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札幌冬季五輪は白紙撤回を

10/7付「しんぶん赤旗/地方ページ」掲載記事

 札幌冬季五輪の開催に合わせ、札幌駅周辺の乱開発を押し進め、北海道新幹線の札幌延伸工事を強行。在来線は廃線し、有害残土など負担を地方に押し付け、切り捨てる状況をうやむやにすることは許されません。全道的な議論がを進め誘致を白紙撤回させることこそ必要な時です。

 札幌市は、理解促進のためのオープンハウスやシンポジウムなどを行ってきました。8月にチカホで行われた〝市民対話事業〟のオープンハウスには「断固反対。中抜き中抜きでムダ使いするより選手育成を」「生活に困っている人を助けてからにしてください」「反対です。他にやることあるでしょう」など多数の反対意見がボードに貼られました。

◆札幌都心部の乱開発
 札幌冬季五輪開催に合わせようと、札幌駅周辺の乱開発が急速に推し進められています。その1つに2019年の札幌市長選挙時に争点となった、「都心アクセス道路」があります。当初1000億円になると反対の声が上がっていましたが、現在は、地下構造トンネル案と資材高騰により、1200億円、さらに膨らむとみられています。
 地下構造トンネル案は、北海道開発局が作成した豊平川氾濫シミュレーションで、想定しうる最大規模の降雨量(1時間で406㎜)で豊平川の堤防が決壊した場合、氾濫した濁流は100分後に創成トンネルに到達するといいます。都心アクセス道路は創成トンネルにつながる予定で、通行する車は水没することになります。異常気象と豪雨災害が多発する時代に、地下構造の道路建設は逆行しています。車を持つ一部の人しか使わないたった8分の時間短縮のために、多額の費用を投じる事業。工事期間中は大渋滞も避けられません。

 札幌駅周辺の景観は一変。昨年9月末で札幌駅直結の大型商業施設〝パセオ〟が31年の歴史に幕を閉じ、今年の8月末には、〝エスタ〟が閉店しました。
 札幌冬季オリ・パラ開催に向け、北海道新幹線を札幌まで延伸し、新幹線駅直結で道内一の高さ(地上43階、高さ245㍍)の複合ビルの完成をめざす大規模工事が進んでいます。

◆新幹線札幌延伸工事
 北海道新幹線の札幌延伸工事では、7割以上がトンネルとなる予定で掘削工事が進められていますが、重金属やヒ素など人体にとって有害な土が掘り出され、当初から問題となってきました。残土置き場はもちろん、残土を積んだトラックが走行する地域では、粉塵(ふんじん)被害の懸念もあると、農家や学校、病院や近隣住民から反対の声があるにも関わらず強行に搬入。既成事実化するやり方で進められています。
 一方で、新幹線延伸を進めるにあたり、地域住民の交通手段であるローカル線(在来線)の廃線が各地で進められています。
 札幌冬季五輪のために、札幌の都心部のみが栄える乱開発が進み、負担は地方の住民に押し付け地域住民を切り捨てる北海道でよいのか。札幌五輪招致と一体の事業として進められている問題を広い視野で捉え、北海道全体の問題として論じる必要があります。

 日本共産党札幌市議団は、当初から「富裕層のホテルがそびえ立ち、オリンピックが開催されたとして、肝心の市民の暮らしは良くなっているのか。新幹線に乗って家族で旅行ができるような家計になっているのか。オリンピックのチケットを購入して、家族で観戦できるような所得になっているのか。そうでなければ、誰のための事業なのか」と議会で追及を続けてきました。
 先の統一地方選挙では、〝いのち☆くらしが一番の会〟から「憲法を生かしたまちづくり」や「ふくし・くらし・教育の充実」そして何より「五輪招致反対」を掲げ立候補した木幡秀男市長候補とともに市長選をたたかい、一貫した主張で論戦をリードし世論を広げてきました。

◆五輪は白紙に生活優先に
日本共産党は、札幌冬季五輪をはじめ、一連の事業は、街のリニューアルを図るというあからさまな大手ゼネコン、デベロッパーへの利益誘導であるとし、コロナ禍で疲弊、長く続く出口の見えない物価高騰で苦しむ住民生活を支えることや、いのちや暮らし、福祉や教育を最優先で行うことこそが〝対案〟であると、白紙撤回を求めています。

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