ご馳走と被写体とピアス
ご馳走っていう言葉は、あまりに美味しいものを食べたとき誰かに食べさせたくて心が走るから、この漢字があてられたらしい。
写真は、東京一美味しいと思っているお蕎麦屋さんのお通しで出てきた栗。和菓子かなってくらい甘かった。
27頃から、写真家さんに声をかけてもらい被写体になる機会がちょこちょこあった。撮影は、撮る人とふたりで旅に出るのと似ている。家にお招きするならもてなす用意ができるけど、身一つでカメラの前に立つ時間は寄る方ない。頼りない自分を両腕で抱きしめ、二の腕をさすりながら進む感覚。
そうかと思うと、両手を広げたくなる瞬間がくる。心の淵に指をかけられる感じ。撮られる行為は何かを奪われ、消費される構図で語られがちですが、私の場合は逆でした。
ピアスを開けた。
友だちに「どういう心境の変化?」と聞かれたので、「大人グレ」と答えておいた。
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