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あなたのでんぱ組.incはどこから

2017年12月30日、大阪城ホール
ぺろりんが出るかもしれない

そんな噂があり、参戦したのがきっかけ

当時ぺろりんが所属していたベボガ!からでんぱ組.incというのは、それはもう全然違うレベルだった

自分がぺろりんに出会ったきっかけから、紐解いていく


【アイドルヲタクの始まり】

もともとぼくは2011年の夏にももいろクローバーZをきっかけにアイドルヲタクになった

当時のももクロは、極楽門からさいたまスーパーアリーナ、西武ドームや武道館そして国立競技場とどんどん規模が大きくなっていった

そんな彼女らにも下積み時代があり、代々木公園での路上ライブから始まり、ETC1000円の時代に車で全国ツアーをしていた話はいろいろなメディアで扱われるように有名である

そんな中、とあるインタビューでリーダーの百田夏菜子さんは、今までで1番印象的だったイベントを聞かれて、下積み時代の路上ライブでもなく、夢が叶った国立競技場でのライブでもなく、「ららぽーと新三郷でのリリースイベント」だと答えていた

当時は、地下アイドルクラスの規模感だったが、MUSIC JAPANという音楽番組で「いくぜ!怪盗少女」を披露して話題になった
このリリイベはその直後のイベントで、今までに観たことないくらいの観客がいたらしい

これはももクロにも時代が来たんじゃないかと思ったが、喜んだのも束の間で、次のイベントでは元の動員に戻ってしまった

世の中そんなに甘くないと、開き直って、また一から地道に努力を続けていったという話だった

地下アイドルの時代に過ごした時間は、地上のアイドルにとっても濃密でかけがえのないものなのだ

【ぺろりんとの出会い】
そんなこんなでぺろりんとの出会いになるが、ぺろりんを知ったのは、2015年8月1日静岡遠征の帰り道、Twitterに流れてきたアイドルヲタクあるあるイラストがきっかけだった

アイドルとヲタクの日常を描いたあるある系イラスト。探せば探すほど出てきて、どれも共感できるものばかり

その中でも目を引いたのは、アイドルの視点
基本的に辛辣だけど、ファンを思う気持ちが愛に溢れていて、自分の応援するアイドルもこんな風にファンの人を大事に大切に思ってくれてたらいいなと思って見ていた

【初めての地下アイドル】
調べれば調べるほど、自分の知らなかったアイドル界の情報が出てくる

特典会(チェキ会)でアイドルと話せる、アイドルからの認知をめぐる駆け引き、グループ内推し変は決して許されない鉄の掟

そもそも特典会をほとんどしないももいろクローバーZさんしか知らないぼくには、知ることのない世界だった

ももクロにもこんな時代があったのか
そうだとしたらもっと知りたい

路上から始まり、さいたまスーパーアリーナまで行くまでの語られることのない空白の期間を
追体験したいと思ったのだ

ライブの情報を調べると、たくさん出てくる
当時は、平日でも毎日対バンに出ていて、土日は3現場回しが当たり前

こんなに毎日ライブがあるわけないだろう
自分は騙されているのではないか
そして、疑心暗鬼な自分を惹きつけるめちゃくちゃなイベントを見つける

2015年8月5日
「100℃ 夏祭りスペシャル1部/2部」

会場: 秋葉原moe farre 1部 無料1D別
(たこ焼きやウインナー無料)

出演者:ベボガ公開リハーサル


当のぺろりん のブログでも

『あしたのライブはたこパーきてね

なんか1部はベボガの公開リハみたい』

といった具合である

【地下アイドルのヲタク】
ライブへの参加の仕方はぺろりんがブログにまとめてくれていた

対バンのチケットを予約するには、まずメンバーにリプをする(え?なにそれ)
会場で入場時にスタッフにその旨を伝える

...え、...チケットはないの?
メンバーが管理してるの?
予約したけど行けなくなったらどうするの?
整理番号とかないの?

