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【競馬】兄の意地、老舗の意地..反骨の2歳女王サークルオブライフ/阪神JF振り返り

もうこれで誰も強さを疑う者はいないだろう。数々の名牝たちも突き抜けてきた、阪神マイル戦の大外一気は実力の証。単勝3番人気のサークルオブライフが豪快な末脚で他馬をねじ伏せ、2歳女王の座に輝いた。

■ レース前の評価

登録馬が揃った段階から上位拮抗ムードも、ステルヴィオの妹という血統背景やルメールへの期待感からステルナティーアが中心視されるのではないかと思われていた。ところが発売が開始されると人気で抜きん出たのはナミュール。赤松賞からの中2週で、どこまで青写真どおりのローテだったかはわからないが、2戦2勝の新星に支持が集まった。
前哨戦アルテミスSの勝ち馬サークルオブライフは3番人気。前走が7番人気の低評価で、まだ半信半疑な見られ方をしていたことが伝わってくる。そして3戦3勝のウォーターナビレラが4番人気。アルテミスS2着のベルクレスタが続き、単勝10倍以下のオッズはここまで。6番人気のナムラクレアが11.9倍で、次はパーソナルハイが41.7倍と大きく開いてしまった。
「上位4~5頭のどれかで決まるんじゃないの」というのが大方の見解だった。

■ 馬場とラップタイム・隊列

10月から連続開催が続く阪神競馬だが、馬場造園課のGJぶりもあって現在は極端な高速化も劣化もなくフラットなコンディション。今週も土曜から競馬を見ていたが、さすがにやや外が有利かな程度の偏りで、少なくとも内を通らないと話にならんような不公平な馬場ではなかった。

<ラップタイム>
12.2 - 10.4 - 11.5 - 12.3 - 12.6 - 12.1 - 10.9 -11.8 = 93.8 (av. 11.7)

桜花賞にも共通する現象だが、阪神マイルの牝馬戦はだいたい3角までに内がゴチャつく。まだメンタル面が未熟なだけに、ちょっと外からカットインされただけでブレーキを踏んでしまって後続にも影響が..というパターン。
このレースでもヒノクニやシークルーズ、タナザウィングにスタティスティクスらが手綱を引く場面があったり、あとはステルナティーアがラブリイユアアイズと接触したりとゴチャゴチャ。出遅れて後方からになったナミュールでさえも、サクに寄られて内へヨレてしまうなどスムーズさを欠く場面が多数。

それらを尻目に馬群を引っ張ったのは横山和生とダークペイジ。前半800mを46.4秒で入るもそこから12.6秒と息を入れ、流れとしては平均からやや遅めの瞬発力勝負に。好スタートを決めたウォーターナビレラは好位で流れに乗り、ラブリイユアアイズも馬群の中で脚をタメる形に。一方、3角過ぎからポジションを押し上げたベルクレスタのロスは大きかった。そしてサークルオブライフは他馬の動向に一切左右されることなく、悠然と中団の外を追走。いつでも仕掛けられる絶好のポジショニング。

■ 直線の攻防

ダークペイジは早々に失速し、外から先頭に立とうとするのはウォーターナビレラと武豊。マクリ気味に勝負に出たアネゴハダも食い下がり、その外からはベルクレスタも並ぼうとするが早めのスパートが仇となり伸びきれず。ステルナティーアも前2走のような脚色ではなく、ナミュールは腹を括って内ラチ沿いから追い込みにかかるも届かない。
代わって大外から前を捕らえにかかったのがサークルオブライフ。空いた内から伸びてきたラブリイユアアイズ以下をきっちりと抑え、勝利のゴールに飛び込んだ。

■ 兄の意地、そして老舗の意地..反骨の2歳女王サークルオブライフ

非の打ちどころのない完勝だった◎サークルオブライフ。強い勝ち方をしても人気になりきれないところがあったが、もうこれで不動の評価を得たことだろう。反骨の2歳女王の誕生。
初の長距離輸送もクリアし、パドックでは最初やや入れ込む素振りもあったもののその後は平常心に。最大の懸念材料だったゲートも、少し暴れるところはあったが五分に出て流れに乗れた。さすがは国枝栄厩舎、日頃からのケアがこの揺るがぬメンタルにつながっているのだろう。
すっかりノーザンFの有力馬も弟クリスチャンに奪われてしまった感のあるミルコにとっても、うれしい勝利となった。兄弟でのG1対決といえば13年桜花賞が思い出されるが、レッドオーヴァルでアユサンの強襲に屈した雪辱もここで果たすことができた。
勝ち鞍こそ全盛期には遠く及ばないが、それでも今季もオークスに続く2つ目のG1勝利と大舞台での勝負強さは健在。今後は「打倒ノーザン」を合言葉に奮闘する姿を応援したい。

