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魔物は「3着」に潜む

年に一度の「千直」重賞アイビスサマーダッシュでは、3着のバカラクイーンが強烈なインパクトを残してくれた。2勝クラスからの「二段階」格上挑戦の身で、しかも自己条件でも大敗が続いている状況では単勝130倍の低評価もやむなし。検討段階では「無茶しおって..」と苦笑いしながら、あっさり買い目から外してしまった馬券師たちも多かったことだろう。

ところが、これが見せ場たっぷりに粘り腰を発揮する。

馬群が外へと殺到する中ただ一頭だけ内ラチ沿いに特攻を決めると、先行争いの一角(と言っていいのか)に位置したまま後半へ。外の争いではラチ沿いを行くライオンボスにオールアットワンスが迫る中、粘りに粘って3着を確保。馬連が1,040円で1番人気の組み合わせと平穏だったにもかかわらず、3連複は58,270円そして3連単は220,340円と大波乱の決着となった。

これだから「3着」は恐ろしい。

実力的に勝つのは難しくても、ちょっと展開や馬場などに恵まれれば人気薄の伏兵が平気で紛れ込んでくる..それが3着。
15年ヴィクトリアマイルで単勝291.8倍の最低人気だったミナレットが逃げ粘り、3連単20,705,810円のスーパー大波乱を巻き起こしたのも記憶に新しく、他にも19年高松宮記念のショウナンアンセム(単勝358.9倍)や、07年NHKマイルCのムラマサノヨートー(136.6倍)など、精鋭揃いのG1においても定期的に「魔物」の出番が訪れている。

馬券を買う上では、これが非常に厄介だ。

ノーマークの伏兵に割って入られて3連複を紙クズにされてしまった苦い記憶も数知れず。かといって買い目を増やす選択肢も簡単ではない。2頭軸ならまだしも1頭軸になると、マークシートに1頭塗り足しただけでお値段がグンと上がってしまう。手を広げた末に取り損ねた際のダメージは計り知れない..

そんな葛藤を経て、僕は3連系の馬券を捨てることにした。

完全に買わなくなったわけではないが、中心はあくまで単勝と馬連。それを補完する形で3連複を選択肢に入れる程度。このスタイルを築くことで、「3着」の魔物と戦わずに済むことができるようになった。

もちろん3連系馬券の高配当は魅力だし、馬連だと「1着3着」で外れていた馬券が救済される可能性だってある。ただ、それ以上に買い目がコンパクトにまとめられるようになったのと、「3着でいいから」と甘い基準で軸馬を選定する過ちを犯さなくなったメリットが大きい。

馬券で勝つには出走馬の取捨選択が大事なのはもちろんのこと、馬券をどう買うかも重要なファクターとなる。券種は個々人によって相性もあるとは思うが、「3着の魔物」に悩まされ続けている人は一度、その戦いを回避するのも一つの手段ではないだろうか。

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