法と秩序からかけ離れた、アイドルとヲタクの関係性によって成り立つアンダーグラウンドの世界だった

詳細は割愛するが、なんやかんやで初めてのライブ、前の方で観るのは気が引けるので後ろの方で観ていた

YouTubeのライブ動画で映っているヲタクがそのままの位置に存在している

ライブ中にスケッチブックを取り出してコールを先導するヲタク、なんでこの人は前を向かないんだろうと思っていた

ライブが終わった瞬間、「ありがとうございました!」と周りのヲタクに感謝するヲタク
まるで自分のライブかのようだった

よくわからんサークルを作って回り出すヲタク
クラップの代わりに床を叩くヲタク
推しのパートで最前に突っ込むヲタク

とにかくヲタクが目立つ


Youtubeに上がっている動画
全く同じ人が全く同じ場所にいて全く同じ動きをしていた



勝利の女神という曲で、いよいよぺろりんの大サビである
黄色のペンライトを固く握りしめる
すると突然、後ろから知らないヲタクに押される

「前で見なよ!!」驚いた
大きなお世話である

後で知ったのだが、これは推しのパートを推しのヲタクが前で見られるようにする優しい配慮だったらしい

とはいえ、近い距離でライブは観れるし、みんなで一体感のあるコールをするのは楽しかった

【地下アイドルの特典会】
ライブ終了、そして終演後物販
会場が慌ただしくなる
なぜ、ライブ終わったのに人が増えるんだ

ステージや客席、通路などを使って複数のグループが特典会を始める
対バンの中でも人気のないグループは通路だったり、人気のあるグループはステージを使わせてもらえたりとなんとなく分けられている

当時のベースボールガールズは、この対バンの中ではトリを務める規模ではあったのでステージ上で特典会だった

最初からどこに並べばいいのかわからない状態だった

ぺろ列はそこだよ
ボサッと突っ立ってんじゃねえよと言わんばかりの怒声を上げるヲタク

本当に怖かった
おまいつだった古参なので、後に会うことになるのだが、結局最後まで話すことはなかった

新規に優しいヲタクになろうと決心した瞬間だった

入場特典の写メ
その場で1枚自撮りをしてくれる
当時スマホを持っていなかったぼくはiPadを渡した
ぺろりんが自撮りをしてくれたが、iPadで写真を撮りなれていないためか、写りが悪いと言ってもう一枚撮りだす
ルール遵守とは無縁の世界だった

チェキを撮って名前を聞かれる
想定外だった
コンプライアンス意識から本名は避けなければならない
そう思ったぼくは名字を少し伸ばしてごまかした
それが、やーないである

名前の由来、ペンライト振ってくれてありがとう、普段どこの現場いってるの?

