊頭の順番で攻めるぞ!

アルベルタ:獅子頭も倒せたよ!
ディーター:残るは山羊頭か。
ジェラルド:士気が低い相手とはいえ、最後まで油断せずにいくぞ!

オーリガ:ふん、ビビり野郎に攻める暇なんてやらねぇよ。これでとどめだ!

こうして、バケモノに変異した盗賊どもとの戦いに勝利した。

ジェラルド:うおっ、眩しい。
ディーター:ついさっきまで狭くて暗い洞窟の中にいたからか、
空気が美味いな。
フロラン:早く依頼人に会って盗賊団を退治したって報告しよう!
アルベルタ:そうだね。それじゃあ村まで競争だー!
オーリガ:おいガキんちょ! 勝手に先に行くな!
ジェラルド:お待ちくださいお嬢!

その後村に着いた6人は、事の顛末を報告して報酬500sp受け取った。

収支報告

ミシュリーヌ:今回の依頼で入った収入は500sp。
これで所持金が2490spになりました。
私もそろそろ何か新しい法術を習得したいと考えていますが、
資金に余裕を持たせたいのでもう1件依頼を請けてからにします。


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