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【競馬コラム】二度と見たくない感動のドラマ

こんな形で競馬の奇跡を見たいとは思わないけれど、それにしても不思議な力を感じずにはいられなかった。
土曜から母父にジョーカプチーノを持つジョーローリットが単勝42.7倍の低評価を覆す激走を見せたり、日曜にはディアデラマドレの仔ログラールが勝ったり..
藤岡康太と縁のある血統の馬が奮闘する度に、感動と寂しさの両方が押し寄せてきて何とも言えない気持ちにさせられた。

そしてそのクライマックスが皐月賞でも訪れる。

これまでも調教パートナーを務めていた友道康夫厩舎のジャスティンミラノが、ゴール前の大接戦を制して勝利。指揮官は最後の直線で「康太!康太!」とその名を連呼していたようだし、手綱を取った戸崎圭太も仕上げに
貢献した職人に感謝の意を伝えた。

2戦2勝で近年の最強ステップレース・共同通信杯を制したように、ポテンシャルの高さは疑う余地のないものを持っていた。一方で速いペースは未経験で、消耗戦になりやすい皐月賞への適性は未知数。そんな不安材料も軽く吹き飛ばす勝利の陰には、志半ばで戦場を去ることになった男のひと押しがあったとしか思えなかった。

彼への想いを伝えるすべての人々の言葉や行動に感動させられる週末だった。だが、もうこんなドラマは二度と見たくない。そう切に願う。

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