当たり障りのない会話

ただ「また来てね」という約束は、とても強力な約束だった。

【ド地下アイドルから半地下アイドルへ】
月日は流れ、2016年9月11日

たまたま足を運んだタワーレコード新宿店でベボガ!(虹のコンキスタドール黄組)がリリイベをしていたことをきっかけに参戦

その後、ベボガ!(虹のコンキスタドール黄組)のヲタクとして、毎回イベントに参戦するおまいつとなっていた

この頃には、ベースボールガールズは活動を休止し、pixivに所属してベボガ!(虹のコンキスタドール黄組)として活動をしていた

そして、事務所が変わったことで少しづつグループの規模が大きくなっていき、でんぱ組との交流も増えてきた

アイドルとヲタク大研究読本では、でんぱ組メンバーへのインタビューやNHKホール、おはスタの密着取材

ファミリーマートでリポビタンDをたくさん買うともらえるでんぱ組のクリアファイル
これをぺろりんがデザインした

研究室の冷蔵庫をリポビタンDだらけにして、
教授から心配された

でんぱ組関連の思い出も増えてきた

ぺろりん生誕ではキラキラチューンをカバー

ぺろりん口上を作ったりしていく中で、でんぱ組から来たヲタクが「この曲はヲタ芸を打たねばならんのです」と熱弁していた

ちゃんとでんぱ組の曲を聴いたのはこのタイミングだと思う
YouTubeで何度も聴いた

@jam×ナタリーEXPO
ベボガ!(虹のコンキスタドール黄組)が出演し、トリがでんぱ組だった
ライブ前にでんでんぱっしょんの振り付け動画を見て覚えた
一緒にいたヲタクに「え、今覚えてるの!?」と笑われた
関係者席でぺろりんがライブを見ていた
グランドフィナーレの準備で途中で離脱するぺろりんは少し寂しそうだった

アイドル妄想大運動会
ベボガ!メンバーとみりんさんのコラボチーム
ヲタクの前で披露する機会はなかったけれども、かちとばせ!栄光のレインボーをコラボしていた

優勝できずライブを披露する機会が得られず、悔し涙を流すぺろりんの姿は今もなお忘れることができない

でんぱ組からヲタクが来るようになった

そんなこんなで、でんぱ組からベボガ!(虹のコンキスタドール黄組)へ流れてくるヲタクが増えていった

メディアへの露出も増えていき、#彼女と〇〇なうって使っていいよ のフレーズでSNSでバズることもあった

【でんぱ組兼任の予兆】
2017年の夏ごろから虹のコンキスタドール虹組が結成され、その後虹組でリリイベが始まる
根本と行動をともにすることが増える

ベボガのリリイベは仕事の都合で欠席となっているのに、根本とは一緒にいるといったこともあった

印象的だった出来事として、でんぱから来た友だちが特典会で
ぺろりん「でんぱ組の曲で好きな曲ある?」
ヲタク「でんでんぱっしょんかな」
ぺろりん「あぁ、でんでんぱっしょんかぁ。踊るの大変だよね」
(なんで自分が踊る前提なんだ)
みたいなことがあった

でんぱ組加入に向けて、たくさんレッスンをしていた時期だったのだろう

【でんぱ組兼任】
12月の時点で、でんぱ組のグッズのペンライトでたまご色と緑が2種類入っている情報が出た

公にはしなかったが、ベボガ!のヲタクの中でも、ぺろりんがでんぱに加入するんじゃないかという噂もあって、実際に大阪に行く準備をしている人もいた

それでも、ぼくは信じられなかった

いくらぺろりんが人気だからといって、でんぱ組という地上のグループでやっていくだけの歌唱力、ダンス、パフォーマンスがあるとは思えなかった

ぺろりんのライブでの強みは一つ一つのライブ、一人一人のヲタクを大切にすること

幅広い視野でレスを配ったり、ライブごとに演出を変えたりと距離の近いライブハウスやリリイベの規模で群を抜くパフォーマンスが強みだった

特典会でのいわゆる神対応など、ヲタクを近い距離で見てきたからこそ伝わるもの、そうした努力の積み重ねでここまできたものだと思っていた

だから、遠くからでは見えないようなホールでのコンサートでぺろりんの魅力が発揮できるイメージは持ち合わせていなかった


事態が急変したのは前日にTwitterで流れてきたジャンプの記事
鹿目凛、根本凪が加わり、でんぱ組が7人体制になるという記事だ

トラウマである

いやいや、なんじゃそりゃ
信じられるはずもない

この先ベボガ!はどうなってしまうのだろう
でんぱ組になってもぺろりんは
不安な気持ちしかなかったけど、
そもそもチケットも持ってなかったけど、
それでも新幹線に乗って大阪に向かった

