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【機材レビュー】Nikon D3

機材レビュー第6弾、今回はニコンのFXフラッグシップ初号機であるNikon D3についてレビューを行っていきます。
今更D3?画質は?高感度大丈夫?みたいな疑問を持ちながら読んでいただけると幸いです。よろしくお願いします。

投入経緯

それはとあるハードオフで偶然出会った「D1X」がすべてのはじまりでした。

こちらに当時の様子を書いていますが、こちらは結局CCD不良のため購入を見送らざるを得ませんでした。しかしです。一桁機には触ったものを虜にする謎の「魔性」というべきか、とにかく私は見事に一桁機に憑りつかれてしまったわけです。

ちょうど、D500のサブ機として高速連写できる機体もあったらいいな、なんて思っていた頃でした。そんなわけで気づいたら一桁機を求めてヤフオクを漁っている自分がいました。

D1シリーズは在庫が少なく、D2Hは電源が突然死する個体があるとのことで避け、D4シリーズは予算に合わず見送り。そしてD3Sのオークションで競り負けたのをいいことにD3を即決価格で購入。45000円でした。

ショット数は29000回。それは当たりでしたが、バッテリー劣化があったことは説明書きに書かれていませんでした。今後よっぽどのことがない限り、ヤフオクは使わないつもりです。

メリット

測距点移動が速い

十字キーを押して51点のAF測距点を移動させるわけですが、これが速い。
上下左右どれかを押しっぱなしにして測距点を動かしたときのスピードは爆速といっていいです。D500でセレクターを連打した時とほぼ同じスピードが押しっぱなしで得られます。
なお、これは現行のD6まで受け継がれている、一桁機だけの特権のようです。

意外と高感度が伸びる

D3は15年前の機種ということで、高感度にははじめから期待していなかったわけですが、さすがフルサイズ。常用感度でアウトプットするサイズがよっぽど大きくなければ割と鑑賞できるレベルです。個人的にはISO3200くらいまでが実用ラインかと。

Ai-S 80-200mm F4 ISO5000


全体的な重量バランスが良い

重量が2kgを超えるような大きく重いレンズとの組み合わせも、機体の大きさにより手持ち撮影はやりやすいです。グリップの握り具合もD500には叶わないものの必要十分。

シャッター音が良い

高速連写した時の音は「シュババババ」といった感じで大きな音で、手に響くようなシャッター音をします。「撃つ」ような間隔でとても気持ちいいです。個人的なシャッター音の心地よさは、D300>D3>>D500だと思ってます。

デメリット

縦位置にセレクターが搭載されていない

最大のデメリットはここです。
縦位置で測距点を移動したいときは、わざわざ右手を伸ばして十字キーを移動させる必要があります。何が不便かというと、右手を離して伸ばす(この時点で機体の重量はすべて左手にのしかかる)→セレクターを動かす→右手を元の位置(グリップ)に戻す、という操作が必要であり、右手を伸ばす動作が面倒なのはもちろん、右手を離した時点で左手に重量がのしかかることは大きな危険性も伴います。
それは、前述した「全体的な重量バランス」が崩れ、相当大きなレンズによっては、最悪マウント部からポッキリ折れる原因にもなるということです。三脚に据えればほぼ関係ない話ではありますが、超望遠レンズを手持ち撮影する人も少なからずいるわけで。
つまり、測距点を細かく移動させるような撮影は不向きなのです。

D4ではここが改善され、縦位置でも右手の移動を最小限に抑えながら測距点を移動できるようになりました。

拡大縮小の操作性

画像を見る際、普及機にある拡大・縮小のボタンは、統合されて拡大縮小ボタンを押しながらメインダイヤルを回すことで拡大縮小ができるといった操作性となっています。
しかしこれが扱いづらい。私は両手を使わなければならない操作ほど面倒なものはないと考えています。理由は縦位置セレクター非搭載の理由と同様、手持ち撮影時に危険性を伴うためです。しかもボディ側のボタン配置にはまだ一つ余裕がある状態。なぜ下位のD300と同じ配置にしなかったのか…
ここもD4で改善されています。

上から二番目のボタンを押しながら、メインダイヤルを回して拡大縮小。
どうしてこうなった…


端の測距点が見えにくい

ファインダーを覗いたときに、少しでも目の位置がファインダーの中央でないと端の測距点(下写真の赤い四角)が見えなくなるときがあります。ファインダー視野率100%でこの問題を抱えているのはいかがなものかと思います。

少しでも目の位置をずらすと、測距点が見えなくなってしまう
目を中央に合わせることによってようやく端の測距点が見える


緑被りがある(要検証)

発色はたまーに緑被りの傾向があります。
特に背景が緑色だと顕著な傾向にあると思います。この問題は後継のD4でよく議論されてましたが、D3でもあるみたいです。とりあえずホワイトバランスはマゼンタに1段振って対処しています。

ホワイトバランスをいじらずにRAW現像したもの

クリーニングミラーアップは電池残量制限あり(2023/3/14追記)

センサークリーニング、最近の機種だとZ50なんかも非搭載らしいですね。当機種も非搭載となっています。ゴミが入った時は少々面倒です。
ということでクリーニングミラーアップで手動で清掃するしかないわけですが、これが電池残量50%以上でないと選択できない仕様となっています。電池残量を十分に確保しないとミラーアップ中に電池が切れて危険だということなんでしょうけど、50%は厳しすぎませんかね…

余談ですが、某P社の機種でSSWF非搭載だから買いません!みたいな投稿をよく見かけますが、そもそもクリーニング非搭載の機種もあることを知ってから発言してほしいものです。

その他

1200万画素

当機種はデジカメの高画素化が進む途上の時期(?)に出ました。
そのため画素数は1200万画素。今からすると少なそうにも見えます。
が、他の方が述べられているように画質は画素数だけでは決まらないというのがキモ。フルサイズセンサー搭載ということもあり画素数だけではわからないヌケの良さがあります。
もちろん、トリミングした時の画質低下は免れませんが…

故障覚悟の上で使うこと

当機種は既に修理期間が終了しております。そのため故障しても修理はできず、また新しくD3を買い直すか、別の機種を選ぶかという選択肢が求められます。
これはオールドデジカメを使ううえでの共通事項ですが、ある程度神経質な方は使わない方が良いのではないかと感じます。

おわりに:2022年にD3は使えるのか?

…とまあ、かなりデメリットが悪目立ちしてしまったD3のレビューでした。
さて、最後にこの機種が2022年に使えるのかという質問に対する答えですが、「使えるっちゃ使える」が現在の回答です。
デメリットで書いた通り、縦位置セレクター非搭載や測距点のブラインド問題は人によっては大きなデメリットでしょう。そのあたりは「未成熟な部分」と割り切って、気になるならD4以降を使った方がいいです。(そう考えるとD4s、D5あたりは成熟した機種ですね)
「使える」面、それを一言で言えば「画質」でしょう。日没直後くらいまでなら最低限戦える能力はありますし、トリミングを伴わなければA3印刷にも耐えます。
あとは価格でしょうか。冒頭で述べた通り私は45000円で購入できました。古いとはいえ、フラッグシップ機をこの値段で体験できるのは大きいと思います。

以上、D3のレビューでした。

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