「打倒ノーザン」といえば老舗・千代田牧場としても会心の勝利。ぐりちゃで電話インタビューに対応していた女性の職員さんの声が、興奮と感動に包まれていたのがとにかく印象的だった。久々のG1制覇のみならず、95年に米国で購入された三代母スターマイライフの牝系から新たな名牝が出た喜びは何物にも代えがたいものがあるだろう。千代田牧場といえばチヨダマサコの牝系が有名だが、こうして大切な血統を長く継承させていく意地を強く感じさせる勝利でもあった。

■ おかげ様で久々の馬券も的中、単勝に厚く張ったのが大正解

久々の馬券も的中したので滑らかに筆が進みますわ。

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前哨戦であれだけ強い競馬をしながら、まだ単勝が560円もつくなんて買うしかないでしょう。厚めに張ったのが正解でした。欲を言えばウォーターナビレラとの馬連も当たればパーフェクトだったんですけどw


2着のラブリイユアアイズはすっぱり諦める。この馬を拾うために馬連をダラダラと買うのは得策じゃない。相手に選んだのは「サークルオブライフを負かす可能性がある馬」に限定していたのでベルクレスタやナムラクレアあたりの微妙なところを全消しできているわけで。

■ 回収:8,400円/投資:3,000円
→ 2021年間回収率:316%

ふと気づいたんですけど、本物認定される直前のエピファネイア産駒を見極めるのが得意かもしれません。桜花賞のデアリングタクト、共同通信杯のエフフォーリア、そしてサークルオブライフ。全部まだ人気殺到する前に買えてる。何となくフィーリングが合うんでしょうね、今後も要注目。

■ 1番人気のナミュールは痛恨の出遅れで4着..相変わらず頼りない日本のクリスチャン

1番人気に支持された◯ナミュールは4着に終わった。がっつり出遅れてしまったのが痛恨。その後も他馬に寄られるなど終始チグハグな競馬に終わってしまった。10キロ減っていた馬体も見た目は影響を感じなかったが、やはり詰まったローテで心身に負荷がかかっていただろうか。
そしてクリスチャンよ..w どうもこの人は以前から短期免許での来日時に頼りない印象が残っているのだが、今回も最初のG1でミッション大失敗。凱旋門賞を制してもなお、日本での騎乗は勝手が悪い何かがあるのだろうか。とりあえず来週のセリフォスもちょっと心配ですw

■ その他ひとことメモ

・ 2着 ラブリイユアアイズ
持ち前の立ち回りの巧さで大健闘。前で踏ん張るだけでなく、道中うまく息を入れられたのが最後の伸びにつながった。ステルナティーアと接触はあったが制裁を受けるレベルではなく、あのあたりはレースのアヤかと。
それにしてもエピファネイア産駒とロゴタイプ産駒がG1でワンツーを決めるとかアツいですねえ。

・ 3着 △ウォーターナビレラ
武兄弟の夢は惜しくも叶わず。しかし無傷の3連勝はダテではないことを証明した。桜花賞直行という柄でもないだろうし、チューリップ賞に出てくれば素直に中心視できるほどの能力はある。

・ 5着 ナムラクレア
長谷川浩大厩舎の期待馬が奮闘。控えて馬群を捌く、味のあるレース運びができたことは今後にもつながる。フィリーズレビュー狙いましょう。

・ 6着 ベルクレスタ
危惧した通り外枠でタメが利かず、訳のわからんタイミングで押し上げていってしまう最悪の形に。つくづくドゥラメンテ牝馬は難しい..

・ 7着 ▲ステルナティーア
こちらも10キロ減での出走。向こう正面でチグハグな競馬になったのは経験の浅さが出たなあと思っていたが、どうやら外傷も負っていたそうで。評価は保留だがここでの頓挫は痛い。春に間に合えばいいが。

■ 桜花賞戦線はまだまだわからんよ

今季の牝馬戦線はまだ混戦状態で、それを再認識させる結果だったかと。サークルオブライフとてまだ圧倒的な存在ではないと思ってます。別路線のソネットフレーズとか、まだ勝負付けのついていない馬はたくさん。

掲示板に載った5頭のうちノーザンFの生産馬は4着のナミュールのみというのも混沌ぶりに拍車がかかっている気がする。引き続き年明けから新興勢力の台頭を見逃さないようにしていきたい。

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