チケット募集をかけてもなかなか譲ってくれる人は現れない

それでも、たくさんの人がRTとかで拡散してくれた
当時仲のよかったでんぱ組のヲタクの方々も協力してくれて、心強かった

結局、名古屋を通過したあたりで譲ってくれる人が現れた

ライブを見れることに安堵しつつ、これまでの思い出を振り返っていた

思い出はたくさんあるけど、まさか自分がでんぱ組のライブに行くことになるとは

「君といるたったそれだけで
この世界はもぅ全力で特別で」

キラキラチューンのこの歌詞は何度も何度も聞き返した

これまで過ごしてきた時間がいかにかけがえのない思い出だったか噛み締めていた

そして、たとえどんな発表があったとしても、ぺろりんを信じるという決意をかためていった

やがて大阪へ到着した

大阪城公園にある大阪城ホール
最寄駅に着いてから会場への道のり
広い道とすがすがしい青空
会場へ向かう一歩一歩は浮き足立っていた

物販でペンライトを買った
エッグイエローことたまごいろがあるからだ
電子版のパンフレットが売り切れていたのは意味がわからなかった

会場の周りにいたぺろりんのヲタクたちと合流した

不安な気持ちを下手に言葉にすると、本当になってしまうのではないかという思いで、当たり障りのない会話を繰り返した

とりあえずたこ焼きを食べた

何もなければそれでいいし、でんぱ組のライブを見に来た気持ちで参加しよう
結局、そんな感じに会話は落ち着いた

みんな強がっているのは自分でもわかるし、周りの人にも伝わっていたと思う

ライブ前、でんぱのヲタクは推し同士で集合して写真を撮るらしい
でんぱ組からベボガ!に来たヲタクが教えてくれた
ぺろりん推しで集合写真を撮ってもらった

みんなやつれていて、お世辞にもベストショットとは言えない

でんぱのヲタクからいろいろアドバイスをもらった
とりあえずイエローパンチョスだけは覚えていたほうがいい
ヲタ芸は雰囲気があってれば大丈夫
ちゅるりちゅるりらは開幕ミョーホントゥスケが入る(誰も入れていなかった。)

そして、開場の時間となった

座席はNブロック
かなり上の方で、後ろの方
とても広い会場だったけど、ベボガのヲタクも偶然固まっていて、ちらほら見える


ずっと一緒に小さい会場で地下アイドルを見てきたヲタクたちと、こんな大きな会場でぺろりんを見る(ことになるかもしれない)と思うと、現実感がない。まさしく夢のような感じだった。

そして、でんぱ組のライブが始まった
とにかく声がでかい

昔、ヲタクから「でんぱのヲタクは声がでかい、Zeppで後ろから耳元で叫んでいる奴がいると思ったら、1番後ろで叫んでる奴の声だった」という話を聞いたのを思い出した

MIXが会場全体で揃っていることに圧倒された

この時点で大阪まで来て後悔はないという思いだった

そして、Dear☆Stageへようこそ
でんぱ組でない人がステージに立っている
緊張が走る
顔も見えないし、衣装も体格がわからない
それでも、それがぺろりんだとわかった

遠くからでも、それがぺろりんだとわかった

そして、早着替えからのでんぱ組としてのパフォーマンス

かつてないほど大きなステージでパフォーマンスをするぺろりんの姿を見て、これほどまでに多くの人がぺろりんを見ているという光景に、涙が出てきた

ぼくのでんぱ組はここから

アンコール
狂ったようにしてた

隣のヲタクたちが、「ぺろりん推しで、こんな状況になったら、そうなるよね」って話してた
それほどまで、もう一度出てきてほしいという思いだった

そして、まだまだたくさんの曲を披露する

いつの間に、こんなにたくさんの曲を覚えていたんだ
自分らにそんな姿を見せずに
そんな、陰ながらに努力していた日々を思い、涙が止まらなかった

ライブが終わり、終演後物販で、新しく加入したメンバーのグッズが発売された
ぺろりんのリストバンドとアクリルキーホルダーを2つずつ買った
そして、でんぱ組のファンクラブに入った

ぺろりんがでんぱ組に加入したことをきっかけに他界したヲタクはたくさんいたけど、これからも応援しようと思えるほどの体験をしたからこそ、今なお応援し続けられている

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