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びし籠をつくる実験

いつも(というほどの頻度ではありませんが)行っている走水は、冬の間はノリの収穫のためのノリ棚が入ります。そうすると縦横にワイヤーが張られ、そこに道具が引っ掛かってロストすることが多くなります。魚探に安定して一定の深さに魚の影が見えていると勘違いすることも多かったのですが、安定しているのはワイヤーだと今ではわかります。ワイヤーの張られる範囲は広いので、様子を見ながら釣りをします。それでもあまりにも道具をロストするので、自作することとしました。今回作成したのはびし籠です。オキアミを入れて振ると、オキアミがぽろぽろとこぼれます。ぽろぽろこぼれるかぼろぼろこぼれるかはやってみるしかありません。市販品を参考に、自分の味付けを加えて作成してみることとしました。

目的と試験方法

目的:ボート釣り用のびし籠を作る
実験環境: 3Dプリンタ PrusaMini+
      ノズル:0.6mm
      交換時期:2022年9月24日
      フィラメント:Reprapper PETG クリア

最終形に使用したフィラメントはこちら。現在クリアタイプは異様に高くなっていますので、ホワイトのリンクを張り付けました。

本当はKaikaノズル一本に絞りたいところですが、0.4mmまでしかないこと、他の実験のために0.6mmノズルに変更してしまっていたので、今回はこちらのノズルを使用しています。
Sharpとありますが、どのように形状が違うのかわかりません。

接着剤はこちら。YoyomakerさんのYoutubeライブがない時に、Zoomミーティングを開催した時にお仲間から教えていただきました。最少注文数が6なので要注意です。


Fusion360でのデザインと試作

特徴は、錘を内部に収容し、その部分を交換することで錘の重さを変えられるようにすること。そうすることで、荷物を減らすことができます。また、デザインにあたって、ビシが海中に沈むスピードを上げるために、穴を垂直にあけ、また、下部の角度を鋭角にしました。

今回の試作の過程は以下の通り。(試作の意味)

  1.  オキアミを入れる部分がぱかっと開けられるようにする

  2.  オキアミを入れる部分と錘が入っている部分をカチッと止められるようにする 

  3.  穴の個数を調整するための蓋の作成


こちらは初めに作成した、ぱかっと開くタイプの部品です。

本体とパカっと開く部分を組み合わせるとこんな感じ

ひらいたところはこんな感じ。(フィラメントを軸にするようにしましたが、実は設計不良があってこのようには動きませんでした)

錘を入れた部分はねじ式で取り付けます。錘を入れた後で接着剤でくっつけるようにしました。

錘を入れる部分はこんな感じ。穴をあけることで空気がたまって浮力が発生しないようにしています。

2つ目はこんな感じ。本体と錘を入れる部分をかみ合わせるようにしました。

3つ目はこんな感じ。しずくの形状はサポートをつけないようにする工夫です。1作目と方向が異なるのは、2作目と印刷方向が異なるためです。

なぜプリントの向きを変更したかというと、オキアミをスコップみたいに救えるようにしたかったからです。


本体と咬み合わせる部分。水中で外れないようにキーをつけてあります。

しかしながら、スコップ部分が斜めになっているために外れてしまうことに。よって、スコップ構造とすることはあきらめました。こういうことはプリントしなくても想定できるようになりたいです。

4作目は両側にキーをつけるようにしました。錘を入れる部分はこんな感じ。錘を入れた後でプレートと本体を接着剤で固定します。

ここでもう一つの問題に気が付きました。実際に使用するときには上部が引っ張り上げられますのでこのように隙間が開きます。(接合部)
なのでかみ合わせ部分をもう少し上にあげるようにしました。

そうして出来上がった5作目がこちら。

天秤とつなぐために上部に穴をあけてあります。穴の裏側は0.2mmの壁を作ってあり、サポートを付かないようにしてあります。スイベルとはこの穴を通したTPEフィラメントで結びます。

穴をふさぐためのものはTPUでプリントしました。こちらは1作目で穴と同形状にしてあります。よく考えたら丸くてもオキアミが出ることはありませんので形状を変更しました。

こちらが本体に取り付けたところ。

実際に使用する前の一枚がこちらです。すでに錘は内部に装着し、接着剤でつけてあります。見にくいですが、黒いTPEでスイベルに接続し、それを天秤につないであります。

実際に使用してわかったこと

  1. 穴は6つ空いていますが、最終的に4つふさぎました。なので穴は少なくしてもよさそうです。

  2. 天秤をつける本体側でバケツの中のオキアミを救おうとすると、天秤がバケツと干渉します。なので、しゃもじなどですくって入れることとなりました。オキアミを救う側はビシの上側ではなく、下側とする必要があります。

  3. 同行した夫(実際には私が同行者ですが)は、錘をかちっとはめることなく釣りを始めてしまい、錘をロスとしました。錘部分と本体部分もTPEなどで結びつける機構にしたほうがよさそうです。

  4. 錘部分に穴があるために、オキアミのかすや水中のカスが内部に入り込みました。夫曰く、途中の蓋は不要。下側の穴から通したTPEで錘を結びつけ、そのまま入れておけばよいとのことでした。そうすれば掃除も簡単ですし、構造的にもシンプルになります。(=錘を変えられる仕組みは不要ということですね)

以上の反省を生かして改良したいと思います。

ちなみに、釣果は振るいませんでした。
大型のものはできました。小型のものも夫のリクエストで作成しました。中型のものは、なぜだかFusion360でうまく加工できないところがあって止まっています。右の角は面取りできますが、左の角は面取りできません。

なので、こんな感じになってしまいます。

とりあえず、今のバージョン(大、小)をPrintablesにアップしました。

釣り好きの方がいらっしゃればよろしければフィードバックいただけると嬉しいです!




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